2009年8月30日日曜日

8/24-28 新型インフルエンザ

日経平均(8/28終値) 10534.14 (先週末) 10238.20
為替(8/28 17時) 93.89-92 (先週末) 93.91-94
 厚生労働省は28日、新型インフルエンザを発症する患者の割合である罹患(りかん)率から入院患者数、重症患者数を推計する流行シナリオを公表し、新型の罹患率を通常のインフルエンザの約2倍の「20%」として推計すると、患者数は約2550万人で、うち約38万人が入院し、重症者は約3万8千人に達するという予想だ。米大統領の諮問機関である科学技術諮問委員会は24日、新型インフルエンザによる米国での死者が9万人に達する恐れがあるとした報告書を発表、今秋から冬にかけて米国で新型インフルエンザが再流行し、全人口の30-50%が感染、20-40%(6000万-1億2000万人)が発症、180万人が入院し、このうち30万人が重症化し集中治療室での治療を必要とする恐れがあると警告している。また、新型インフルによる死者数を、子どもや若者を中心とする3万人から最大で9万人と見積もっている。日米の危機管理に対する温度差もあるが、いずれにせよ10月にかけて大流行する可能性が高く、不要・不急の外出を控えたり、様々なイベントの中止などが予想され、学校閉鎖ならぬ会社閉鎖はさすがに無いだろうが、経済活動への影響も考慮すべきで、株式投資も目先の売買では、現水準での利食い売り、戻り売りを行うべきだろう。

2009年8月22日土曜日

8/17-21 2010年の世界経済の見通し

日経平均(8/21終値) 10238.20 (先週末) 10597.33
為替(8/14 17時) 93.91-94 (先週末) 95.19-22
 7月の中古住宅販売件数が前月比7.2%増の年率換算524万戸と、市場予想(500万戸)を大幅に上回り、前月比では4カ月連続の増加で、住宅市場の改善が続いていることが好感された。売り方の買い戻しが膨らみNYダウは+1.67%と大きく上昇した。
 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が講演し、「近いうちに経済成長に戻るという見通しは適切なようだ」と発言し、景気回復の期待感が高まった。しかしながら信用収縮や金融市場の緊張が残ることなどから世界の景気回復は緩やかになるとの見通しを示した。
 今年の3月以降に世界的な株高は世界景気の底打ちを織り込み上昇してきた。今後も株価の推移を占うには、2010年の世界経済をどう見通すかである。当社では中国の内需を中心とした経済成長は2010年も高成長が期待できるものの、米国を中止に先進国経済は雇用の悪化による個人消費の低迷が続き、回復軌道には乗れずに低成長(実質経済成長率で1%半ば程度)にとどまると見ており、現在の株価水準では利食い・戻り売りをし、次の投資機会を待つようにすべきだと考えている。

2009年8月16日日曜日

8/10-14 株式市場参加者

日経平均(8/14終値) 10597.33 (先週末) 10412.09
為替(8/14 17時) 95.19-22 (先週末) 95.36-39
 3/10に日経平均株価で年初来安値の7054円を底に上昇局面が続いており、6/12には10135円まで上昇した。7/13に日経平均で9050円まで下落し、市場では景気楽観論がやや後退し、2010年の世界経済も回復力が鈍いのではないかとの見方も台頭し始めた。しかしながら、世界の主要企業の4-6月期決算は当初予想を上回る内容が相次ぎ、株価は7/13から反転し始め、この1か月で約1500円(16%)の上昇となっている。上昇の牽引役は外国人投資家である。リーマンショック以降、個人投資家や国内機関投資家の一部は底値圏と判断し、中長期的視点での純投資を行っているが、市場参加者の大半は短期的志向の息を吹き返してきたヘッジファンド(アルゴリズム取引、マネージドフューチャーズなどのファンダメンタルズよりも相場の方向性にベットする投資?投機?手法)、証券会社等の自己売買、個人ネットトレーダーであるようだ。当社では4-6月期の企業業績も人件費削減等による固定費圧縮での回復で、本格回復にはまだ時間がかかると見ており、2010年の景気や企業業績の見通しから判断して、現在の株価水準は割高だと見ており引き続き戻り売り、利食い売りを推奨している。

2009年8月8日土曜日

8/2-7 米不良資産はどこへ消えた?

日経平均(8/7終値) 10412.09 (先週末) 10356.83
為替(8/7 17時) 95.36-39 (先週末) 95.59-62
 7月の雇用統計は失業率が9.7%程度に上昇すると予想されていたが、実際には前月比▼0.1%の9.4%となり、8/7のNY株式市場は株高(9,370.07△113.81)、為替はドル高(NY終値97.50-60)となった。景気後退局面も7-9月期には終了との見方が強まっているが、当社ではそのようには見ていない。
 その理由はいくつかあるのだが、その一つとして最近あまりニュースにも取り上げられていない米不良資産問題がある。今回の経済危機の震源地米国の不良資産総額は約200兆円とも400兆円とも言われていた。3月にガイトナー財務長官が官民合同の不良資産買い取りファンドが創設され、不良資産問題が進展する期待もあった。しかしながら最近では各金融機関が民間から資本を増強し、今すぐ処理する必要性が薄れているため、官民ファンドは当初規模は3月時点の想定を大きく下回る約2兆円規模でスタートした模様だ。最近の株高や金融機関の相次ぐ資本増強で不良資産問題が市場の話題になることが少なくなっているが、当社では、2002-3年の竹中元大臣が行ったように①不良資産総額の洗い出し、②その上での具体的な処理の道筋の確定、が明確になるまでは、この問題は燻り続けるので、現在のような株高局面は利食い売り、戻り売りを推奨している。

2009年8月2日日曜日

7/27-31 株価回復の第一ステージ

日経平均(7/31終値) 10356.83 (先週末) 9944.55
為替(7/31 17時) 95.59-62 (先週末) 94.80-83
 上場企業の4-6月期の経常損益が黒字に転換した(8/2日経新聞1面参照)。今回の世界同時不況の震源地米国も同様に4-6月期の上場企業も減益率が改善し始めている。記事にもあるように、売上は落ち込んだままであるが、合理化(工場再編や人件費の抑制)により利益を叩き出しているようだ。某大手電機メーカーでは、例えば中堅クラスで、賞与カットだけでなく月次給与までカットをかなりの水準で行ったとのことだ。役員賞与は当然だが、社員レベルまで業績連動型の報酬体系が当たり前となってきている。
 株価も企業業績の底打ちと回復期待から3月に年初来最安値を付けて以降上昇トレンドが続いている。各国の景気対策、企業の合理化による収益改善を織り込んでのことで、株価回復の第一ステージもそろそろピークであろう。今後も中長期的に上昇トレンド(第二ステージ)を維持していくためには、日本経済の明確な成長戦略、企業業績の本格回復のための売上改善と、雇用悪化底打ちのための中小企業と地方経済を回復が望まれるが、現状ではその兆候も少なく、当社では短期的には売りを推奨している。

2009年7月25日土曜日

7/21-24 パラダイム変化④

日経平均(7/24終値) 9944.55 (先週末) 9395.32 
為替(7/24 17時) 94.80-83 (先週末) 93.66-69
 2008年の金融危機を契機に世界の経済活動がパラダイム変化の進行による、いくつかの潮流の変化を見極めなければならないが、その変化の一つが企業活動としての利益至上主義から社会的責任を重視する変化であろう。リーマンショックが象徴的な出来事であったが、企業は株主のもので、企業収益と企業価値の向上(株式総額の向上)への指向の行き過ぎが修正され始めた。企業が利益を追求するだけでなく、企業活動が社会へ与える影響に責任をもち、あらゆるステークホルダー(利害関係者:消費者、投資家等、及び社会全体) からの要求に対して適切に対応することが必要となってきた。
 消費動向においても、お金をかけずに効率的、合理的で環境に優しいスマートな消費スタイルが主流となってきている。「もの」の価値や性能を大切にする利益至上主義から、「心」や「社会」を大切にするソーシャルビジネス(企業の社会的責任:CSR)を展開することが消費者に受け入れられる重要な条件になっている。銘柄選定においてもCSRへの取り組み状況がどうなのかを優先して分析するようにしている。

2009年7月18日土曜日

7/13-17 パラダイム変化③

日経平均(7/17終値) 9395.32 (先週末) 9287.28
為替(7/17 17時) 93.66-69 (先週末) 92.72-75
 地球温暖化という人類にとって未経験の危機が着実に進んでおり、その原因でる20世紀における大量消費・大量生産による二酸化炭素の大量排出を削減するために、リサイクル、省資源などの効率的消費がトレンドになっている。先進国は温暖化ガスの削減で2050年までに80%以上削減する目標を定めたが、この80% 以上削減という目標は、革新的技術の新たな開発と普及がなければ達成は難しいのは言うまでもない。21世紀は技術革新とその普及により、近い将来にトレンドから日常になっていくだろう。
 最近の産業界の出来事として、例えばコンビニ大手セブンイレブンの一部加盟店による値引き販売の問題はそのビジネスモデルの転換を迫るものだ。価格より時間や便利さを売りにし成長してきたが、弁当など廃棄処分という無駄の問題や、定価販売のため、大手スーパーに比べ高価格であることは21世紀での消費スタイルには合わなくなっている。コンビニ業界はパラダイム変化に対応できるか否かが問われている。他の業界も同様に100年に一度の変化に対応ができるかが今後の成長には不可欠だ。

2009年7月10日金曜日

7/6-10 パラダイム変化②

日経平均(7/10終値) 9287.28 (先週末) 9816.07
為替(7/10 17時) 92.72-75 (先週末) 95.92-95
 21世紀版産業革命が今後起こるであろう最大の理由は、地球温暖化対策としての低炭素政策が、各国の利害調整等で紆余曲折はあるものの確実に進行するからだ。本日閉幕した主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)で、先進国は温暖化ガスの削減で2050年までに80%以上削減する目標を明記した。特に米オバマ大統領は、「グリーン・ニューディール政策」を打ち出しており、温暖化問題に対処していなかった前政権の対応について「責任を欠いていた」と謝罪し、世界一の経済大国でもあり温暖化ガスの排出大国が合意に至ったことでこの流れは加速することであろう。
 この80% 以上削減という目標は、革新的技術の新たな開発と普及がなければ達成は難しいのは言うまでもない。ハードルが高ければ、環境技術を蓄積した日本にとってグローバル経済の中心を担っていく絶好の好機である。株式投資も5-10年程度先を見て、期待を込めて環境技術を持つ企業への投資を行うべきであろう。この21世紀版産業革命ともいうべき潮流を掴める企業を見極める力=投資成果といっても過言ではない。

2009年7月5日日曜日

6/29-7/3 パラダイム変化①

日経平均(7/3終値) 9816.07 (先週末) 9877.39
為替(7/3 17時) 95.92-95 (先週末) 95.94-97
 中長期的な視点での株式投資を考える場合に、2008年の金融危機を契機に世界の経済活動がパラダイム変化の進行による、いくつかの潮流の変化を見極めなければならない。例えば、
①地球温暖化対策としての新エネルギー政策
②大量消費・大量生産の時代から、リサイクル、省資源などの効率的消費
③企業活動としての利益至上主義から社会的責任を重視する変化
などが挙げられる。上場企業も東京株式市場での33業種に分けられているが、例えば昭和シェル石油が日立の薄型テレビ用プラズマディスプレイ工場を買収し太陽光発電パネルの製造に参入したり、自動車メーカーの系列企業がその製作力を生かし自動車外の事業に参入するなど、業種転換が今後加速していくであろう。100年に一度の危機を「危」なのか「機」にするかが問われている。今の時代の株式投資も個別企業の変化(Change)をいち早く的確に分析し投資を行うかが優勝劣敗を決めるだろう。変化が続くであろうこの5、10年はパッシブ運用よりもアクティブ運用が有効かもしれない。

2009年6月27日土曜日

6/22-26 偽りの夜明け

日経平均(6/26終値) 9877.39 (先週末) 9786.26
為替(6/26 17時) 95.94-97 (先週末) 96.80-86
 今週公表されたOECD(経済協力開発機構)は2010年世界経済見通しを2年ぶりに上方修正した。米国を中心に各国の首脳や経済閣僚からの景気底打ちから2010年には回復基調へ、という内容のコメントが相次いできる。しかしながら必ず但し書きがあり、景気下振れリスクとして各国の財政赤字の拡大や、雇用状況を悪化が続いた場合の消費低迷を挙げている。
 冷静に判断しなければならないこととして、各国首脳や閣僚は自分たちの政策を肯定するために景気見通しを基本的に強気見通しを示すことである。最近のマーケットはリーマンショック後の景気急減速が一服し、景気指標も下げ止まりから一部改善し始めているので、買戻しや打診買い、短期志向のマネーが株価を押し上げているが、あくまでリーマンショック以前のと比較するとほとんどの景気指標がおおよそ30%程度以上の低水準であること、雇用の悪化による世界的な個人消費の低迷でデフレが進行し始めていることを考慮すると、2010年以降に景気が順調に回復すると考えるのは早計ではないだろうか。今は、一旦の利食いや戻り売りをし、マーケットを静観しておくが得策だと思う。

2009年6月19日金曜日

6/15-19 短期的には要注意

日経平均(6/19終値) 9786.26 (先週末)10135.82 
為替(6/19 17時) 96.80-83 (先週末)98.00-03 
 最近の株式市場参加者は特にリーマンショック以降、短期志向の投資家の比率がかなり高まっているように感じられる。主体別売買動向は東証から発表されているが、投資スタイルや期間はデータの取りようがないので推測でしかないが、個人投資家はデイトレーダー、証券会社の自己売買部門、ヘッジファンドではマネージドフューチャーズという投資戦略(主に先物市場を中心に株式、債券、為替、商品市況等のマーケットのトレンドに対し、順張りで収益機会を狙う)のうち、1‐3か月程度のトレンドへベットする手法の運用方法が市場参加者の中心だろう。これらの投資家はマーケットトレンドが変わったと考えると、今まで買方だったのが一瞬にして売方と変化する。3/10あたりからの上昇トレンドも約3カ月も経過し、年初来安値から40%程度も上昇しているので、短期的には要注意だ。例えば新エネルギー関連銘柄のGSユアサの場合、3月安値から株価は約3倍まで上昇したのち、今日一日で約14%も下落している。おそらく短期志向の投資家たちが利食いと新規のカラ売りを行っているのだろう。弱気のトレンドが出始めると、少なくともこの1‐2カ月内の買いは様子を見て慎重に行うべきであろう。「休むも相場」との格言にもあるように。

2009年6月12日金曜日

6/8-12 元気になってきた

日経平均(6/12終値) 10135.82 (先週末 9786.01)
為替(6/12 17時) 98.00-03 (先週末96.71-74)
 東証株式市場は今週、日経平均で10000円の大台まで回復してきた。昨今のマーケット関係者のコメント、アナリストの投資判断、メディアの報道など株式相場に対する楽観的な見方が増えてきた。2月、3月頃は全くと言っていいほど連絡もなく元気がなかった証券会社も、最近では勧誘などの連絡も元気で積極的になってきた。
 市場関係者の大方の見方も年内景気底打ち・回復局面となってきている。果たして今の株式市場の上昇が景気底打ち・回復を織り込んでいるのだろうか。昨年のリーマンショック後の景気急減速、株価急落がジェットコースターのようでパニックの状況だったが、さすがにその恐怖感にも慣れてきたといった感じではないだろうか。一部回復している景気指標もほとんどが前月比の指標で、前年比で比較した場合、その水準はおおよそ-30%減程度の数字が多く、依然低水準である。また、欧米金融機関の不良債権問題や、東欧を中心とた国家レベルでの破たん懸念、各国の巨額財政出動のため長期金利が上昇など、懸念材料はまだまだいくつもあり、今後この水準での投資に関しては、より慎重なスタンスが重要だと考えている。

2009年6月6日土曜日

6/6(土) 米雇用統計

NYダウ(5日終値) 8763.13 △12.89
為替(NY5日終値)  98.60-70/米ドル
 米労働省が発表した5月の雇用統計によると、失業率は9.4%と、前月比0.5ポイントの大幅悪化で、25年9カ月ぶりの高い水準となった。一方、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比345,000人減にとどまり、減少幅が大幅に縮小し、雇用情勢に改善の兆しが出てきた。
 失業率の悪化は続いているが、足元の雇用情勢は改善に向かっている。5月の就業者数の内訳を見ると、製造業は自動車大手の人員削減など大幅減となったが、建設業は減少幅が縮小し、非製造業では、教育・医療分野で44,000人の就業者増となった模様。バイデン米副大統領は5/13にコメントしているように、2月に成立した7878億ドル規模の大型景気対策法の実施状況をまとめた初の報告書を発表、これまで3000件の公共事業に予算配分され、15万人の雇用を確保したとして、着実に成果が上がり始めたことを強調しているが、5月の建設業等の雇用減少幅縮小は景気対策によるもので、最近の各種景気指標は改善しているのも景気対策のよるところが大きい。しかしながら景気対策以外の実体経済の改善の兆候は見られておらず、各国の景気対策一巡後に回復が持続しない可能性も視野に入れ今後の投資を行うべきであろう。

2009年6月5日金曜日

6/5(金) 1-3月期に底打ち?②

日経平均 9,786.01  △99.05
為替(17時) 96.71-74/米ドル
 与謝野馨財務・金融・経済財政相は2日に、日本経済の需要不足が過去最悪の約45兆円に上った1-3月期に関し、「たぶんあの時期が底打ちの時期だと思う」と語り、実質的な底打ち宣言となった。最近発表の景気指標ではリーマンショック後の指標の急落が一服し、前月比で改善し始めたものが多くなってきた。株価も3月上旬以降堅調に推移しており、市場関係者の大方の見方も年内景気底打ち・回復局面となってきている。
 しかし、少し楽観的過ぎるのではないだろうか。一部回復している景気指標もほとんどが前月比の指標で、景気悪化が急速だったのであくまでその反動で、前年比で比較した場合、その水準はおおよそ-30%減程度の数字が多く、依然低水準である。また、欧米金融機関の不良債権問題や、東欧を中心とた国家レベルでの破たん懸念、各国の巨額財政出動のため、長期金利が上昇し景気回復への重しとなっている、などの懸念材料もいくつかあり、6月以降の投資に関しては、より慎重なスタンスが重要だと考えている。

2009年6月4日木曜日

6/4(木) 地合いはまだ良いが、

日経平均 9668.96 ▼72.71
為替(17時) 96.23-26/米ドル
 4日の東京株式市場で日経平均株価は7営業日ぶりに反落した。前日の米株式相場が5営業日ぶりに反落したことを受けて、主力株の一角に利益確定の売りや戻り売りが出た。前日の海外市場で原油先物相場が下落するなど商品相場が軟調だったことから、商社など資源関連株もさえなかった。短期的な上昇ピッチの速さに対する警戒感が根強いが、3月上旬以降、堅調に推移するマーケットに乗り遅れている投資家が押し目があれば買うという展開が続いている。昨年のリーマンショック後リスクマネーは一時完全に凍結していたが、最近はヘッジファンド、個人投資家などが息を吹き返し、リスク許容度が高まってきている。また、この流れに乗り切れずに下値で買おうと考えている投資家も3月以降なかなか下落局面が少ないので、少しでも下落すると買いが入るという好需給相場が続いている。マーケットは年内に世界景気が底打ちし、2009年後半から「レ」の字型の景気回復をするの可能性まで織り込み始めている。昨年9月下旬から今年3月まで急落局面の反動もあり、6月中くらいまでは堅調に推移するかもしれないが、世界的な雇用悪化、燻る金融不安、先進国各国の急激な財政悪化など、波乱はまだありそうだ。

2009年6月3日水曜日

6/3(水) 人口減少とプライマリーバランス黒字化先送り

日経平均 9,741.67 △37.36
為替(17時) 96.24-27/米ドル
 2008年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計値)は1.37で、07年を0.03ポイント上回ったことが3日、厚生労働省の人口動態統計で分かった。ただ人口の減少傾向は加速しており、減少幅は過去最大となった。出生率の上昇は3年連続で、出産適齢期の女性の数自体が減ったのが数値の主な押し上げ要因。一方、死亡数は同3万4133人増の114万2467人で戦後最多となった。出生数から死亡数を差し引いた「人口の自然増減数」は5万1317人のマイナス。前年の減少幅の3倍近くで、人口の減少ペースが加速した。今後確実に人口が減っていき、高齢化の進行で現役世代の比率が人口減のペースを上回り減少する見込みだが、政府は、今月中にまとめる「骨太の方針2009」で、財政健全化の目標を、従来の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化から、国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率抑制に変更する方向で調整に入った。麻生政権は100年に一度の危機?に乗じて景気対策と称して、世界経済はパラダイム変化が起きようとしている状況で、国家ビジョンも戦略もない、従来型バラマキを行い、借金だけは人口減で少なくなる現役世代に残されてしまう現実を直視しなければならない。

2009年6月2日火曜日

6/2(火) 1-3月に「底打ち」?①

日経平均 9,704.31  △26.56
為替(15時) 96.25-30/米ドル
 与謝野馨財務・金融・経済財政相は2日午前、日本経済の需要不足が過去最悪の約45兆円に上った1-3月期に関し、「たぶんあの時期が底打ちの時期だと思う」と語り、景気は既に上昇局面に転じたとの認識を示した。与謝野氏は、5月末に発表された鉱工業生産指数(1995=100)の大幅改善などを取り上げ、「4-6月以降は(生産の)カーブはずっと上向きだ」と強調。その上で、景気は年末から来年春にかけて回復軌道に復帰するとの見通しを示した。
 景気循環的な見方(例えば、在庫投資による変動でキチンの波といわれ、循環は3~4年)であれば、一時的に在庫を圧縮し、生産調整を行うことで鉱工業生産指数は改善する。ちなみに同指数はリーマンショック前は110前後あったが、3月には約70まで(36%強)下落して4月に5.2%の上昇となっている。当社では現在の世界経済は、従来までの景気循環的な見方は通用せず、世界的な経済活動にパラダイム変化が起きていると考えており、昨年9月以降の景気急減速が一時的に一服感は出たとしても、パラダイム変化後の世界が未だ明確になっておらず、今後の世界経済は乗り越えなければならない課題が山積している。

2009年6月1日月曜日

6/1(月) 一先ずの安心感

日経平均 9677.75 △155.25
為替(15時) 95.26-30/米ドル
 政府が米ゼネラル・モーターズ(GM)について、連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用を6月1日に申請すると発表したが、同報道後の米株価先物の堅調さが好感されている。商品市況高などを受けた朝方からの景気底入れ期待もあり株価を押し上げている。
 株式市場は不透明感を嫌うので、GMがどう立ち直るかはまだ分からないが、米政府が中心となり約3.8兆円の追加支援を行い、国有化することとなった。懸案だったGM問題が一先ず当面の方針が示され、好材料と受け止められているようだが、資本主義経済の雄であった米国を代表する自動車メーカーが国有化されることはまさに世界経済の大転換点だ。今後は中長期的に新生GMが成長性戦略を描けるのか、米今回も3.8兆円の追加融資を行ったように、立て続けの財政出動による財政悪化懸念による米国債の下落懸念、基軸通貨米ドルの信認が保てるのかがマーケットにとっての注目材料となるだろう。米国長期国債が金利上昇を始めているのは懸念の兆候が出始めているようだ。

2009年5月31日日曜日

5/31(日) 二番底へ②

 3/10前後に日経平均で7000円、NYダウで6500ドルまで下落後、この3か月弱は堅調に推移しているが、リーマンショック後の金融危機をきっかけとした景気急落後の一服感や前月比での改善がみられる指標が散見されるようになり、年内の景気底打ち、回復という楽観的見方が広がっている。しかしながら当社では年内の景気底打ちの可能性はあるかもしれないが、年内の回復は難しいと見ている。回復局面は早くて2010年であろう。
 理由として、燻り続ける金融機関の不良債権問題だが、米国の一部大手行を除く米金融機関と欧州金融機関は高リスクの証券化商品の処理と資本増強には時間がかかるだろうし、米官民合同の不良債権買取プログラムがどの程度機能するかも未知数だ。さらに世界的な雇用悪化の歯止めがかかっておらず、例えば米国では4月の失業率で8.9%で年内にも10%台の可能性も高い。スペインでは20%近い状況で、日本でもITバブル崩壊後の不況以来の5%台突入で、雇用調整助成金制度の対象者(完全失業ではない)が200 万人を超え、世界的にも社会問題化しており、各国の政局運営にも大きな影響を与えるだろう。また、米国の巨額財政出動による財政悪化に伴う基軸通貨米ドルへの信認問題もあり、今回の不況は従来の景気循環的な回復を期待すべきではないだろう。

2009年5月30日土曜日

5/30(土) GM1ドル割れ

NYダウ(29日終値) 8500.33 △96.53
為替(NY29日終値) 95.30-40/米ドル
 29日のニューヨーク株式市場で、米自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)の株価が急落、ニューヨーク証券取引所で売買されるのに通常必要とされる1ドルを割り込み、76年ぶりの安値で引けた。
GMの株価は2000年4月には94.63ドルだったが、この日のGMの終値は前日比37セント(33%)安の75セント。あまりにも巨大な企業の、あまりにも巨大な破綻劇になりそうで、どのように解体され、再建されるのか、われわれは見守るだけであろう。28日の株価の推移として、債権者グループとの暫定合意のニュースに「破綻回避か?」との見方が浮上し株価は一時上昇、しかしながら破たんを前提とした案ということが判明し、株価は再び急落した。6/1にオバマ大統領自らが発表するという異例の破産を、マーケットでは織り込み、この問題を乗り越えるだろうとの楽観的見方が強まっている。しかしながら、アメリカの20世紀の繁栄を象徴するGMが破たんし、次のアメリカの姿(ビジョン)が見えない状況で、アメリカ経済を楽観的に見通すのは妄想的見方ではないだろうか。来週以降の出来事を確認してからでも、新規投資を行うには遅くはない。

2009年5月29日金曜日

5/29(金) 二番底へ①

日経平均 9522.50 △71.11
為替(15時) 96.50-55/米ドル
 経済産業省が29日発表した4月の鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は前月比5.2%上昇の74.3と、1953年3月以来、約56年ぶりの上昇率を記録した。輸出の底入れに加え、在庫調整が進んだことなどが理由だ。基調判断について「持ち直しの動きがみられる」として、前月の「停滞」から変更。上方修正は07年8月以来になる。3月上旬に日経平均で7000円、NYダウで6500ドルまで下落後、この3か月弱は堅調に推移しているが、リーマンショック後の金融危機をきっかけとした景気急落後の一服感や前月比での改善がみられる指標が散見されるようになり、年内の景気底打ち、回復という楽観的見方が広がっている。確かに昨年10月からの景気急落のような局面はもうないだろうが、弊社では今後のマーケットは実体経済の悪化や弱さをあらためて実感することになると見ている。鉱工業生産指数で見ると2008年初は110程度あったが4月が5.2%上昇したと言っても74.3と低水準で、(ちなみに1990年以降85を割り込んだことはない)急落後の一服であると思われること。またGM問題や特に欧州金融機関の不良債権問題、世界的雇用の大幅悪化などの諸問題が続く環境下で景気への強気見通しを持つこと難しい。

2009年5月28日木曜日

5/28(木) 米自動車部品大手2社破たん

日経平均 9451.39 △12.62
為替(15時) 96.50-51/米ドル
 米自動車部品大手ビステオン は28日、米事業について連邦破産法11条の適用を申請したことを明らかにした。2000年にフォード・モーターからスピンオフ(分離・独立)した経緯から、フォードがDIPファイナンス(事業再生融資)を支援する方針を示しているという。また、自動車部品メーカーの旭テックは米子会社メタルダイン(ミシガン州)も米連邦破産法11条の適用を申請したと発表した。主要顧客の米ビッグスリー(自動車大手3社)の危機を背景に収益が一段と悪化し、自力での存続が不可能と判断し、同法の手続きに沿って工場の引き受け先を探すなど経営の再建を進め、は2009年3月期で約320億円の特別損失を計上する。マーケットではGMの破たん処理の方法やスピード感がどうなのかを気にしているようだが、そもそも米国では危機以前は自動車販売が年間約1600万台から現在900万台程度に落ち込んでいる。今後は多少回復するだろうが、世界的に経済活動がパラダイム変化(エコ、新エネルギー、新技術、倹約)に対応が遅れている米自動車産業の問題解決が簡単にできるとは思えない。GM破たん後の実体経済への影響を確認してからでも、新規株式投資は遅くないだろう。

2009年5月27日水曜日

5/27(水) GM問題は織り込み済みの声?

日経平均 9438.77 △127.96
為替(17時) 95.20-23/米ドル
 米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は6/1までに米政府に再建計画を提出することが求められており、債務削減に失敗すれば、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用申請に追い込まれる可能性が高い。破産法適用の申請は既に想定されたシナリオとして「ショック安」はない、との声が大勢を占めつつあるという。果たしてそうだろうか?楽観的過ぎる見方ではないだろうか。
 債権者団とのぎりぎりの交渉が続いているが、無担保債務計270億ドル(約2兆6000億円)の問題や、GMの車作りでの競争力がトヨタ等と比較して劣っていることが6/1までに解決・改善されるならば実体経済への影響は限定的になるだろうが、巨額債務や競争力低下は厳然たる事実である。自動車産業はディーラー、部品メーカーなどすそ野が大きく、連邦破産法11条の適用により、直接的な影響として失業者の急増、企業業績の悪化、間接的には個人消費の低迷などつながるだろう。最近のマーケット環境は投資心理が強気に傾いているので、GM問題は織り込み済みのような見方が大勢を占めているかもしれないが、雰囲気に流されず、冷静に事実を客観的に見るべきだ。

2009年5月26日火曜日

5/26(火) 国内の仕事が減っている

日経平均 9310.81 ▼36.19
為替(15時) 94.75-80/米ドル
 リーマンショック後の世界的な景気急減速は、自動車や電機などの製造業への影響が大きい。各企業とも在庫調整、生産調整、雇用調整、コスト削減などの企業努力を行っている。特に自動車、電機業界は部品メーカーなどの系列会社や下請けなどすそ野は広く、月次ベースの売上が半減している会社も多いようだ。今後もコスト削減のため、例えば東芝は携帯電話での国内生産撤退を決めた。シャープも輸出を大幅に減らし、海外で販売する液晶テレビは海外に生産委託していくという。資源が無く、食糧自給率が40%程度で少子高齢化で人口減の日本が海外で稼がなければ生きていけないのは明白だが、グローバルな競争の中で、人件費が高く、法人税が高い日本国内での経済活動を海外へ移転することはグローバル企業にとって当然の経営判断である。景気悪化に乗じて従来型「バラマキ」政策を復活させている現政権には、グローバルな視点を持ち、100年に一度のパラダイム変化の時代を勝ち残るためのビジョンを示し、具体的な政策を講じることは不可能だろう。「バラマキ」は麻薬みたいなもので一時的に景気が良くなる雰囲気にはなるだろうが、何も改善されず、債務だけが残ってしまうことを認識するべきだ。

2009年5月25日月曜日

5/25(月) 雇用は遅行指数だが・・

日経平均 9,347.00 △121.19
為替(17時) 94.98-95.01円/米ドル
 政府は5月の月例経済報告を発表し、景気の基調判断を2006年2月以来、約3年3カ月ぶりに上方修正し、「厳しい状況にあるものの、このところ悪化のテンポが緩やかになっている」とした。景気判断に使う主な11分野の個別判断項目の内訳では、在庫調整の進展で下げ止まりの動きが出てきた輸出と生産に加え、政府の経済対策の効果で増加している公共投資、倒産件数の計4項目の判断を上方修正したが、失業率の悪化が続く雇用情勢は判断を下方修正した。完全失業率は3月時点で4.8%だが、雇用指数は景気の変化に遅行するが、気になるポイントとして有効求人倍率が低下傾向であること、雇用調整助成金制度の対象者(完全失業ではない)が200 万人を超えており、今後も雇用情勢は悪化するだろう。夏のボーナスも前年比約20%近く減額となれば、否が応でも生活防衛をせざるを得ない。特に先進国での昨今の消費スタイルの変化(質素・倹約)とエコブームという流れは、今までの時代に比べて明らかに需要が減退している。景気悪化、雇用悪化、生活防衛、総需要の減退、企業業績の低迷、雇用悪化という悪循環を断ちきるのはなかなか難しいのではないだろうか。

2009年5月24日日曜日

5/24(日) 衆議院総選挙

 9/10の衆議院の任期満了の伴う総選挙が8月中に行われる公算が高くなっている。小泉政権後の自民党による政権運営は、特に麻生政権では、小泉元首相の任期満了での引退も影響しているが、小泉・竹中路線への批判が強まっているようだ。特に昨今の世界的景気減速による景気低迷を、外需依存の強い日本が特にその影響を受けており、小泉政権時の「構造改革」の陰の部分が出てきていると、特に小泉政権時に抵抗勢力と言われていた議員の方々が息を吹き返しているようだ。(その勢力は自民党のベテランで麻生政権でも要職に就いている方々も多い)
 この世界的景気悪化に乗じて、不況を小泉改革の失敗という風潮にし、危機に乗じて史上最大の景気対策を打ち出し、次期総選挙に向けた官僚任せの公共事業などの「バラマキ」が残念ながら実行されつつある。100年に一度のパラダイム変化が起きようとするこの状況で、今こそ国家ビジョンを示し、強い意志を持って構造改革を行うべきだが、残念ながら麻生政権による「バラマキ」は一時的に景気指標は改善されるが(15兆円も使えば当たり前のことで、麻薬みたいなもの)、ビジョンも改革も無い景気対策では、少子高齢化で人口減の将来の日本に巨額の借金だけが残され、経済成長もできないまま日本経済の低迷が深刻化してしまうだろう。この流れを止める一つの方法として政権交代を実現させ、古い政治家・官僚主導の統治を止める意義があるだろう。マーケットも好感するかもしれない。

2009年5月23日土曜日

5/23(土) 米トリプル安懸念

NYダウ(23日終値) 8277.32 ▼14.81
為替(23日NY終値) 94.70-80/米ドル
 米国債相場は下落し、10年債は週間ベースで2008年6月以来最大の下げ幅となった。2週間ぶりに再開される財務省の入札を前に投資家は国債を買い控えた。10年債利回りは昨年11月以来初めて3.4%を上回った。過去最大規模の国債発行で、米国の「AAA」格付けが損なわれる可能性があるとの懸念が広がっている。特に長期債が下落しており、最近のドル安傾向(対円で4月上旬には101円台から、最近は94円へ円高)や、株価も3/9からの上昇相場も最近は上値が重い展開になってきている。リーマンショック後の景気急減速が昨年10月から続いていたが、3月あたりから一部景気指標に下げ止まり感が出始め、世界景気に楽観的な見方が広がっていたが、雇用の悪化や今も燻る金融不安もあり、株式市場は上値を追うだけの材料に乏しい。むしろ米金融不安や景気対策のための巨額な財政出動(財政赤字)へマーケットの視点が移ってきた。今後は財政出動による景気への明確な効果や、今後の米・財政再建への明確な道筋が見えない限りは、ドル安・債券安・株安というトリプル安への懸念を抱えながら投資判断を行っていく必要がある。

2009年5月22日金曜日

5/22(金) 米・格下げ懸念

日経平均 9225.81 ▼38.34
為替(17時) 94.19-22/米ドル
 米国は今後も財政赤字が拡大するとみられ、米格付け会社による英国債の格付け見通し変更をきっ かけに米国債の格下げの可能性が高まっているとの見方が広がっている。ムーディーズ・インベスターズ・サービスが米国の格付けについて「永久に付与することはできない」との見解を示している。また、「債券王」こと、米パシフィック・ インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース最高投資責任者はロイターに対し電子メールで、米国が最高格付けを失うことへの懸念がドル・米株・米債の売りにつながったとの認識をることは保証できない」との述べている。ここのところのドル安・円高(4月上旬の101円台から現在94円台前半)はおそらく米国の財政赤字拡大と米国債格下げを織り込みに来ているだろう。2009年は米財政赤字は国内総生産(GDP)比で戦後最悪の12.9%まで悪化し、赤字幅は2月に提出した予算の基本方針での予測に比べ、890億ドル拡大している。「強いドルの維持」とガイトナー長官はコメントしているが、財政赤字の拡大、国内産業の低迷を考慮すると、輸出拡大や財政赤字の評価低減のため、本音はドル安の容認ではないだろうか。

2009年5月21日木曜日

5/21(木) GM

日経平均 9264.15 ▼80.49
為替(15時) 94.55-50/米ドル
 経営危機に陥っている米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の幹部3人が、退職金の一部として取得するはずだったGM株計約20万株を前倒しで受け取り、すべて売却していたことが20日分かった。ラッツ副会長ら3人は10%のペナルティーを支払ってGM株を前倒しで受け取り、同日までに売却したとのこと。
 11日にも同副会長ら幹部6人が保有するGM株のすべてを売却していたことが判明。GMは連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)適用を申請するとの見方が強まっており、幹部が経営破綻を前に保有株を売り抜けたとの観測から株価は急落し、13日に70年以上も前の安値水準の1ドルちょうどをつけた。ガイトナー財務長官は20日の会見でGMへの対応に関するコメントでは明言を避けたが、もし仮に連邦破産法11条を定期要した場合、GM本体だけでなく、部品メーカー、系列ディーラーへの厳しい影響は避けられないだろう。今後の失業増での消費冷え込みや労組などによるバイ・アメリカン運動など社会問題へ発展する可能性もあり、株式市場へも少なからず影響が出るだろう。

2009年5月20日水曜日

5/20(水) 邦銀の成長戦略

日経平均 9344.64 △54.35
為替(15時) 95.50-55/米ドル
 6大銀行グループの2009年3月期決算が19日出そろい、連結最終損益の合計額は1兆1793億円の損失となり、5年ぶりに赤字に転落した。世界的な金融危機の余波で保有株式の価格が急落。貸出先企業の業績悪化で、不良債権処理損失が1兆7000億円と4年ぶりの水準に膨らんだ。本業である貸し出しの伸びもこのところ鈍化し、また、「貯蓄から投資へ」の流れも金融不安により大幅に後退、投資信託等の販売も低迷している。
 10年3月期の最終利益見通しは、6グループ合算で8950億円の黒字を想定しているが、世界的な景気急減速が企業業績を圧迫し、雇用への影響が出てておりGDPの約60%を占める個人消費も低迷が始まったばかりだ。夏のボーナスも前年比約15%の減額の見込みで消費低迷の糸口は見つかっていない。世界的な金融不安の中でいかに成長戦略を描き、欧米に比べ劣勢だった金融サービスなど競争力を如何に高めるかを見極め、期待できる先には中長期的視点で投資を行っていきたい。

2009年5月19日火曜日

5/19(火) 景気安定と失業増

日経平均 9290.29 △251.60
為替(15時) 96.35-40/米ドル
 ガイトナー米財務長官は18日、米誌主催の昼食会で「経済成長率がプラスに転じても、多くの米国民にとって心地良い状況にはならない」と述べ、米景気が安定しても失業の増加は長引くとの見通しを示した。またガイトナー氏は金融市場が小康状態になっていることなどを挙げ「米景気の悪化ペースは鈍化している」と指摘したが、「この先も道は平たんではなく、しばらくは脆弱な状況が続く」と語った。
 このコメントにおける景気の安定とはどのようなニュアンスなのだろうか?おそらく、昨年来の世界景気急減速は一服し、四半期ベースでは前期比プラスに転換するのではないかとの見方だろう。特に1-3月期のGDP(国内総生産)のマイナス幅は例えば日本で前期比▼16%程度が予想されており、その低水準(1-3月期)からは若干ながらでも4-6月期はプラスになったとしても、景気が底打ちしたとはまだ言えないだろう。雇用悪化、個人消費の低迷、企業業績の低迷という負の連鎖を断ちきり継続的に景気回復軌道に乗せるまでには、燻り続ける欧米金融不安の解消が必須だが、当社では、2009年中の解消は難しいと見ている。

2009年5月18日月曜日

5/18(月) 新型インフルエンザ

日経平均 9038.69 ▼226.33
為替(15時) 95.00-05/米ドル
 新型インフルエンザの国内感染拡大問題で18日、兵庫県や大阪府で新たに高校生らの感染が確認され国内の感染者は計130人となり、近畿地方での感染が広がっており、神戸市内では5歳の男児や60歳の男性など高校生以外の感染者も出た。三菱東京UFJ銀行の神戸市の三宮支店でも行員の感染が判明、同行が支店の行員約60人を自宅待機とし、JR西日本の関連会社でも社員の感染を確認、キヨスク売店など8店舗を休業した。
 今後の感染拡大の沈静化とウィルスが毒性を強めないことを祈るばかりだが、予防意識の高い日本ですら感染拡大していることを考慮すると、日本だけでなく世界的な感染者拡大と、営業停止、外出・出張自粛、イベントの中止など景気への悪影響が心配される。例えばインフルエンザ陽性となった妊婦や心臓病など持病を持つ人、ガン患者など、一体どこでどのように医療を受けられるかなどの必要な情報提供ができていない政府・厚労省の対応を考えると、現状を改善させるだけの政策やアナウンスは期待できないと思われるので、このままだと少なからず経済活動にも悪影響が出てしまうだろう。
 
 

2009年5月17日日曜日

5/17(日) 一部景気指標好転の中身は?

 昨年のリーマンショック以降の景気急減速後、最近発表の一部景気指標に下げ止まり感や改善の兆候が現れ、それを受けて株式市場も3/10頃以降堅調に推移している。米国財務長官ガイトナー氏やFRB議長バーナンキ氏が年内にも景気回復の可能性を示唆したが、果たしてその可能性は高いのだろうか?
 例えば、大手電機メーカーの業績予想では不振が長期化するおそれが出てきている。大手8社による2010年3月期(今期)は、景気回復や国内外での政策支援など外部環境好転の期待に加え、コスト削減を通じて年度後半に業績回復させるシナリオを示した。各社の赤字幅縮小は、コスト削減と下期以降の事業環境の改善を見込むことが主要因で、例えばNECは前期比で2700億円の固定費削減を実施する計画で、矢野薫社長は会見で「十分に達成可能」と強調。最近の一部景気指標の改善は在庫調整や人件費等のコスト削減が主な要因と考えられ、需要が回復したわけではない。一方、受注や業績回復時期の想定は下期に集中している。100年に一度の危機かどうかはわからないが、内需が落ち込み、雇用が切られ、倒産が増加し、さらに企業業績が悪化するという負のスパイラルを年後半には断ち切れると考えるのは楽観的な見方ではないだろうか。

2009年5月16日土曜日

5/16(土) 実体経済の悪化と回復

NYダウ 8268.64 ▼62.68
為替(15日NY終値) 95.15-25/米ドル
 内閣府が20日発表する2009年1―3月期の実質国内総生産(GDP)が戦後最大の下落率になるとの観測が広がっているようだ。民間調査機関27社による予測平均は前期比年率で16.0%減。予測通りになれば、第1次石油危機時の1974年1―3月期の13.1%減を超え、35年ぶりに「戦後最悪」を更新する。ただ4―6月期は生産の持ち直しなどでプラスに転じるとの見方も出ているようだ。
 戦後最悪の16%減として、昨年のリーマンショック後の景気急減速が数字に現れるわけだが、最近の株式が堅調であるように、景気急減速がさすがに一服感が出て各種景気指標に一部に横ばいもしくは若干のプラスが出始めている。4-6月中は景気指標が当初予想より悪くはないものもあるだろうが、実際に景気回復局面に入るかというと時期尚早だと思われる。内需が落ち込み、雇用が切られ、倒産が増加し、さらに企業業績が悪化するという悪循環はそう簡単には断ち切ることはできないのではないだろうか。一例を挙げると、夏のボーナスも平均支給額で15%減の見込みの状況で、個人消費の回復を期待するのは極めて難しいだろう。
 

2009年5月15日金曜日

5/15(金) 米国実体経済の悪化

日経平均 9265.02 △171.29
為替(15時) 95.89-94/米ドル
 クライスラーは系列ディーラーの25%の削減を公表、ゼネラル・モーターズ(GM)も2010年までに4割を減らす予定で、両社の経営危機や新車市場の縮小に伴いディーラー網の統廃合は避けられなが、日本メーカーの米販売政策にも影響を与えそうだ。
 米AP通信によると、クライスラーは14日にも、全米に3200社あるディーラーのうち800社の経営者に、ディーラー契約の打ち切りなど閉鎖を通告するとのことで。3200社の50%がクライスラー車の9割を販売しており、不採算店を中心に閉鎖する。GMは6200社のディーラーを3600社に減らす計画を立てている。当然、削減されたディーラーの雇用が維持される可能性は低く、今後の失業率の悪化や個人消費などの実体経済の悪化は避けれれない。内需が落ち込み、雇用が切られ、倒産が増加し、さらに企業業績が悪化するという悪循環が断ち切られたわけではないこと認識してすべきだ。最近の株式市場は、2009年中に景気回復すのではとの楽観的すぎる見方まで台頭し、堅調地合いが続いているが、今後は冷静な投資判断が求められよう。

2009年5月14日木曜日

5/14(木) センチメントが転換?

日経平均 9093.73 ▼246.76
為替(15時) 95.50-55/米ドル
 最近の市場参加者の中心は1-2か月程度の短期的な方向性にベットする投資家だと以前より指摘していたが、3/11の日経平均7062円からの上昇相場は、空売りの残高が相当溜まっていた反動もあり、買戻しを中心に約2か月堅調相場が続いていたが、センチメント(投資心理)が転換したのではないかと見ている。理由としては、①空売りの買戻しも大方一巡したと推測されること②リーマンショック後の景気急減速が一服し、一部指標に下げ止まり感がでてきたことをマーケットは織り込んだ③CTA(商品投資顧問業者)やヘッジファンドの投資戦略の一つであるマネージド・フューチャーズ(先物市場でマーケットの方向性のトレンドにベットする)が株式ロング(買い)からショート(売り)に転換した可能性が高い、が挙げられる。株式は一般的に6か月程度景気を先読みしていると言われており、今後日経平均が現状の9000円から10000円の大台を回復するには、2009年末までに景気回復が始まると確認できることが必要であろう。当社では、米金融不安が未だ燻り続けていること、GDP(国内総生産)の55%を占める個人消費の回復が、ボーナスカットや雇用不安から難しいと想定しており、現状では慎重な投資スタンスを推奨している。

2009年5月13日水曜日

5/13(水) 米ドルへの信認

日経平均 9340.49 △41.88
為替(15時) 96.45-50/米ドル
 英BBC放送は12日、民主党「次の内閣」の財務相を務める中川正春衆議院議員が、「民主党が政権を握ったら、ドル建ての米国債は購入しない」と発言したと報じ、為替市場でドルが対円で売られる要因となった。次期総選挙後に政権を担う可能性がある民主党の幹部が、ドルの安全性に懸念を表明したことで、ドルに対する不安が強まったとみられる。オバマ大統領が提出した予算教書では、2009会計年度(08年10月―09年9月)の財政赤字を1兆8410億ドル(約180兆円)と予測、赤字幅は2月に提出した予算の基本方針での予測に比べ、890億ドル拡大した。米財政赤字は国内総生産(GDP)比で戦後最悪の12.9%まで悪化している。今後もGM問題、ストレステスト後の金融不安に対する公的資金の投入の可能性、追加の景気刺激策など、さらなる財政赤字の拡大の可能性が高まる中、中川氏の米ドルへの信認低下への発言は、妥当な意見であろう。市場関係者の中では、米ドルに変わる基軸通貨が見当たらないので多少の信認低下があっても基軸通貨の地位は維持するだろうとの見方が多いようだが、2008年からの不況は100年に一度の危機であるかもしれないことを留意しておくべきだ。

2009年5月12日火曜日

5/12(火) 米財政収支

日経平均 9298.61 ▼153.37
為替(15時) 97.25-30/米ドル
 オバマ米大統領は、政権発足後初の予算教書の詳細を議会に提出し、2009会計年度(08年10月―09年9月)の財政赤字を1兆8410億ドル(約180兆円)と予測。赤字幅は2月に提出した予算の基本方針での予測に比べ、890億ドル拡大した。米財政赤字は国内総生産(GDP)比で戦後最悪の12.9%まで悪化する。2010会計年度(09年10月―10年9月)の財政赤字も1兆2580億ドルと、2月の予測から870億ドル拡大。GDP比では8.5%となる。前提とした経済見通しは2月と変わらずで、09年暦年の実質経済成長率は▼1.2%、10年は△3.2%、11年は△4.0%への回復を見込んでいる。
 国際通貨基金(IMF)が4/22日発表した世界経済見通しで米国の成長率は今年が▼2.8%、来年がゼロの見通しだ。また、経済協力開発機構(OECD)は、2009年を▼4.0%と予想している。米政府の予想はかなり楽観的過ぎるのではないだろうか。また、楽観的に見通しにもかかわらず財政赤字幅が悪化しており、米ドルへの信認低下が今後懸念される。

2009年5月11日月曜日

5/11(月) 夏のボーナス

日経平均 9451.98 △19.15
為替(15時)  98.40-45/米ドル
 日本経済新聞社が10日まとめた2009年夏のボーナス調査の中間集計によると、平均支給額は前年に比べ15.2%減となった。伸び率が比較できる1977年以来、初めて2ケタのマイナス。製造業は全業種で前年割れとなり、自動車や機械など輸出型産業では減額率が軒並み2割を超えた。サラリーマンの所得が大幅に減ることで、国内消費の下押し圧力となる可能性もある。前年と比べたマイナス幅は、アジア通貨危機後の不況が深刻だった99年の5.9%を大幅に上回り過去最大となった。支給額は加重平均で71万7051円(38.1歳)となり、前年を約12万9000円下回る。
 定額給付金の支給が開始され、給付対象者1人につき12,000円(ただし、基準日において65歳以上の者及び18歳以下の者については20,000円)で、仮に18歳以下の子が二人いる4人家族で総額64,000円の支給で、ボーナスの減額分の約半分相当となる。特に日本の主要産業の製造業ではボーナスだけでなく給与も大幅に引き下げられるケースも多く、GDP(国内総生産)の55%を占める個人消費が定額給付金をきっかけに回復することはまずなさそうだ。

2009年5月10日日曜日

5/10(日) ストレステストと銀行融資残高

 米政府と米連邦準備理事会(FRB)は、大手金融機関19社の健全性を審査する資産査定(ストレステスト)の結果を公表した。景気が一段と悪化した場合の潜在的な損失が来年末までで計6000億ドル弱(約60兆円)になると予測している。バンク・オブ・アメリカ(BOA)、シティグループなど10社について計746億ドル(約7兆4000億円)の資本不足の恐れがあると査定し、結果を受けて米金融機関は増資などの健全化策に着手した。バーナンキFRB議長は7日の記者会見で「査定結果は投資家と一般市民にかなりの安心感を与える」と指摘した。ガイトナー財務長官も「金融システムの透明性」が高まることで貸し渋りなどの信用収縮の解消につながるとの見方を強調した。
 金融当局は銀行への信頼を醸成しようと躍起になっているように思えてしかたがない、と先日も書いたが、例えばBOAの場合、公表されている全ローン残高が約1.4兆ドル(約140兆円)で、現在の景気悪化と今後の動向次第で、仮に全融資残高の10%が損失となった場合、1400億ドル(約14兆円)となる。さらに保有している各種証券化商品やデリバティブ等の損失処理を行った場合に、果たしてストレステストの結果のような損失予想や増資計画で足りるのだろうか。最近の株式市場はやや楽観的過ぎる反応のように思える。

2009年5月9日土曜日

5/9(土) 米金融当局の意図

NYダウ(8日終値) 8574.65 △164.80
為替(NY8日終値) 98.40-50/米ドル
 NY株式市場は前日公表された金融機関の財務健全性を審査する資産査定(ストレステスト)の結果が安心感につな金融株が上げた。資産査定では19社のうち10社が資本不足に陥る可能性があると指摘され、不足額の合計は746億ドル。バンク・オブ・アメリカは339億ドルの資本増強が必要とされた。事前に伝わっていた内容と一致する部分も多く、米金融健全化に向け前進したとの見方が聞かれた。
 ところで、米当局が厳しさを誇示する今回の検査だが、公表された増資必要額は、国際通貨基金(IMF)が4月にまとめた国際金融安定性報告で「金融機関の健全性を危機以前の水準に戻すために必要」とした約2750億ドルに遠く及ばない。ストレステストにおける経済シナリオも、今年の成長率を▼3.3%、平均失業率は今年が8.9%、来年が10.3%だが、既に4月の雇用統計で失業率は8.9%になっている。また、貸し倒れに対する損失の割合は9.1%を見込んでいるようだが、果たして住宅ローンや消費者ローン債権が貸し倒れになった場合に9.1%の損失で済むのだろうか?金融当局は銀行への信頼を醸成しようと躍起になっているように思えてしかたがない。

2009年5月8日金曜日

5/8(金) トヨタ

日経平均 9432.83 △47.13
為替(15時) 99.27-32/米ドル
 トヨタ自動車は2010年3月期の連結業績(米国会計基準)は8500億円の営業赤字になる見通しと発表した。販売の落ち込みと円高をコスト削減で補い切れず、初の連結営業赤字となった09年3月期からさらに損失が拡大する。ちなみに会社四季報春号(東洋経済新報社)の予想では7000億円の営業赤字の予想であった。渡辺捷昭社長は「中国やインドなど一部地域では回復がみられるが、欧米を中心に景気回復にはしばらく時間がかかる。足元の市場環境が当面続くと覚悟しなくてはならない」と述べた。
 最近のマーケットは2009年後半に世界景気は回復を始めるとの見方が強まり世界の株式市場は堅調に推移しており、日経平均でも年初来高値更新中だ。トヨタの2010年3月期の予想が慎重なのは、自動車業界全般の不振と、世界経済の不振と両方の要因であろうが、2010年度決算で底打ち・回復と見るのは早計で、最近のマーケットはやや景気回復をに対し楽観的過ぎるように感じられる。雇用悪化、企業倒産増加、個人消費の低迷の悪循環が短期間で断ち切るのは難しいと考えるのが自然だと思われる。

2009年5月7日木曜日

5/7(木) 米ストレステスト

日経平均 9385.70 △408.33
為替(15時) 98.55-60/米ドル
 米財務省や米連邦準備制度理事会(FRB)など米金融当局は6日、米大手金融機関19社の資産査定(ストレステスト9の検査結果を7日に公表すると発表した。景気がより悪化した場合、各金融機関が必要とする資本増強の規模などについて明らかにする。米メディアによると、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が約350億ドル(約3兆4650億円)の自己資本不足を指摘されたほか、10社程度が資本増強の必要性があるという。シティグループが50億ドル程度、ウェルズ・ファーゴが150億ドル程度、米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の金融関連会社GMACは、115億ドルの資本増強が求められたもようだ。このうちバンカメは、米政府が持つ優先株を普通株に転換して自己資本を増強し、不良資産の処理を進める方向で、マーケットでは最悪のケースでも優先株を普通株への転換で資本増強が可能で、資本不足に陥る心配が無くなったとの見方から、バンカメ、シティなど金融株が大幅上昇している。しかしながら、ストレステストの詳細を吟味した上で、現在までの景気悪化や今後の景気低迷時に金融機関の体力が本当に耐えうるものなのか慎重に判断を下しても投資判断は遅くないのではないだろうか。
 

2009年5月6日水曜日

5/6(祝) バンカメ

NYダウ(5日終値) 8410.65 ▼16.09
為替(5日NY終値) 98.75-85/米ドル
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙が5日明らかにしたところによると、米バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は政府のストレステスト(健全性審査)で340億ドルの資本増強が必要と判定されたもようで、これまでに報道された額を大きく上回っており、ストレステストの結果で主要各行が民間からの資本調達で賄うことで対応できるのではないかとの期待感から最近は株価が堅調であったが、バンカメのニュースを受けて米株価指数先物は下げ幅を拡大、円が幅広く上昇している。
 マーケットでは、リーマンショック以降の景気急減速を織り込み、金融不安もサブプライムローン関連の証券化商品での損失への引当ても、相当部分が解決への道筋が見えてきているだろうが、今後は実体経済悪化による消費者ローンや商業不動産ローンの焦げ付きが懸念される。当面は3月上旬までの下落局面で貯まった空売りの買戻しはまだ続く可能性が高いと思うが、マーケットが実体経済の悪化による不良資産の増加が懸念し始める局面が5月下旬あたりから始まるのではないかと見ている。

2009年5月5日火曜日

5/5(祝) UBS

NYダウ(4日終値) 8426.74 △214.33
為替(NY4日終値) 98.70-80/米ドル
 スイスの銀行大手UBSは、第1・四半期の純損失が20億スイスフラン(17.6億ドル)になったと確認した。顧客の資金流出が継続するなか、評価損の計上が重しとなった。また、目先の業績に対して慎重な見方を維持していることを明らかにした。UBSによると、第1・四半期は中核事業である富裕層の資産運用事業とスイス国内の銀行事業で、ネットで234億スイスフランが流出。世界の資産運用事業においてもネットで77億スイスフランが新たに流出した。また、UBSは投資銀行部門によるリスクの高い米国の金融商品への投資により、500億ドル超の評価損の計上した。
 先日も、EU(欧州連合)では、ユーロ圏(16ヵ国)などの経済見通しを発表し、金融危機、貿易の縮小、住宅市場の冷え込みを理由に、ユーロ圏の2009年の実質域内総生産(GDP)成長率予測を1月の前年比▼1.9%から2.1%引き下げ、▼4%としたばかりだ。米金融機関のストレステストの結果や、景気指標は世界経済の回復に重要であることは言うまでもないが、欧州の金融機関の不良資産の処理は米国に比べ遅れていると思われるので、今後はより一層欧州経済を注視しておく必要があるだろう。

2009年5月4日月曜日

5/4(祝) 偽りの夜明け

 日銀の白川総裁は4/23に「日本経済は1990年代の低成長においても、何度か一時的な回復局面を経験したが、このことは経済がついに牽引力を取り戻したと人々に早合点させる働きをしたように思う」と指摘。その上で「これは『偽りの夜明け』とも言うべきものだったが、人間の常として、物事がいくぶん改善すると楽観的な見方になりがちだ」と述べ、一時的な回復を本当の回復と見誤ることに警鐘を鳴らした。麻生総理も総理就任当初、今回の不況は全治3年という話をされていたが、確かに3年で、1929年の米国も、1989年の日本も、 2000年のITバブルも、株価の底入れに3年近く掛っていた。今回の米国株のピークは2007年10月ですから、3年先だと2010年後半以降となる。ちなみに、EU(欧州連合)では4日、ユーロ圏(16ヵ国)などの経済見通しを発表し、金融危機、貿易の縮小、住宅市場の冷え込みを理由に、ユーロ圏の2009年の実質域内総生産(GDP)成長率予測を1月の前年比▼1.9%から2.1%引き下げ、▼4%とした。最近の株式市場での投資心理が好転していることは好ましいことだが、やや楽観的になり過ぎているように感じられる。GW明けは冷静に利食い売りや戻り売りを実践することが賢明ではないだろうか。

2009年5月3日日曜日

5/3(祝) 豚インフルエンザ

 世界保健機関(WHO)の当局者は2日、新型インフルエンザの警戒水準を「6」に引き上げる可能性があることを明らかにした。 WHOのマイケル・ライアン氏は2日のジュネーブでの記者会見で、「現段階でわれわれはフェーズ6に達することを予想する必要がある。そうならないよう期待しなければならない」と語った。また、与謝野財務・金融・経済財政担当相は3日、新型インフルエンザが新たな世界的な脅威になる恐れがあるとの認識を明らかにした。
 マスコミ報道でも連日、豚インフルエンザ問題がトップニュースとなり、各国で確実にウィルスが拡大している。メキシコでの経済活動への影響として、首都メキシコシティではレストラン、映画館など人が集まる場所は事実上閉鎖となっており、同市の経済活動のおよそ4分の1が完全に停止していると言われている。今後もメキシコにある組立工場などが操業休止の影響が出てくる見通しで、一部エコノミスト予想で、現在の状況が2-4週間続いた場合で、GDP(国内総生産)で0.5%-1.0%程度マイナス要因と分析されている。いち早くインフルエンザが終息に向かって欲しいと願っているが、株式投資の観点では、今後の世界的な経済活動への影響の広がりも想定し、冷静な対応が必要であろう。

2009年5月2日土曜日

5/2(土) 米新車販売、急速な減少にも一服感

NYダウ(1日終値) 82412.41 △44.29
為替(NY1日終値) 99.05-15/米ドル
 1日まとまった4月の米新車販売台数は前年同月比34.4%減の81万9540台だった。前年実績割れは18カ月連続で、4月30日に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した米クライスラーはほぼ半減した。季節調整後の販売動向を示す年率換算の販売台数は932万台と3月に比べ減少したが、急ピッチだった減少率はやや縮小しているが、底ばい状態が続いている。
 株式市場は実体経済をおよそ6ヶ月程度先取りしていると言われているが、昨年のリーマンショックから今年3月上旬までの急激な下げ局面は、実体経済が昨年第4四半期から今年の第2四半期くらいまでは厳しい環境が続くと見ていたのだろう。その間、各国が財政製出動を伴う景気対策と、さすがに消費節約疲れの反動で消費も少し底打ち感が出ているのだろう。株式相場もこの一服感が出ている間は下押しはないかもしれない。今後の焦点は年内に景気回復が始まるかどうかであろう。エコノミスト等の市場関係者の中には年内景気回復論が最近活発化しているが、雇用悪化の影響から再度個人消費が落ち込む可能性が高いと思われ、当社では年内景気回復は難しいと予想している。

2009年5月1日金曜日

5/1(金) 雇用悪化

日経平均 8977.37 △149.11
為替(15時) 98.84-89/米ドル
 総務省が1日発表した3月の完全失業率(季節調整済み)は前月から0.4ポイント上昇して4.8%と、2004年8月以来の高水準となった。また、厚生労働省が発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は0.52倍と前月を0.07ポイント下回り、02年4月と並ぶ低水準となり、主要エコノミスト予想の中央値よりも悪い数字となった。業績不振企業が非正規社員だけでなく、正規社員の雇用調整にまで踏み込むようになり、雇用の悪化スピードが加速している。
 一部の景気指標に下げ止まり感や底打ち感が出始め、株価はそれを先取りし最近は堅調相場が続いている。本日発表の雇用の数字は景気の遅行指標と言われているが、雇用の冷え込みが当面続く公算が高く、日本のGDP(国内総生産)の約6割を占める個人消費がさらに冷え込む可能性が高いとみるべきだろう。内需が落ち込み、雇用が切られ、倒産が増加し、さらに企業業績が悪化するという悪循環が断ち切られたわけではないこと認識して株式相場を注視していくべきであろう。

2009年4月30日木曜日

4/30(木) 日本経済は夜明け?

日経平均 8828.26 △334.49
為替(15時) 97.31-36/米ドル
 経産省が30日発表した3月の鉱工業指数速報(季節調整済み、 2005年=100)によると、生産指数は前月比1.6%上昇し、前年同月比では34.2%の低下となった。製造業の生産活動は底入れし、日本経済も夜明けが見えてきたとの見方も台頭している。昨年のリーマンショック以降の景気急降下がさすがに一服し、景気指標の一部に下げ止まり感が出てきており、3月上旬の株価低迷期と比較しても明らかに投資心理も改善し、市場関係者も景気見通しに対して楽観的な見方が増えてきている。
 今後の株価動向は、世界景気が回復局面に入るか否かの見方で決まってくるであろう。大きく分けると三つにシナリオが想定されるのではないか。①年内にレの字的な回復:景気対策などを背景には底打ち後、緩やかな回復局面に入る、②L字型:一時的に景気対策などで景気悪化は止まるが回復力は鈍く横ばいが続く、③景気底打ちは2010年以降:景気対策などで一時的に下げ止まったかに思われるが、実体経済の悪化からの雇用の悪化で消費マインドは冷え込みデフレが進行する、であるが、当社では①10%②50%③40%の確率と見ている。

2009年4月29日水曜日

4/29(祝) 米、景気指標の下落が一服感

NYダウ(28日終値) 8016.95 ▼8.05
為替(NY28日終値) 96.40-50/米ドル
 米国不動産価格の代表的指標である、2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数で全米主要10都市の住宅価格指数は前年比▼18.6%だった。前年比で過去最大の落ち込みを示さなかったのは16カ月ぶりで、住宅市場の底入れが近い可能性が示され、前月比は▼2.2%だった。 前年同月比で下落したものの、下落幅が過去最大となった1月と比べ縮小した。また、4月の消費者信頼感指数は前月の26.9(1985年=100、季節調整済)から39.2へ2005年11 月以来の大幅な上昇となり、市場予想も上回った。
 3月上旬以降の堅調相場は米国の一部指標に下げ止まり感が出始めたことが背景にあるが、今後のマーケットの方向性を占う意味で、G7での声明通りに年内に景気回復を始めることが株価上昇には必須だ。リーマンショック後の世界経済は景気急降下の状況であったので、急降下を半年ほど経てこの時期に下げ止まり感や一服感が出るのは当然だ。むしろ金融不安から実体経済に波及し始め、今後は消費者ローン、商業不動産ローンなどの不良資産化が懸念されるので、この1-2か月の堅調相場が今後も続くと考えるのは早計であろう

2009年4月28日火曜日

4/28(火) センチメント(投資心理)の揺り戻し

日経平均 8493.77 ▼232.57
為替(15時) 95.94-99/米ドル
 東京株式市場は急反落した。前場はプラスで引けたが、後場寄りにウォールストリート・ジャーナル紙(電子版)が、ストレステスト(金融機関の資産査定)の暫定結果に基づき米規制当局がシティグループ とバンク・オブ・アメリカ に対し、増資が必要になる可能性があるとの認識を伝えたと報道したことをきっかけに株価は急落した。円高進行、アジア株安、globex(シカゴの24時間金融先物取引システム)での米株先物のマイナス拡大などがスパイラル的に起こり、先物での仕掛け的な売りを誘ったようだ。
 そもそもストレステストの結果で一部の金融機関で増資が必要であるとの見方は以前よりあったのだが、最近の株式市場のセンチメントは3月上旬以降は世界景気の年内の回復期待から好転していたため、世界的に株価は悪材料にはあまり反応せず堅調に推移していた。5月相場は国内の2009年3月期本決算と今年度の業績見通しを見極めつつも、センチメントは強気から弱気に傾いていくのではないだろうか。特に最近の市場参加者の中心は短期的志向の投資家が多いように思われるので、3月以降の堅調相場は目先弱気相場に転換したと見るべきだろう。

2009年4月27日月曜日

4/27(月) GDP成長率を前年度比3.3%減に‐政府

日経平均 8726.34 △18.35
為替(15時) 96.65-68/米ドル
 内閣府は27日の臨時閣議で、09年度の実質国内総生産(GDP)成長率見通しを前年度比0.0%から前年度比3.3%減に下方修正する見通しを明らかにした。また、消費者物価の総合指数も同0.4%減から過去最大の同1.3%減へ大幅な下方修正した。ちなみに国際通貨基金(IMF)では22日に世界経済見通し(WEO)の経済予想部分を公表し、金融危機に伴う世界経済の悪化を背景に、2009年の日本経済の成長率を前年比マイナス6.2%と予想しており、先進7カ国(G7)では最悪に落ち込む見通しだ。
 最近の株式市場では2009年中に景気は底打ち回復局面に入るのでは、との楽観的な見方が強まり、3月上旬以降堅調に推移しているし、24日のG7でも根拠は不明だが2009年中に世界景気は回復を始めるとの声明を発表した。各国の内需が落ち込み、雇用が切られ、不動産市場が冷え込み、倒産が増加し、さらに企業業績が悪化するという悪循環を財政出動による経済対策で断ち切ることができるのだろうか。一時的には景気指標をプラスにする効果はあるだろうが、持続的な回復を実現するには、国民のマインドを好転させるだけの中長期的なビジョン(希望)と、マインドが変わるまでの相応の時間が必要ではないだろうか。

2009年4月26日日曜日

4/26(日) コスモスイニシア、私的整理へ

 ジャスダック上場のマンション販売大手、コスモスイニシア(旧リクルートコスモス)が債務負担を減らして経営再建をめざす私的整理に踏み切ることで銀行団と調整に入った。事業の縮小や再構築などの再建計画を示す見返りに、3メガバンクや住友信託銀行など約40の取引金融機関に債務の株式化や返済期限の延長を要請する。銀行団と協調して有利子負債を削減し、経営を立て直す。同社はMBO(経営陣が参加する買収)で2005年にリクルートグループから独立し、現在の筆頭株主は東京スター銀行の筆頭株主でもある投資ファンド大手のユニゾン・キャピタル。マンション販売が落ち込み、過去の投資に伴う約2000億円の有利子負債が重荷になっている。
 3月上旬以降の株式市場は米官民投資プログラム(バットバンク)や、各国の経済対策、リーマンショック後の景気急落が一部経済指標の下げ止まりから落ち着きを見せ始め、投資心理が好転している。しかしながら、今回のコスモスイニシア問題だけでなく、国内大手銀行の中にはノンリコースローン(非遡及型融資、借り手は債権全額の返済責任を負わないが貸し手が責任を負う分貸出金利が高い)を2005年ごろから残高を増やしているところもあり、今後は銀行の業績に大きく影響を及ぼす可能性がある。現在楽観的な見方が増えている株式市場も、今後は慎重な投資行動を想定した方が良さそうだ。

2009年4月25日土曜日

4/25(土) 世界経済、年末にかけ回復開始(G7)

NYダウ(24日終値) 8076.29 △119.23
為替(24日NY終値) 97.10-20/米ドル
 ワシントンで開いた7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は24日夕(現地)閉幕し、声明での世界経済の動向について「景気後退速度の鈍化やいくらかの安定化の兆候を示すものも出ている」と述べ、一部に底入れの兆しがみられるとの判断を示した。ただ「下方リスクは継続」と指摘し、金融危機と景気後退を克服するため、財政出動や金融安定化策を含めた「必要なあらゆる行動をとる」と言明した。
 景気後退速度の鈍化は昨年のリーマンショック後の10-12月期の景気急降下が収まりつつあるといの見方であろう。安定化の兆候も同様でいくつかの景気指標が急降下したあと、若干の改善もしくは横ばいになったということで、世界経済がどのような理由や背景で、年末にかけ回復開始なのかの論拠は示されなかった。アナウンスメント効果を狙った声明と見るべきであろう。3月上旬以降、いくつかの景気指標が下げ止まり、世界の株式市場は回復傾向が続いているが、景気底入れ・回復を株式が織り込みに行っていると判断するのは早急であろう。米金融機関のストレステスト(資産査定)の内容とその打開策や、世界景気の底打ちが確認できるまでは、現状の株価水準では、戻り売りや利食いを行うのが得策だと考える。

2009年4月24日金曜日

4/24(金) 米、クレジットカード問題

日経平均 8707.99 ▼139.02
為替(15時) 97.00-05/米ドル
 米国は景気の落ち込みでクレジットカード関連、消費者ローン関連の今まで正常だった債権が劣化し始めていることが今回のバンク・オブ・アメリカの決算で明らかとなったが、米政府がクレジットカードに関する規制の強化に動き始めた。オバマ大統領は、金融業界の経営幹部と会談し、カード債務の金利規制の強化などを盛り込んだ法案の成立に意欲を見せ、景気後退下で返済に苦しむ利用者を保護するのが狙いだが、カード会社の貸し渋りが深刻になる可能性もある。
 金利の規制がどのような形で実施されるかは不明だが、オバマ大統領は「金利をいつでもいくらでも引き上げられる時代はもう終わりにすべきだ」とし、是正が遅れるようなら議会と協力し、短期間で法案を成立させる方向だという。金利の上限を制限したり、減免する場合の負担分を政府が保証するのだろうが、政府によるカード会社と利用者への具体的な支援策が待たれるところだ。金融不安での公的資金投入や各種景気対策で財政赤字が急拡大する中、今回の規制強化でさらなる財政出動を伴うことになれば、いよいよ財政赤字によるドルの信認低下を懸念せざるを得ないだろう。

2009年4月23日木曜日

4/23(木) 金融機関、赤字決算ラッシュ

日経平均 8847.01 △119.71
為替(15時) 98.00-05/米ドル
 国内の3月本決算発表が始まったが、金融機関は軒並み赤字決算となっている。野村ホールディングスの2009年3月期連結決算は、最終損益が7000億円前後の赤字になり、赤字額は過去最大。みずほFGの3月期決算について、共同通信などが「連結純損益は5000億円超の赤字になる見通し」と発表した。農林中央金庫も3月期の単独経常損益が最大で6200億円程度の赤字となるという。保有している証券化商品などの価値が大幅に下落し、多額の減損処理を実施するためだ。
 野村は既に公募増資で資本増強しているし、農中もJAグループからの増資を終了させており、まず膿を出し切り、今年度以降の業績回復に向けて前向きな経営に舵を切っていく意向だろう。本来なら大幅赤字決算で株式市場もネガティブに反応するところだが、3/10以降投資心理は好転しており、一旦は売られても下げが小さければ短期筋の買戻しが入りやすい展開がここのところ続いており、マーケットは堅調さを保っている。しかしながら、個人消費の落ち込みによる景況感の悪化は続いており、特に銀行の貸し出し債権の劣化(不良債権化)をマーケットは完全に織り込んでいないのではないだろうか。

2009年4月22日水曜日

4/22(水) 貿易収支28年ぶり赤字

日経平均 8727.30 △15.97
為替(15時) 98.28-33/米ドル
 財務省が本日発表した2008年度の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は7253億円の赤字になり、第2次石油危機の影響を受けた1980年度以来、28年ぶりの貿易赤字になった。原油高で輸入額が膨らむ一方、米欧の金融危機に端を発した世界経済の悪化で輸出額が急減した。特に自動車や電子部品などの輸出額が急減している。
 日本は資源も少なく、食糧自給率自給率も40%程度であり、世界への輸出で富を稼いでいかないと食べていけない国であることは言うまでもない。今までは付加価値の高い電化製品や燃費が良く高性能の自動車に代表される製品で輸出を伸ばすことができたが、21世紀になり100年に一度のパラダイム変化が起きようかとしているこの時期に、日本が富を稼ぐためのビジョンを明確にし、具体的な政策を実行しなければならない。過剰な貿易黒字は経済摩擦を生んでしまうが適度な貿易黒字を出せるような政策実行や制度整備を早急に政府に対し期待したい。今までの延長線上の経済対策には国民もうんざりしているのではないだろうか。

2009年4月21日火曜日

4/21(火) 米金融不安

日経平均 8711.33 △213.42
為替(15時) 98.40-45/米ドル
 東京株式市場で日経平均株価は4営業日ぶりに反落した。前日に1-3月期決算を発表したバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)の貸倒引当金が拡大したことが材料視され、米株式相場が急落したことが嫌気された。また、円相場が一時1ドル=97円台に上昇したことで輸出関連株にも売りが優勢になった。
 世界的な景気悪化の底打ちにはやはり、米国の不良債権問題が解決することが必須だと思われるが、米官民共同プログラム(バットバンク)が機能するのか、5/4にも発表される資産査定(ストレステスト)の結果、不良資産の総額がいくらなのか、どのように処理していくのかの見通しが立てられなければサブプライム等証券化商品の処理に目処がついたとは到底言えない。さらに、景気の落ち込みでクレジットカード関連、消費者ローン関連の今まで正常だった債権が劣化し始めていることが今回のバンカメの決算で明らかとなった。3月上旬以降の株式市場は景気に対する楽観的な見方が台頭し堅調に推移していたが、米金融不安が未だ燻っているので、楽観的見方は修正すべき局面ではないだろうか。

2009年4月20日月曜日

4/20(月) 新日鉄の値動き

日経平均 8924.75 △17.17
為替(15時) 98.87-92/米ドル
 東京株式相場は小幅に続伸した。中でも鉄鋼株は高級鋼の国内販売マージンが予想ほど悪化しない可能性があるとの見方から野村證券、クレディスイス証券が投資判断を格上げしたこともあり株価は連騰し、東証1部の業種別33指数の値上がり率で首位となった。
 鉄鋼の需要家、特に環境対応車を強化する自動車大手各社が、軽くて強度の強い高級鋼の中長期的な安定調達を求め、従来予想よりも値下げ幅が縮小する見込みだと、投資判断を引き上げたアナリストは予想している。当初は景気悪化による市況悪化による値下げ圧力が高まるとの見方が大勢であった。自動車業界における環境対応車の売上比率は政府の支援策もあり、今後も上昇するであろう。しかしながら未曾有の不況と言われている現状で自動車の売上がV字回復することは難しいと思われるし、他の主要な製造業の業績悪化の状況が把握されていない状況での鉄鋼株の投資強気判断には疑問が残らざるを得ない。3/10以降の上昇局面で電機・自動車などの景気敏感株が買戻しを中心に上昇する中、出遅れていた鉄鋼がここ数日で買戻しが入り上昇しているだけではないだろうか。

2009年4月19日日曜日

4/19(日) 2009年3月期決算と2010年見通し

 新日本製鉄の2009年3月期の連結経常利益は、前の期と比べ43%減の3200億円程度になったもようだ。1月時点の予想を約400億円下回る。自動車や電機など主要取引先の減産で粗鋼生産量が減少したとのことで、9月のリーマンショック後の急速な景気に冷え込みが3月期決算として5月中下旬にかけて明らかになってくる。
 一般的に株式市場は6か月程度景気を先読みしていると言われている。2009年3月期決算はあくまで過去の業績で、市場参加者も悪い内容であることは予想しているし、株価も織り込んでいる。ポイントは2010年3月期の決算の見通しを各社発表するが、その数字と内容が今後の株価の行方を左右することになる。各社の10-12月期の4半期決算発表時は、今後の見通しを立てるのが極めて難しいとして見通しの発表を控える企業がほとんどであったが、本決算発表時は今期の見通しを具体的に開示することになる。最近の株式市場は景気底打ちしたのでは、との見方すら出始めているが、23日から本格化する3月本決算の内容を確認してからでも日本株投資は遅くはないと思われるし、期待先行で上昇していた株価が決算内容を見て先行分が剥がれるのではないかと当社では予想している。

 

2009年4月18日土曜日

4/18(土) シティ1-3月期決算

NYダウ 8131.33 △5.90
為替(17日NY終値) 99.10-20/米ドル
 米株式相場は小幅に3営業日続伸。ゼネラル・エレクトリック(GE)と米銀大手シティグループの予想を上回る決算を好感した買いが相場を支えたが、このところ相場の上昇基調が続いているため、利益確定売りも出て上値は限られたようだ。
 シティが朝方発表した1―3月期決算はトレーディング収入や会計規則の変更が寄与し、6.四半期ぶりに黒字に転じたが、シティは業績改善期待から大きく上昇していたため、利益確定売りが出て約9%下げた。住宅ローンやクレジットカード・ローンの焦げ付きは膨らんでいるようだ。1-3月期は同業のJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスもトレーディングが業績に寄与したが、各社の本業である、投資銀行ビジネスや、住宅ローンなど消費者向けビジネスは低金利政策による利ザヤの改善という外部環境の追い風はあるものの、業績は改善どころか悪化傾向は続いており、金融不安は燻り続けていると考えるべきだろう。最近の市場参加者は短期志向の参加者が中心であると思われるので、3/10頃からの上昇相場もそう長くは続かないと見るべきだ。

2009年4月17日金曜日

4/17(金) 超悲観論の巻き戻し

日経平均 8,907.58  △152.32
為替(17時) 99.42-45/米ドル
 日経平均株価は続伸した。企業収益の底入れ期待が広がり、1日を通じて買いが優勢だった。前日の米株式相場の上昇もあり買い安心感が高まった。もっとも、心理的な節目となる9000円に近づくと目先の利益を確定する売りも広がりやすかった。9000円近辺での上値の重さが意識されたほか、景気悪化に歯止めがかかりつつあるものの、底入れは確認できていないことや、米金融システムへの警戒感もくすぶり、積極的に買い上げる雰囲気は乏しかった。
 つい1か月ほど前までは、さらなる景気悪化懸念や、国内でも大型倒産などが起こるのではないかとの悲観的見方がかなり強く、3/10に日経平均株価で7062円まで下落したが、その後各国の経済対策や、米不良資産の官民共同プログラム、いくつかの景気指標に改善が見られはじめ株式市場は急ピッチに上昇している。背景には3月まで景気への悲観的見方からカラ売りなど売り方が勢いづいていたため、最近はその逆の流れで買い戻しが続いており株価を押し上げている。悲観論が強かっただけに予想以上に強気相場が続いているようだ。

2009年4月16日木曜日

4/16(木) 戻り売り

日経平均 8,755.26  △12.30
為替(17時) 98.64-67/米ドル
 11時に発表された中国の1-3月期の実質国内総生産(GDP)に対する期待感から前場は急伸したが、結果は市場予想通りで、後場は手じまいの売りで急速に伸び悩んだ。大引け間際には小幅ながら下げに転じる場面もあった。前日の米株上昇も追い風に前場中ごろに、9000円台に乗せるなど全面高の展開だったが、中国の1-3月期のGDPが前年同期比6.1%増にとどまったことで、中国景気への過度な期待が剥がれたことは、株価上昇の有力な材料ではなくなったということだ。戻り売りが出るのは当然の投資行動だろう。
 株価上昇のもう一つの材料が米金融機関の決算と不良資産問題だ。1-3月期の決算は米低金利政策による利ザヤの改善もあり、市場予想を上回る決算となっているのに合わせ株価も堅調だ。しかしながら、4/9のウェルズ・ファーゴ、4/14のゴールドマンの好決算で株式市場はかなりに部分を織り込んでしまった。今後は4月末のストレステスト(資産査定)の結果で何か問題が生じてしまった場合、株価は3月上旬からの上昇が急ピッチだった分、戻り売りも多くなってしまうだろう。

2009年4月15日水曜日

4/15(水) 100年に一度の危機?

日経平均 8742.96 ▼99.72
為替(15時) 98.45-50/米ドル
 日経平均株価は3日続落し、8日以来、1週間ぶりの安値水準となった。前日に発表された3月の米小売売上高が予想に反して減少したことを受け、トヨタやソニーなど主力の輸出関連株を中心に売りが広がった。外国為替市場で円相場が2週間の円高水準である1ドル=98円台前半まで上昇したことも売り材料となった。3月上旬以降の上昇相場は今の水準が目先のピークかもしれない。
 最近の株式市場での投資心理(センチメント)は、各国の経済対策による世界景気の底打ち期待、米金融機関の1-3月期決算の改善期待、米官民合同プログラム(バッドバンク構想)での不良債権問題の解決への期待など、明らかに好転しており景気は底を打ったとの見方さえ出始めている。しかしながら100年に一度の危機と言われているように、米国の不良資産問題で、ストレステスト(資産査定)の結果や、官民共同プログラムが機能するかどうかが確認できていない状況で、株式投資に対し強気見通しを立てるのは果たしていかがなものだろうか。一旦利食い売りもしくは換金売りしてキャッシュポジションを高めて様子を見るのが得策だろう。

2009年4月14日火曜日

4/14(火) さらなる株価上昇に必要なこと

日経平均 8842.68 ▼81.75
為替(15時) 99.81-84/米ドル
 日経平均は続落した。朝方はゴールドマン・サックスの好調な1-3月期決算などを手掛かりに買いが先行したが、円高が進んだほか米自動車大手の経営懸念から自動車株など輸出株が売られ、また今晩の米半導体大手インテルの決算を前に様子見ムードが強まるなか、国内機関投資家の利益確定売りなどが出たようだ。
 昨年9月のリーマンショック後株価は急落し、世界景気も急速に落ち込んだ。日経平均で見てみると、1-2ヶ月の周期で7000円から9000円前後までで上下しており、3月上旬以降、米金融機関の1-3月期決算の改善期待、いくつかの経済指標に下げ止まり感が出始めたことで投資心理は改善している。株価は一般的に6ヵ月程度景気を先読みしていると言われているが、10-12月期までに景気が底打ち、その後の改善が期待できるならば、日経平均株価も9000円を超え10000円程度を超える上昇が期待できよう。しかしながら、過去最大と言われている景気対策も一時的には相応の効果はあるだろうが、国民が将来に対する「希望」(国家ビジョン)を持てるような政策でななく、古い自民党体質のバラマキ政策では、GDP(国内総生産)の6割を占める国民(個人消費)の心理を好転させることはできないだろう。

2009年4月13日月曜日

4/13(月) 米金融機関1-3月期決算

日経平均 8924.43 ▼39.68
為替(15時) 100.41-46/米ドル
 日経平均株価は3営業日ぶりに下落し、終値は前週末比▼39.68(0.44%)安で、相場の底堅さを背景に株価指数先物主導で9000円台を回復する場面があったものの、買いが続かなかった。短期的な相場の過熱感が強まっているほか、本格化している米企業の決算発表を見極めたいとの声が多かった。やはり注目は米金融機関の1-3月期決算内容だろう。
 予定では、14日にゴールドマン・サックス、16日JPモルガン・チェース、17日シティグループ、20日バンク・オブ・アメリカが予定されており、9日にウェルズ・ファーゴが予想外の好調な決算見通しを発表したことから、米金融機関の業績改善期待が膨らんでおり、株価も堅調に推移している。ウェルズ・ファーゴは米低金利政策による利ザヤの改善が業績回復を押し上げたが、他社に関しては、商業用不動産ローンや消費者ローン債権などの損失がどの程度の水準であるのかが不透明であるし、今月末の大手金融機関向けストレステスト(資産査定)の内容を確認し不良債権の総額が確定できるまでは、慎重に投資を行うか、現在利食いができるならば利食い売りを行うのが賢明ではないだろうか。

2009年4月12日日曜日

4/12(日) 追加経済対策

  政府・与党は首相官邸で経済対策に関する会合を開き、追加の経済対策「経済危機対策」を正式に決定した。財政支出(真水)は約15兆4000億円、事業規模は56兆8000億円で過去最大規模の対策となる。
 過去最大の財政支出による経済対策なので、景気下支えの一定の効果は当然上がるだろう。問題はその効果である。100年に一度の危機と言われる経済環境下で、日本の今後10年先、大きく言えば100年先の国家ビジョン(希望)を示し、それに伴う投資(財政支出)であるべきだが、残念ながら、古い自民党体質の延長線上の経済対策にしか見えない。今国民が求めていることは将来に対する「希望」だと思うが、現政権には期待どころか、将来へのツケ(赤字国債の大量追加発行)だけが確実に増加してしまうことになった。一時的には期待感から株価も上昇し、財政支出には一定の効果は必ずあるので、例えば定額給付金や高速道路料金値下げなど庶民レベルでわかりやすい政策による雰囲気に惑わされずに、投資に対する効果がどの程度の上がったのかを徹底検証すべきであろう。おそらく古い体質による対策なのでバラマキで終わってしまうことになるのだろう。

2009年4月11日土曜日

4/11(土) ノンリコースローン

 2004年頃から2007年にかけて東京圏、名古屋圏を中心に不動産市況は活況であったが、2008年以降、特にリーマンショック以降の世界的な景気急減速の影響で不動産市況も低迷が続いている。上場企業でもアーバンコーポレイションや、REITのニューシティレジデンス投資法人などの経営破たんもあり、不動産市況の回復には時間がかかりそうだ。
 2004年以降の好況期に不動産投資での資金調達方法として、ノンリコースローンが活用されていた。返済の原資(元手)とする財産(責任財産)の範囲に限定を加えた貸付方法で、借り手は債権全額の返済責任を負わない。責任財産からのキャッシュフローのみを返済原資とする事、その範囲を超えての返済義務を負わないが、借主にとっては万が一返済不能になった場合、強制執行により事業基盤や生活基盤まで失うリスクを著しく低減できるが、貸主(主に銀行)は追加のリスクを負う事になるため、そのプレミアム分の金利が上乗せとなるメリットがある反面、融資先への審査能力が極めて重要である。大手銀行の3月本決算の見通しが出始めたが、ノンリコースローンによる損失が決算にどの程度影響を与えるのか留意すべきである。株価は3/10の安値以降日経平均でも2割以上上昇しているので、特にノンリコースローンに注力していた銀行株は一旦売却することも検討すべきであろう。

2009年4月10日金曜日

4/10(金) 米銀行、ポジティブサプライズ

日経平均 8964.11 △48.05
為替(15時) 100-36.39/米ドル
 米銀大手ウェルズ・ファーゴ が強い四半期決算見通しを示したことで、金融安定化への期待が高まった。同行は第1・四半期の純利益が約30億ドルになるとの見通しを示し、株価は+31.7%と大幅上昇、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)も+35.3%もの上昇を見せ、フィラデルフィアKBW銀行株指数 は20.1%上伸で5週連続での上昇となり、2006年秋以降で週間として最長の上げを記録した。(米国は10日休場) 来週以降、金融機関の本格化する第1・四半期決算の好転期待が大きく膨らんでいる。
 ウェルズファーゴの好決算の背景には、米低金利政策による大幅な利ザヤの改善である。特に同社は証券化商品等への投資による不良資産がもともと少なかったため、業績の改善につながった。バンカメやシティも利ザヤ改善による収益好転期待は今日の株価上昇でかなりの部分を織り込んだとするならば、来週以降の決算発表で不良資産の評価損がどの程度の水準であるのか次第で、株価は乱高下するだろう。3月上旬からの金融株の戻りピッチが急でもあるので調整局面入りすることも視野に入れておくべきであろう。
 

2009年4月9日木曜日

4/9(木) 売り方の買戻し

日経平均 8916.06 △321.05
為替(15時) 100.00-05/米ドル
 東京株式市場で日経平均株価は急反発。△321.05上昇となり8900円台を回復した。日本の2月機械受注統計が事前の予想より良かったことや15兆円規模の追加経済対策を好感したほか、米金融機関19社がストレステスト(健全性審査)に合格するとの一部報道で後場に入り銀行株などが一段高となった。短期筋の買い戻しを中心に相場を押し上げたと見られる。
 しかしながら、ストレステストに仮に合格したとしても不良資産の総額の確定と官民共同プログラムによる不良資産の買い取りへの道筋が確実なものなのかを確認する必要性はあるだろう。短期志向の市場参加者はマーケットにプラス材料が出ればすぐに買いポジションを取るし、マイナス材料なら売るように、中長期的な視点は感じられないし、特にリーマンショック以降の市場参加者は短期志向の投資家が中心だと思われる。もし米不良資産処理の道筋が確実なものと確認できれば腰を入れて中長期的視点で投資を進めるべきだが、米消費者向けローン、商業用不動産ローンなどの問題が簡単に解決すると考えるのは早計ではないだろうか。

2009年4月8日水曜日

4/8(水) センチメントの転換?

日経平均 8595.01 ▼237.84
為替(15時) 99.85-90/米ドル
 米非鉄大手のアルコアの1-3月期決算が事前の予想より赤字幅が拡大したことから、世界的な景気悪化に対する警戒感が再燃したほか、国内企業の業績低迷が長引くことを懸念する声が出て景気底入れ時期が後ずれするとの見方が広がった。3/10の直近安値から20%以上も上昇したこともあり、利益確定売りや戻り売りが広がった。
 最近は日米の経済指標の一部で下げ止まり感が出てきたものもあり、景気底打ちは予想より早まるのではないかとの期待が先走った感もあり、マーケットは急ピッチに上昇した。証券会社等の自己売買部門、短期志向の個人投資家、マネージドフューチャーズという先物投資で市場の短期的方向性にベットするヘッジファンドの戦略の一つ、などの1-2か月単位の波動で売買を繰り返す短期志向の投資家が、日本も2009年3月期決算の低迷を見込んでセンチメント(投資心理)を弱気に転換し始めているのではないだろうか。世界景気の底打ちが確認されるまでは右肩上りの株価回復はまだ期待しないほうが良いだろう。 

2009年4月7日火曜日

4/7(火) 景気判断

日経平均 8,832.85  ▼25.08
為替(17時) 100.56-59円/米ドル
 日銀の白川総裁は7日の記者会見で、景気の先行きについて「(経済成長率見通しは)1月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)の中間評価と比べて下振れている可能性が高い」と述べた。1月の展望リポートの中間評価で、2008年度の成長率見通しをそれまでの0.1%増から1.8%減、2009年度は0.6%増から2%減に下方修正しており、白川総裁は「1月の中間評価のあと2、3月に不確実性の高まりで厳しい方向に変化していると認識してきた」と説明した。また、米国でもカリヨン証券のアナリストのメイヨ氏が大手銀行の業績見通しに対し、消費者関連ローンや商業用不動産ローンのさらなる棄損のリスクを指摘し、米大手銀行株は下落した。
 3月上旬以降の世界の株式市場は市場心理(センチメント)が好転し日米とも約20%もの上昇を見せており、株価は底打ち、景気の早ければ2009年4-6月期に底打つのではないかとの見方すら出ているが、日銀の景気判断やアナリストの米大手銀行の見通しのように、厳しい見方もできることを留意して慎重に投資を行うべきであろう。

2009年4月6日月曜日

4/6(月) センチメント(投資心理)はまだまだ良好

日経平均 8857.93 △108.09
為替(15時) 100.72-77/米ドル
 センチメント(投資心理)はまだまだ良好だ。3日の米株式相場が続伸したうえ、外国為替市場で円相場が前週末に比べて下落し、輸出採算の改善期待からハイテク株や自動車株が値上がりした。為替市場もリスク許容度改善を見込んだ円売り・ドル買いが強まっていて5か月ぶりに100円台まで円安が進んだ。対新興国通貨も3/10の東京株式市場の年初来安値水準(日経平均で7062円)を付けた日から株価の回復とともに上昇し、対韓国ウォンで約20%、南アフリカランドで約17%の円安・新興国通貨高になっている。原油価格も同様で、リスク許容度が高まっている。(センチメントが改善している)
 おそらく市場参加者で中長期的視点での日本株式への純投資を増やしている投資家もいるだろうが、最近の値動きや、現在の世界景気の不透明感から、短期的視点での市場参加者が通常時(例えばリーマンショック以前)よりその比率は高いと思われる。短期志向なので、もう一段の株高・円安もあるかもしれないが、金融不安の根源である米金融機関の資産査定や、1-3月期の決算など、不安要因がまだまだあることも留意しておかなければならない。

2009年4月5日日曜日

4/5(日) 行き過ぎた私益

 サマーズ国家経済会議(NEC)委員長がオバマ政権入りする前の1年余りの間に、ヘッジファンド「D・E・ショー」から総額約520万ドル(約5億2000万円)の高額報酬を得ていたことが3日、米ホワイトハウスの情報公開で明らかになった。今後の金融政策の運営に支障が出るのは必至だ。米国では昨年末から大手金融機関の経営幹部の高額報酬問題は指摘されており、例えばメリルリンチ元CEOのジョン・セイン氏もバンク・オブ・アメリカに救済買収される直前に1000万ドルのボーナスを要求したり、公的資金を4度受け入れたAIG幹部への高額賞与問題など、傲慢・強欲との批判が高まっている。
 おそらく2008年は信用バブルの崩壊、アメリカ借金経済の破たんと金銭的利益以外の新しいパラダイムへの変革のきっかけとなった大転換期として歴史に残るのではないだろうか。経営に失敗したにもかかわらず高額報酬を当然の権利として要求する米金融エグゼクティブはアメリカ借金経済破たんの悪しき象徴になるだろう。つまり行き過ぎた振り子(私益)が反対側(公益)へこれからの時代は戻ってくるのではないだろうか。利益を必要以上に追求するのではなく、協調しながら格差を是正し、人民を豊かにする為に、富は全体で共有するものとして社会に還元することを是とする道徳経済主義という新しいパラダイムの時代になるのではないだろうか。

2009年4月4日土曜日

4/4(土) 5年から10年後への投資、政策

NYダウ 8017.59 △39.51
為替(NY3日終値) 100.25-35/米ドル
 トヨタ自動車は3日、5月に発売するハイブリッド車「プリウス」の新型車の燃費性能が国内基準でガソリン1リットルあたり38キロメートルを達成したと発表した。トヨタが同基準で比較したところ、量産ガソリン乗用車では世界一の燃費性能になる。新型車は排気量を大きくしながら世界最高を更新した。また、政府の経済対策で、環境対応車の購入で一定水準を満たしたハイブリット車などに対し、軽自動車で10万円、普通車で20万円、新車登録から13年以上の車の買替えは+10万円の補助金を支給するという計画だ。
 世界的な景気悪化で、日本国内でも約20兆円の需給ギャップがあると言われており、足元の需要を少しでも喚起しようと定額給付金を交付しているが、消費喚起より生活防衛の心理からその効果は限定的であろう。歴史的には2008年が金銭的な利益から環境問題などの精神的な利益を追求するパラダイム変化のきっかけとなるとするならば、5年後10年後の日本や世界はどうあるべきかという姿を国民にイメージさせるためにも、環境対応車への補助金支給というわかりやいメッセージのある政策は評価すべきであろう。

2009年4月3日金曜日

4/3(金) 短期的視点と反応

日経平均 8749.84 △30.06
為替(15時) 99.57-62/米ドル
 米国の会計基準を決める米財務会計基準審議会は、時価会計の適用除外となる金融資産の対象を広げる緩和策を決定、証券化商品などを市場価格が大幅に下落しても、「売買目的」で保有する金融資産の評価額について、市場取引に基づく時価会計ではなく、金融機関独自の見積もりで決められる対象が広げられるとのことだ。NY株式市場は金融機関の損失計上が少なくなるとの見方から、売り方の買戻しを中心に株価は上昇した。
 短期的には金融機関の損失計上が減り足元の業績は改善するであろうし、短期的な売買を行う投資家は買戻しや目先の株価上昇にベットすることであろう。しかしながら、中長期的視点で企業業績の回復や新しいビジネスでの成長期待に対し投資を行う投資家は、経営実態が見えにくくなった金融機関に対し純投資を行うことができるだろうか。また損失を抱えた金融機関は損失を抱え続けることが可能となり、不良債権処理が遅れるのではないだろうか。考えすぎかもしれないが、4月末まで行われている金融機関の資産査定(ストレステスト)の進行状況を踏まえ、損失を先送りしているのではないだろうか。いずれにせよ厳しい経済環境下でこそ中長期の視点で政策を実行すべきであろう。

2009年4月2日木曜日

4/2(木) 買戻し相場はピーク近い?

日経平均 8719.78 △367.87
為替(15時) 98.70-75/米ドル
 今日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続伸し、8700円台は1/9(8836円)以来となる。前日の米株式相場が市場予想を上回る複数の経済指標などを受けて上昇したことを好感し、また米自動車市場の底入れ期待も意識され、三井住友など金融株、トヨタやホンダなど自動車株、ソニー、キャノンなどのハイテク株が大幅に上昇した。
 市場心理は米オバマ大統領就任への期待から上昇した1月上旬以来の好転だ。また昨年9月のリーマンショック以降の景気急落も落ち着き(景気指標が横ばいもしくは若干の改善)もあり、3月上旬の直近安値以降、売り方の買戻しが活発化している。当社では最近の市場参加者の中心は短期志向の投資家が中心で、実体経済の回復を見通した実需の買いは少ないと見ている。さらに株価が回復するには世界景気の底打ちと回復の目処が必要だが、米不良資産問題、東欧諸国の資金繰り問題など、不安要因は多い。直近安値約20%上昇したこと、上昇相場が約1ヶ月経過したこと、市場参加者が短期志向が強いこと、以上の理由から2-3ヶ月タームの買戻し相場はピークが近いのではないだろうか。

2009年4月1日水曜日

4/1(水) 株価は実体経済の先行指標

日経平均 8351.91 △242.38
為替(15時) 98.80-85/米ドル
 一般的に株価は実体経済の先行指標と言われていおり、6か月程度先の実体経済や景気動向を表すという。2008年9月のリーマンショックからの株価急落は今年1-3月期までの景気急減速を表していたのだろう。10/28に日経平均で7000円割れまで急落し、その後は1-2か月周期で7000円を底に9000円前後の幅で推移している。
 本日発表の3月の日銀短観では、業況判断指数(DI)は大企業製造業で▼58だった。前回の昨年12月調査(▼24)から34ポイント悪化し過去最悪を更新。一方、3カ月後の予想値は約3年ぶりに改善見通しとなった。 最近の日米の経済指標は景気急落後は横ばいもしくは若干の回復というものも散見されるようになった。まだ回復基調に入ったとは言えないが、昨年10月の株価急落後の低位もみ合いが続いているのは、6-9月期までは景気横這いだとマーケットは見ているからだろう。各国が実施している景気対策が景気下支えだけでなく回復局面まで牽引できれば、株価も今後上昇しようが、米不良資産、東欧など新興国経済危機など不安要因も多く、景気回復は2010年後半から2011年までかかるのではないだろうか。もしそうならば株価本格回復も2010年以降になるだろう。

2009年3月31日火曜日

3/31(火) パラダイム変化

日経平均 8109.53 ▼126.55
為替(15時) 97.95-98.00/米ドル
 今日の31日付の日本経済新聞朝刊で、日清紡績(3105)が家庭の電源や自動車に使われる燃料電池の触媒として、従来の白金と比べてコストが約6分の1となる炭素材料を初めて実用化し、2010年春から量産する。生産量は20年には数十トンに引き上げ、500億―1000億円の売り上げを見込んでいるとの報道があり、株価は急騰した。2009年3月期の同社の売上高(予想)が2870億円なので、その期待の大きさが、株価上昇への期待となっている。
 2008年は金融・経済にとどまらず、社会的、文化的に大転換期として歴史に残るのではないかと思う。石油を中心としたエネルギー政策が太陽光エネルギーを使った燃料電池に変わったり、金銭的な利益や物質的な満足感から精神的な利益や満足が大切にされる時代に変わるかもしれない。投資の世界も、エコへの関心、クリエイティブな価値観、心の通うサービスなど目に見えない価値を分析していかなければならないだろう。

2009年3月30日月曜日

3/30(月) 市場参加者は短期志向

日経平均 8,236.08  ▼390.89
為替(17時) 96.16-18円/米ドル
 最近のマーケット参加者の中心は、証券会社の自己売買や短期的な値幅を狙う個人投資家など、目先の値幅を狙う投資家である。中長期的視点で企業業績の成長に期待し純投資を行う投資家層は世界同時不況がいつ底打つのか様子見しているように思われ、市場への本格復帰はまだのようだ。今日の後場で日経平均で8500円を割り込むとそのままジェットコースターのように8236円まで下落した。先週は堅調な一週間で8.57%上昇したが、今日は米自動車大手の救済に関し不透明感が取り沙汰されまた円高も大幅に進んだことが要因で▼4.53%となった。
 今週も米自動車大手救済問題、3月の日銀短観、金融サミット、3月米雇用統計などの経済指標やイベントが目白押しで、内容如何では乱高下の可能性もある。先週まではセンチメント(投資心理)も好転しており、今後のマーケットに対し楽観視する見方もあったが、世界景気の改善や、米を中心といた不良資産問題も解決したわけではないので、今後新規に投資を行うには、引き続きセンチメントが弱気になり、マーケットが下落した局面での打診買いにとどめておくべきではないだろうか。

2009年3月29日日曜日

3/29(日) 社債発行が急回復

 リーマンショック後、金融市場でのファイナンス(資金調達)は麻痺状態が続いているが、社債市場において格付けの高い企業が資金調達に動き始め、社債投資家も投資を復活し始めているようだ。英米調査会社ディールロジックによると、年初から3/19までの社債発行額は(金融除く)4345億ドル(約42兆5200億円)と昨年10-12月期から倍増、4半期で過去最高だった昨年4-6月期(3452億ドル)をすでに上回るという。(本日日経1面参照)金融機関が融資に慎重なため、多少金利が高くても資金調達がしやすい高格付け企業が長期的な資金手当てを行っている。
 資金調達の目的は景気悪化の状況下で、大手優良企業が企業買収の好機と見て買収資金を調達に動いているようだ。例えばスイスの製薬大手ロシュ・ホールディングは、米バイオ医薬品大手ジェネンテックの敵対的買収に必要な資金の一部を調達するため、米国の社債市場を利用し、160億ドルを調達した。世界的な景気低迷は2009年中も続くとの見方が大勢だが、2010年以降の世界経済の回復局面に向け、企業活動は着々と進んでおり、優勝劣敗が明確になってくるであろう。その芽を着実に発見し調査・分析の上、投資行えるかどうかで投資における優勝劣敗が決まってくるだろう。

2009年3月28日土曜日

3/28(土) 米GM、クライスラー問題

NYダウ 7776.18 ▼148.38
為替(NY27日終値) 97.80-90 円/米ドル
 ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの救済策を巡り、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は27日、米政府が当面は数週間単位の短期融資しか認めないとの見通しを報じた。期限を区切ることで、債権者や労働組合とのリストラに関する協議を早期に妥結させるよう強く促すとともに、際限のない公的支援の色彩を薄める狙いもあるようだ。 GMなどは、経営再建計画を米政府に提出した2/17までに合意に至らなかった全米自動車労組(UAW)や債権者との債務圧縮策などを、今月末までに決着させる必要があるが、現時点で交渉は難航している。期限内にリストラが完了した場合に支援資金を追加供与していくとみられる。
 多額の金融支援を受け、高額なボーナスを支払い問題となったAIGの件もあり、労組側がすんなり期限内に厳しい内容と想定されるリストラ策に応じるだろうか?労組の立場ならば少しでも有利な条件を引き出すためにあらゆる手段を講じるのが当然ではないだろうか。もし仮に月末までの交渉決裂の場合に政府はどう対応するだろうか。経営破たんという強行手段はないと思われるが、対応次第では混乱を招き、マーケットにも影響を与えてしまう可能性は十分にありうる。

2009年3月27日金曜日

3/27(金) 週末だから手仕舞い

日経平均 8,626.97  ▼ 9.36
為替(17時) 97.88-91円/米ドル
 昨日の米国市場が大幅続伸となり、為替も円安に振れていたことに加え、寄り付き前の外国人売買動向も久方振りに買い越しと伝わったことなどから、日本市場も買い先行となり、10時過ぎには日経平均で8843.18円まで上昇し、最近の堅調な相場動向の流れは続いていた。
 最近のマーケット参加者の中心は、証券会社の自己売買や短期的な値幅を狙う個人投資家など、目先の値幅を狙う投資家である。中長期的視点で企業業績の成長に期待し純投資を行う投資家層は、最近、米国で不良資産問題解決のための官民合同プログラムの発表や、各国の財政出動による景気対策が打ち出されたが、まだ景気の底打ちや改善は確認できておらず打診買い程度しか参加してないように思われる。市場参加者の大部分が短期志向であるならば、どうしても週末を買いポジションや売りポジションを維持したまま向えることができないので、今日は引けにかけて急速に売り圧力が強まった。市場のセンチメント(投資心理)が弱気に傾きはじめると、短期志向の投資家はすぐに売りポジションをとることになるだろう。

2009年3月26日木曜日

3/26(木) 堅調だが・・

日経平均 8,636.33  △156.34
為替(17時) 98.07-10円/米ドル
 前日の日本市場が米国株安のなか底堅い値動きとなったことや、配当落ちの影響などもあって朝方こそ軟調だったが、米国の金融不安が後退していることに加え、2月の米国住宅販売や耐久財受注などの一部の経済指標が下げ止まりの兆候が見られることから、売り一巡後は戻りを試す展開となった。日経平均は終値ベースで8,600円を回復し、日米共に底入れ感が強まっている。その一方で小型株の値動きは冴えず、日経ジャスダック平均や東証2部株指数、東証マザーズ指数は軟調となっている。
 3月末の株価水準を意識した買いや、3/10の安値以降、極端に弱気だったセンチメント(投資心理)の改善、ヘッジファンドの戦略の一つであるマネージド・フューチャーズ(3/15のマーケット雑感をご参照ください)のトレンド・フォロワーの買い、証券会社等の自己売買の短期の買いが上昇の要因だろう。いずれの買い主体も、実体経済が底打ち、改善への期待からの実需の買いではなく、短期的(1-2か月程度)な買いだと当社は見ている。

2009年3月25日水曜日

3/25(水) 買戻し相場も7、8合目

日経平均 8479.99 ▼8.31
為替(17時) 97.72-74円/米ドル
 東京株式市場は、3/10に日経平均株価で7021.28に付けた後、買戻しを中心とした買い優勢の展開が続き、昨日までの約2週間で約△1400円、20%もの反発を見せている。23日発表された米官民投資プログラムや世界協調の財政出動による景気対策といった材料もあり堅調に推移している。今日のマーケットもNY、東京ともに前日の大幅上昇の反動から下落するのではないかとの懸念もあったが、下げ幅は限定的であった。4/2にはロンドンで金融サミットもあり、来週にかけて引き続き堅調な相場展開が期待できるのではないだろうか。
 しかしながら、当社ではこの1、2週間の中で利食い売り、戻り売りを推奨している。理由は主に2つある。①政策期待で日経平均、NYダウともに最近の安値から20%上昇したが、さらなる上昇には景気底打ちの確認が必要だが、未だ底打ちは確認できていない②大型経営破たんの可能性や、1-3月期の実体経済の悪さがあらためて意識されることである。

2009年3月24日火曜日

3/24(火) 官民投資プログラム

日経平均 8,488.30  △272.77
為替(17時) 98.26-28円/米ドル
 ガイトナー米財務長官は、政府と民間投資家が共同で金融機関の不良債権を買い取る枠組みを発表した。(官民投資プログラム)民間投資家の出資額に応じて最大1000億ドル(約9兆8000億円)の公的資金を拠出。5000億ドルから1兆ドルの不良資産を金融システムから分離することが目的で、ローン債権の場合、買い取り価格を投資家の入札で決めるのが特徴だ。例えば簿価100ドルの債権を84ドルで買い取る場合、そのうち12ドルは官民が折半出資し(民で6ドル、債権全体の1/14)、72ドルは借入れで賄ってFDIC(米連邦預金保険公社)が保証をつける。つまり、民間投資家は6ドルの出資で簿価100ドル分の不良資産を購入できるうえ、リスクは6ドルまでと限定される。市場ではひとまず金融安定化策が具体化されたことで買い戻しが入り大幅上昇し安心感が広がった。しかしながら、2つの疑問点を指摘したい。①金融機関の不良債権が同プログラムにより処理が進むかもしれないが、金融機関側は不良資産の大幅損失が顕在化するのではとの懸念がある。②FDICの保証によりFRB(米連邦準備理事会)の財務健全性は保てるのだろうか。楽観論ばかりでないことも留意すべきである。

2009年3月23日月曜日

3/23(月) 戦略的投資は着々と

日経平均 8,215.53 △269.57
為替(17時) 95.95-96円/米ドル
 ドイツの自動車大手ダイムラーは、巨額のオイルマネーを運営するアラブ首長国連邦(UAE)の政府系ファンド、アブダビ投資庁から19億5000万ユーロ(約2500億円)の出資を受け入れると発表した。同投資庁の出資比率は9.1%で、ダイムラーの筆頭株主となる。同社は株価下落に伴い敵対的買収の標的になる恐れも指摘されており、これまで筆頭株主だったクウェート(出資比率6.9%)と併せ、安定株主としてアラブ産油国に協力を求め、戦略的な運用先を探すアブダビ投資庁との思惑が一致したようだ。
 米IBMがサン・マイクロシステムズと買収計画や、ゴールドマン・サックス系ファンドによるUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)へのTOB(株式公開買付)など、戦略的投資は世界同時不況期でも着々と実行されている。2009年は世界経済がマイナス成長に陥り、日本も▼6%前後と大幅に景気悪化する見通しだが、2010年のどの時期かはわからないが景気回復期を迎えたときに、2009年の戦略的投資、買収、事業再編などが各企業の今後少なくとも10年程度のポジショニングを決めていくことになるであろう。

2009年3月22日日曜日

3/22(日) AIG賞与問題とガイトナー財務長官

 ガイトナー財務長官は、経営再建に向けて1730億ドル(約17兆円)の公的資金を注入された保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が一部幹部に高額賞与を支給したことを受け、批判にさらされている。ガイトナー財務長官はこの問題への自身の対応は間違っていないと主張したが、問題の大きさについてもっと早期に把握しておくべきだったとコメントしている。 オバマ米大統領が20日、CBS「60ミニッツ」22日放送分の単独インタビューで、仮にガイトナー財務長官が辞意を表明した場合も残留を求める意向を示しているという。オバマ大統領の支持率も就任2か月で早くも低下し始めており(ラスムセン社調査では1月の政権発足直後の65%から19日現在56%まで下落、不支持率は13ポイント増の43%に達した。)、200万人もの国民が集まった就任式時の熱狂は、厳しい経済状況もあり少しずつ冷めているのかもしれない。また、ガイトナー長官もAIG賞与問題も、支給前から認識していたとの見方もあるようだ。この問題がさらにスキャンダル化しないことを祈りたいが、もし仮に賞与支給を事前に認識していたことが事実であったならば、世論はガイトナー長官への辞任要求へと傾く可能性があり、オバマ政権にも大打撃になりうる。今後の米国民や世界全体への信頼関係を維持するためにも、この問題への対処の仕方は極めて重要になるだろう。

2009年3月21日土曜日

3/21(土) 米、積極的財政出動

NYダウ 7278.38 ▼122.42
為替(NY20日終値) 95.90-00/米ドル
 米議会予算局(CBO)は10月から始まる2010会計年度の予算編成に向けた経済・財政見通しを発表し、09年の実質経済成長率はマイナス3.0%と予測。09会計年度の財政赤字は国内総生産(GDP)比で13.1%に膨らむとした。オバマ政権が2月に示した見通しよりも厳しく見ている。CBO見通しによると、09年度の赤字は1兆8450億ドル(約177兆円)。例えばユーロ圏では平時はGDP比3%以内を目処にしていることを考慮すると、非常時とは言え、米国の積極的な財政支出が数字でも証明された。
 米国の積極的財政出動に関して、野党共和党は「孫の世代に大きなツケを残す」など、批判的姿勢を強めている。経済が非常時なだけに、米政府の舵取りが正しいか否かは後の歴史が証明することになるが、当社は世界経済の需給ギャップという難題解決には財政出動が有効な政策だと考える。マーケットでも赤字国債の増加で金利上昇(債券価格下落)ドル安懸念が根強く残るだろう。財政赤字や証券化商品の不良資産の解決のために、積極的に財政出動し、インフレ政策(負債の負担感が低減できる)を志向しているかはわからないが、今後の投資は中長期的なインフレ対策を考慮せねばならない。

2009年3月20日金曜日

3/20(祝) やっと景気対策が実感できた

NYダウ 7400.80 ▼85.78
為替(NY19日終値) 94.45-55/米ドル
 3連休初日の20日、高速道路料金の値下げが東京湾アクアラインと本州四国連絡高速道路で一足早く始まり、値下げ料金が適用される土日祝日は、上限1000円で通行できるとあって、アクアラインの通行台数は先週末に比べ35%増え、海ほたるパーキングエリア(千葉県木更津市)は多くの家族連れや観光客で混雑し、本四連絡道を使った車も昨年の約2倍とゴールデンウイーク並みだったようだ。
 昨年9月のリーマンショック後、急速に景気が冷え込み、昨年10-12月の国内総生産(GDP)が▼12.1%となったが、政府の対応は後手後手で、国民のマインドを少しでも好転させるような政策は今まで皆無であった。今回の高速道路料金値下げや今後支給される定額給付金が景気対策として効果的かは疑問だが、やっと景気対策が実感できた日であった。しかしながらIMF(国際通貨基金)が2009年の日本のGDP伸び率は▼5.8%と予想しているように、日本経済を少しでも浮揚させるには国民と政府との信頼関係に基づいた上で、将来の日本のあるべき姿を見据えた経済対策でなければ、国民のマインドをchange出来ないし、経済成長も難しいであろう。

2009年3月19日木曜日

3/19(木) ヘリコプター・ベン

日経平均 7,945.96 ▼26.21
為替(17時) 95.53-56円/米ドル
 米連邦準備理事会(FRB)は18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、長期国債を今後半年で最大3000億ドル(約29兆円)購入することを全会一致で決めた。資産担保証券の購入増額などとあわせ、追加の資金供給は合計で1兆ドル超になる。民間借り入れ全般の金利低下を通じ景気の一段の悪化を防ぐ狙うようだ。
 ベン・バーナンキ議長は今年1月に金融政策の軸足を金利から資金量に移す「信用緩和」政策を取っている。米国債を発行し、FRBが引き受け資金を市中へ大量に供給することで公共事業、減税などが可能になる。バーナンキ議長は極端な喩えで、「デフレを克服するには、ヘリコプターから現金をばら撒けば良い」と発言し、ヘリコプター・ベンと揶揄されている。まずはNY市場では、長期金利の急低下(債券価格は上昇)、株高と好感された。投資環境は短期的にはは景気底打ち期待も膨らみ市場は堅調に推移する可能性が高いが、中長期的にはインフレへの対応が重要になりそうだ。

2009年3月18日水曜日

3/18(水) 戻り売り、空売り

日経平均 7,972.17  △23.04
為替(17時) 98.54-57円/米ドル
 17日の米株式相場はダウ工業株30種平均で前日比△178.73の7395.70と2/19以来、約1カ月ぶりの高値で終えた。住宅着工件数が8カ月ぶりに前月比で増加し、58万3000戸と市場予想(46万戸)を大幅に上回ったことが上昇の要因だった。
 昨日の米国市場が大幅高となったことから、日本市場も買い先行の始まりとなり、日経平均は8,000円の大台を上回り8054円まで上昇したが、その後は戻り売りや新規の空売りなどもあり、結局8000円は維持できずに取引を終えた。3/10に直近安値の7062円まで下落後、今日までの6営業日でちょうど1000円の上昇(約△14%)で、戻り売りとともに新規の空売りも増加したのではないだろうか。この水準からは景況感の改善が現状見られないとの見方から株価は伸び悩むとの見方も根強いが、当社では今週中に米官民共同のバットバンク構想や、4月上旬の金融サミットに向けた各国協調の財政出動による景気対策への期待から、この水準での空売り筋の買戻しを中心とした上昇局面が少なくとも月内は期待できるのではないかと考えている。

2009年3月17日火曜日

3/17(火) 買戻し相場も5合目

日経平均 7,949.13  △244.98
為替(17時) 98.65-68円/米ドル
 17日の東京株式市場は不動産のほか銀行などの金融株を中心に買い戻しと思われる買い注文が膨らみ、日経平均株価は大幅に3日続伸し終値は前日比△244.98(3.18%)高の7949.13で、2/9以来、約1カ月ぶりの高値水準となった。
 昨年のリーマンショック以降、昨年10/28にザラ場で7000円割れまで売られ、その後11/4にオバマ大統領選出に合わせ9000円台回復、11月下旬に7500円近辺まで調整後、1月上旬にオバマ大統領就任での期待もあり、9000円台を再度回復した。その後、根強い金融不安と景気の底が見えない状況からじりじりと値を下げ、3/10に7021円まで下げた後、反発局面を迎えている。先日もこの欄で書いたが、米官民バットバンク構想、世界協調の財政出動による景気対策、4月上旬の金融サミットと株式市場にとってプラス要因になりうるイベントも控えており、当面は堅調な相場が期待できるであろう。しかしながら、実体経済の底入れは未だ確認できておらず、景気回復を織り込んでいくような上昇相場ではなく、今回も買戻し相場で、上値もせいぜい9000円程度ではないだろうか。

2009年3月16日月曜日

3/16(月) 金融株買戻し

日経平均 7,704.15  △134.87
為替(17時) 98.25-28円/米ドル
 米国金融安定化策の具体策として、官民合同の不良資産買い取り機構(バットバンク)に関して早ければ今週中に発表されるのでは、との見通しが強まり、米国株式市場は金融株が軒並み買戻しで上昇している。先週初には株価1ドル割れのシティは先週末1.78ドル(80%近く上昇)、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)も先々週安値で3ドル近辺だったが、先週末一時6ドルを回復(約100%の上昇)と買戻しが活発だ。1月上旬のオバマ大統領就任時の期待感から株価が堅調だった頃の株価は、NYダウで9000ドル、シティで7ドル台、バンカメで14ドル近辺という水準を考えると、今週中に金融安定化策(バットバンク構想)が発表され、金融不安が後退し、4月上旬の金融サミットでの金融不安の解消と、世界協調の財政政策への期待感から、金融株への買戻しを当面続く可能性が高い。特に売られた(大幅に下落した)銘柄ほどリバウンドが期待でいるのではないか。主力の金融株は日本でも1月の高値から直近安値で35%-50%近くげており、4月上旬にかけてさらなる買戻しによる上昇相場が期待できるのではないだろうか。

2009年3月15日日曜日

3/15(日) 1、2ヶ月単位のセンチメント②

 リーマンショック後のマーケットは軟調な展開が続いているが、上昇局面としては、11月上旬の米オバマ大統領選出、1月のオバマ大統領の就任、そして今回の世界協調景気対策期待と、下値は切り下げているいるが、1、2ヶ月単位で上昇局面が来ている。その要因としてヘッジファンドの戦略の中で、マネージドフューチャーズ戦略が1、2ヶ月単位のセンチメント(投資心理)を作り出していると考えている。
 マネージドフューチャーズ戦略とは世界の先物・オプション市場に上場されている商品に投資し収益を狙う。「商品ファンド」に似ているが、同戦略の場合、「商品先物」だけでなく、株式、債券、通貨などを対象とした先物・オプションなど幅広く扱うことが特徴で、レバレッジを効かした大量売買と機動的な運用のために、流動性に優れた上場先物・オプションを使い、ハイリスク・ハイリターンを目指すのが一般的だ。特にコンピュータ・モデルを駆使し、各マーケットのトレンドが変化した場合に、そのトレンドにベット(トレンド・フォローワー)して収益を狙うことが多い。そのトレンドも、1、2日の超短期から、1、2か月、6か月、1年以上など様々だが、私は特に1、2か月単位のトレンド・フォロワーの戦略を取るヘッジファンドが多いように思う。おそらく4月上旬の世界協調景気対策、金融サミット、米金融安定化策の詳細発表などの目先の材料もあり、少なくとも4月上旬までは上昇局面が続くのでないだろうか。

2009年3月14日土曜日

3/14(土) 1、2ヶ月単位でのセンチメント①

NYダウ 7223.98 △53.98
為替(NY13日終値) 97.96-98.06/米ドル
 サマーズ米国家経済会議(NEC)委員長は13日、「世界経済の非常にかなりの部分において、一時的な財政拡大余地がある」と述べ、当面は各国の財政出動による景気対策への期待感が、持続性があるかは疑問だがマーケットを好転させている。NYダウも4日間で約10%上昇している。当社ではこの上昇局面が少なくとも4月上旬までは続くのではないかと考えている。リーマンショック後のマーケットは世界経済の先行き不透明感から軟調な展開が続いているが、上昇局面としては、11月上旬の米オバマ大統領選出、1月のオバマ大統領の就任、そして今回の世界協調景気対策期待と、下値は切り下げているいるが、1、2ヶ月単位で上昇局面が来ている。中長期的に純投資を行う投資家は様子見をしている投資家が大半だと思われるが、最近の市場参加者の中心はヘッジファンド等の短期的な売買を行う投資家と想定される。そのヘッジファンドの戦略の中で、マネージドフューチャーズ戦略が1、2ヶ月単位のセンチメント(投資心理)の変化を作り出している要因の一つだと考えている。

2009年3月13日金曜日

3/13(金) 中国追加景気対策を準備

日経平均 7,569.28  △371.03
為替(17時) 97.96-99円/米ドル
 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は本日閉幕し、記者会見で温家宝首相は、世界的な金融危機が長期化する可能性に備え、新たな追加景気対策を準備していると発表した。既に表明している4兆元(約57兆円)の景気対策に加え、さらに困難な状況に対応する計画を既に準備しており、いつでも景気刺激策を打ち出せると表明。昨日の米ガイトナー財務長官がG20の各国に対し、追加の景気対策を協調して実施するために財政出動するよう提言、早速中国が呼応した形だ。日本でも麻生首相が追加経済対策を指示し、16日からは各界からの著名有識者(オール・ジャパン)からのアイデアを聞く懇談会を開催するとのことだ。
 株式市場は米大手銀行が1、2月が黒字転換したことをきっかけに買戻しを中心に日米欧とも上昇している。1月中旬以降弱気相場が続いていたが、各国の景気対策への期待や、米金融安定化策の詳細が近々発表されること、4月上旬にはG20金融サミットが開催されるなど、センチメント(投資心理)は4月上旬くらいまでは好転して上向いてくるのではないだろうか。

2009年3月12日木曜日

3/12(木) 財政出動

日経平均 7,198.25  ▼177.87
為替(17時)  96.35-38円/米ドル
 ガイトナー米財務長官は11日、主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を前に記者会見し、世界経済回復へ各国が国内総生産(GDP)比で2%程度ぼ財政出動で協調するよう呼びかける考えを示した。景気対策も需要喚起を狙う分野を明確にすると効果的であるので(例えばドイツの自動車買い替え促進策など)、各国が協調して効果的な財政出動を行うとするならば、少なくともGDP成長率を下げ止まらせることになるだろう。世界の株式市場にとってプラスとなる材料がほとんど無かっただけに、13、14日のG20で各国の協調による財政出動が正式に決まれば、株式市場にとってプラスに働くであろう。
 4月上旬に開催予定のG20金融サミット(首脳会合)を挟み、米国ビックスリー問題、金融安定化策の詳細の発表、各国による協調財政出動が実行に移されるまでは株式市場は、買戻しを中心に久しぶりに堅調な展開が期待できるのではないか。

2009年3月11日水曜日

3/11(水) 2月の中国輸出25.7%減

日経平均 7,376.12 △321.14
為替(17時) 98.55-58円/米ドル
 中国税関総署が11日発表した2月の貿易統計によると、輸出は前年同月に比べ25.7%減の648億9500万ドルだった。4カ月連続のマイナスで、減少率は1月の17.5%より大幅に拡大。1980年代以降では最大の減少幅となった。世界同時不況の影響で外需の落ち込みが一段と鮮明になっており、中国政府は内需の拡大に全力を挙げるようだ。
 米国を中心とした先進国経済が軒並み減速するなか、中国やインドの内需拡大が世界同時不況を脱する牽引役だと考えていたが、2月の輸出の落ち込みは市場予想を大きく上回っており、外需の落ち込みに歯止めはかかっていない。中国政府は北京で開催中の全国人民代表大会で2009年の国内総生産(GDP)の成長率8%を達成すべく、約4兆元(約57兆円)の景気刺激策で内需拡大を計画しているが、予想外の外需の落ち込みが8%成長という目標達成を難しくしている。今日の上海株式市場も、前日のNY大幅高にもかかわらず下落している。マーケットは中国でも追加の景気対策を催促し始めるであろう。

2009年3月10日火曜日

3/10(火) ホンダ・インサイト

日経平均 7,054.98  ▼31.05
為替(17時) 98.62-65円/米ドル
 ホンダの新型ハイブリッド車「インサイト」の受注台数が2/6の発売から今月9日までの約1カ月間で1万8000台に上ったと発表した。当初計画していた5000台の3倍を超える好調な滑り出し。ホンダによると、注文の半数はこれまでホンダ車に乗っていなかった新規の顧客からだという。確かに世界同時不況で消費が冷え込んでいるとはいえ、9月のリーマンショック以降の世界経済はここ数十年で経験のない急降下であったため、世界中が消費を抑え、景気の行方を様子見し、自己防衛を行っている。
 しかしながら、ドイツでは製造から9年以上経過している自動車を最新の排ガス規制対応車に買い替えた場合、2500ユーロ(約30万円)の補助金を支給し、低迷する新車需要の掘り起こしを狙った策が功を奏し販売台数は前年同月比22%の伸びた。ホンダのインサイト同様、消費を抑えている消費者も環境・省エネ対策の商品や政府の支援があれば、買い控えの反動で予想以上に消費が伸びているので、日本政府も早く、日本の技術を最大限に生かす政策として、地球環境と省エネに関する生産者である企業と、消費者である個人への政策的支援をいち早く期待したい。

2009年3月9日月曜日

3/9(月) 企業倒産

日経平均 7,086.03  ▼ 87.07
為替(17時) 98.58-61円/米ドル
 民間調査会社の帝国データバンクが9日発表した2月の全国企業倒産状況によると、負債総額は前年同月比約2.4倍の1兆1978億円で、6カ月連続で前年同月を上回った。件数は前年同月比21.0%増の1131件。景気悪化を受け、販売不振などの不況型倒産が全体の約82%を占め、昨年10月末に政府は中小企業向け融資に対する緊急保障制度を開始したが、倒産の歯止めはかかっていない状況だ。
 信用保証協会が今回の緊急保障制度で100%の保証をしており、金融機関にとってはノーリスクで、実際に融資残高は同制度導入後の11月から伸びが続いている。つまり、緊急保障制度を活用しているにもかかわらず、企業倒産は大幅に増加しており、もし仮に同制度がなかった場合は、さらに負債総額や倒産件数が増加していたことになるだろう。いずれにせよ雇用悪化、消費不振、企業業績悪化という負のスパイラルはいまだ続いている。有効な政策は現麻生政権では残念ながら期待薄なので、3月決算期での資金繰り悪化による倒産が少しでも減少することをただただ祈るしかない。

2009年3月8日日曜日

3/8(日) 政局混迷

 景気悪化の歯止めがかかる兆しがなかなか見えてこない。米国発のサブプライムローン問題から金融不安が深刻化し、世界経済は今その悪影響をまともに受けている。内需が冷え込み、雇用が悪化し、株式・不動産市場が冷え込み、倒産が急増し、さらに企業業績が悪化するという悪循環をいち早く断ち切らなければならない。このような時代だからこそ政治によるリーダーシップが重要な局面なのだが、残念ながら与野党、与党内の各グループの利害が優先され空転が続き、国民の利益は二の次になっている。メディアからの政治に関する情報も、民主党小沢代表の公設秘書逮捕をめぐる政治献金問題での自民・民主の中傷合戦、麻生総理の定額給付金受け取りまでの経緯、中川前金融財務大臣のG8での記者会見問題など、ワイドショーがおもしろおかしく取り上げるようなことばかりで、景気悪化への対応や日本経済のビジョンなどは全く見えてこない。仮に100年に一度の危機ならば、今こそ日本社会の将来像や国民皆が希望を持てる国造りについて議論し、語られなければならない時であるのに、政局はただただ時間ばかりがむなしく過ぎている。むしろ国政・官僚はあてにならないので、地方自治体、企業、NPOなどの組織、個人レベルで各々がそれぞれのビジョンを持ち行動し始めている。投資活動も、企業の将来へのビジョンとその企業活動を個別に吟味していきたい。

2009年3月7日土曜日

3/7(土) 景気底入れの兆しすら・・・

NYダウ 6626.94 △32.50
為替(NY6日終値) 98.25-35/米ドル
 6日のNY株式市場は、6日発表された2月の雇用統計の内容が労働市場の悪化が裏付けられた内容であったが、事前の予想された範囲内であったため、前日までの下落の反動もあり買戻しを中心に反発して取引が始まり、NYダウで一時△160ドルまで上昇した。しかしながら根強い金融不安や景気悪化の長期化懸念の見方が再び台頭しNYダウは6500割れまで下落し、その後買い戻しから引けにかけて再び上昇し、結局△32となった。最近のマーケットは短期的な値幅を狙った投機が多いのか、1日の取り引き時間中での上下動が多いが、センチメント(投資心理)は明らかに弱くなっている。
 オバマ大統領就任に向けて株式市場は世界的な景気悪化を食い止めるきっかけを期待していたが、その期待感が最近は薄れており、景気悪化の歯止めがかからない状況だ。景気底入れの兆しすら見えないから買いづらい状況が続き、売り方が勢いづいている。4月以降に景気対策法案が実施とその効果が現れ、不良資産の査定(ストレステスト)後、有効な金融安定化策が講じられれば、景気底入れの兆しも見えてくるかもしれない。その時は買戻しを中心に上昇相場に転換するであろう。

2009年3月6日金曜日

3/6(金) 景気刺激策の効果

日経平均 7,173.10  ▼260.39
為替(17時) 97.37-40円/米ドル
 世界同時不況をいち早く食い止めようと、各国が様々な景気刺激策を講じている。ドイツでは製造から9年以上経過している自動車を最新の排ガス規制対応車に買い替えた場合、2500ユーロ(約30万円)の補助金を支給し、低迷する新車需要の掘り起こしを狙った策だ。実際に効果は現われ、2月の国内新車販売台数は前年同月比で22%増となり、前年同月実績を上回るのは2008年7月以来とのこと。中国でも通行料引き下げや小型車販売に対する減税効果もあり、2月乗用車販売は前年同月比約33%増となった。三菱自動車との関係の深い岡山県総社市でも三菱車を買う場合に10万円の補助金支給することで需要喚起に一定の効果が上がった。
 景気刺激策を効果的にするには、具体的に自動車販売など、どの需要を喚起するか明確にすべきである。日本の住宅ローン減税は目的が明確で需要喚起の効果は上がると思われるが、政府の目玉景気対策の定額給付金に関しては、景気悪化局面では自己防衛意識が高まり、生活資金に充てられる可能性が高く、政府の目標とする消費を喚起しGDPを押し上げるのは難しいのではないだろうか。

2009年3月5日木曜日

3/5(木) 米官民バットバンク構想、ビックスリー問題

日経平均 7,433.49  △142.53
為替(17時) 99.58-61円/米ドル
 米連邦準備理事会(FRB)は4日に地区連銀経済報告(ベージュブック)を発表し、「米景気は1月から2月にかけて一段と悪化した」と指摘した。リーマンショック後10-12月期の急速な景気減速後、1月あたりから製造業の景況感など一部に改善の動きが出始めるという見方もあったが、米国は景気回復の兆しも全く見えない状況のようだ。政府よる政策面での景気刺激策として、約70兆円規模の景気対策法案が2月半ばに議会で可決され、4月頃から公共投資や減税などの景気対策効果が出てくると見られている。今後はマーケットからの今後の期待2つあり、①官民合同の不良資産買い取りプログラム(バットバンク構想)を核とした金融安定化策、②米自動車大手(ビックスリー)への支援策の早期実行であろう。金融安定化策は2、3週間中に詳細が発表される予定で、ビックスリー支援問題もGM、クライスラーの両社が2/17に提出した再建計画を3月末までに政府の対応策が決定される見込みだ。景気対策、金融安定化、ビックスリー問題、この3本柱への対応が出そろう3月末以降は、買戻しをきっかけに、株式市場に久しぶりの反騰が期待できるのではないだろうか。

2009年3月4日水曜日

3/4(水) バーナンキ議長の発言

日経平均 7,290.96  △61.24
為替(17時) 98.81-84円/米ドル
 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は3日、上院予算委員会で、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)について「破綻すれば破壊的な事態になった」と追加支援に理解を求めた。金融危機を脱出するための追加支援が本当に効果があるのかという市場での疑念、また、膨大な税金投入に対する国民の不支持に対しバーナンキ議長は懸命に正当性を力説しているようだ。政府やFRBの政策を正当化するためかどうかはわからないが、1990年代の日本を引き合いに出されるケースが多く、今回も議長は、「日本の失敗は迅速かつ積極的に行動しなかったこと」と述べ、「われわれはそうではない」と主張した。
 バーナンキ議長の右腕だったミシュキン元FRB理事も日本の90年代の財政・金融政策を「大バカ野郎」と批判した。自分たちの正当性を主張するために過去の他者(他国)の事例を持ち出し批判するやり方はいかがなものだろうか。必死な対応であるのは理解できるし、金融危機を上手く乗り切って欲しいと思うが、現時点では金融危機が回復する兆しも見えていないと言わざるを得ない。

2009年3月3日火曜日

3/3(火) トヨタ自動車

日経平均 7,229.72 ▼50.43
為替(17時) 97.85-88円/米ドル
 今日の日経新聞夕刊の3面に、「派遣1000人を直接雇用」(トヨタ九州)という記事があった。トヨタ自動車九州(福岡県若宮市)で、生産部門にいる約1000人の派遣従業員全員を。正社員や期間従業員として直接雇用するという。4月以降に減産を緩和する見通しで、生産台数の増加に備えるためだ。
 トヨタは世界同時不況の影響で自動車販売が急速に落ち込むなか、いち早く生産調整を行い在庫を圧縮し、4月以降に生産水準を引き上げていく予定だ。また、派遣社員問題で、いわゆる派遣切りとなった派遣社員数が増加傾向が続いているが、トヨタは逆に1000人を直接雇用することを決定したことは、トヨタは大手企業として雇用を重視する経営として高く評価されるであろう。米自動車ビックスリーが今後かなりのリストラ、工場閉鎖など前向きな経営が全くできていないことと比較してみれば、日本の自動車業界は不況下での危機対応も万全であることは一目瞭然である。トヨタの株価も昨年12/8の2585円をボトムに着実に値を切り上げてきている。(本日の終値3060円)

2009年3月2日月曜日

3/2(月) AIG、米国の企業史上過去最大の赤字

日経平均 7,280.15  ▼288.27
為替(17時) 97.27-30円/米ドル
 米政府による救済策を受けている保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG) は2日、第4・四半期の純損失が617億ドル(約6兆円)に達したと発表した。これは米国の企業史上過去最大の赤字だ。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という企業の破たんリスクを金融派生商品として作られたものの損失拡大が主な要因で、AIGが最大の引き受け手でもあった。もし仮にAIGが経営破たんしてしまうと、CDSを保有している金融機関などにも破たんの連鎖を起こしかねないため、米政府は救済をしたのだが、617億ドルという膨大な損失額を開示されると、今後どの程度まで損失が膨らむのか不安心理が高まるばかりだ。米政府は約300億ドルの追加増資で支援を行うとのことで、昨年秋以来3度目の支援となり、ちなみにシティへの追加支援も3度行っており、米政府による支援も底なし沼にハマっているかのような状況になってきた。米国10年債利回りも2/17に2.6%台だったのが、2/27には3.01%まで利回りが上昇(債券価格は下落)しており、米国の財政出動に対して市場の不安感が台頭してきているようだ。

2009年3月1日日曜日

3/1(日) 3月決算

 100年に一度かどうかは疑問だが、10-12月のGDP(国内総生産)が日本で-12.7%、米国で-6.2%に落ち込んだように、少なくともこの十数年の中では一番の景気悪化だと思われるが、そのような環境下で日本の大部分の企業が年度決算を今月迎える。先月商工ローン大手のSFCGが2月末の資金繰りに目処が立たず経営破たんしたように、今月末までに同様のケースが出ないことを祈るばかりだが、もし仮に大手企業などで経営破たんのニュースが飛び込んでしまったら、株式市場には少なからず影響はあるだろう。リーマンショック以降の実体経済の急減速はこの十数年中でも初めてであると思われるので、予想外に大手企業が破たんに追い込まれるようなことがあれば、景気回復の芽を摘んでしまうことになるだろう。
 緊急事態のさ中、本来対応すべく対策が打たれていれば、企業の経営破たんなど最悪の事態を回避できたことを、政治の混迷やリーダーシップの欠如により危機対応ができずに、最悪の事態を回避できない可能性がある。日本株式はバブル崩壊後最安値水準で、投資したくなる株価の銘柄はたくさんあるのだが、想定外の出来事が起こってしまう可能性のあるこの時期はじっくり様子見をするのが賢明であるのではないか。

2009年2月28日土曜日

2/28(土) 米政府、シティ株最大36%保有へ

NYダウ 7062.93 ▼119.15
為替(NY27日終値) 97.50-60/米ドル
 米財務省は、シティグループへの追加支援策として、政府が保有するシティの優先株のうち最大250億ドル(約2兆4000億円)を普通株へ転換し、シティ株を最大で36%保有、政府が筆頭株主となる見通しである。これで「完全国有化」は避けることになったが、普通株へにの転換で大幅に既存株主価値は希薄化するため、シティ株は▼39%の1.50ドルまで下落した。金融安定化に向け米政府は着実に手を打ってきているが、株式市場にとっては今回の政府によるシティ株保有はマイナス材料となった。
 市場では金融安定化策の詳細が早急に明らかになるのを催促しており、その裏返しとして不良資産の処理策が具体化すれば株式マーケットにとってプラスに働くとの見方もあるようだ。確かに不良資産が総額どの程度あり、今後どのように処理されるかということが明確になれば不透明感が一掃され安心感も出てくるかもしれない。しかしながら不良資産の総額が明らかになると、その処理には膨大な金額と時間を要することが明らかになり、景気回復にも相当の期間を要することになれば、マーケットは失望せざるを得なくなるかもしれない。

2009年2月27日金曜日

2/27(金) 急速な景気悪化に慣れてきた?

日経平均 7,568.42  △110.49
為替(17時) 97.86-89円/米ドル
 日本の景気を左右する輸出の動向を見る上で重要な指標である1月の鉱工業生産は、事前の予想通りの前月比-10.0%過去最大の落ち込み幅で、9月のリーマンショック以降急速に落ち込んでいる景気はまだ底を確認することはできていない。しかしながら、同時に発表された製造工業生産予測指数では、3がつには2.8%プラスに転じる見込みで、トヨタ、日産も在庫調整に目処が立ち、5月から生産を増やす予定だという。
 昨年来の急速な景気悪化で、先行きが全く見えない状況であったので、企業も消費者も、様子見することは当然の自衛手段である。ところが、景気が悪い状況なりに、コスト削減やリストラなどの企業努力で生産性を高め、昨年比では落ち込むものの各種経済指標も改善を示す内容のものも散見されるようになってきた。景気が悪いなりの対応を企業も消費者も行っているので、一旦は当座の景気の底はかなり近いのではないかと考えている。

2009年2月26日木曜日

2/26(木) 外国人投資家動向

日経平均 7,457.93  ▼ 3.29
為替(17時) 97.94-97円/米ドル
 外資系証券経由の東京株式市場の寄付き前注文状況は10営業日連続で売り越しとなっており、2月に入って買い越した日は2、3日しかない。国内株式市場は数年来買い越していた外国人投資家が買いに戻ってくるまでは、現状、株価の上値を追いかける雰囲気はない。
 外国人投資家は、ヘッジファンド等の3月末解約に向けての換金売りが出てくると思われるが、最近の為替相場での円安進行で、外国人から見た場合の日本株は株安、円安のダブルパンチを見舞われたような状況なので、さすがに今後は株価、為替水準からも、換金売りは一巡してくるのではないだろうか。またヘッジファンドの解約の45日ルール(解約日の45日前までに解約手続を行わなければならない)で、2月の中旬までに申し出のあった3月末解約分の換金売りも今月中には大方終わるであろう。政府による株価対策への期待もあり、当面は需給面からも、日経平均で8500円程度までの買戻しを中心としたリバウンドが期待できるのではないだろうか。

2009年2月25日水曜日

2/25(水) 米オバマ大統領初の議会演説

日経平均 7,461.22  △192.66
為替(17時) 97.15-18円/米ドル
 米オバマ大統領が24日、米上下院合同の本会議で初の議会演説を行った。「我々は再建し、復活し、米国はより強くなる」と国民へ訴えた。景気回復の目処が見えず、金融安定化策の詳細の発表も市場の期待よりも遅れており、オバマ政権への期待がやや薄れてしまう可能性が出てきたタイミングでの議会演説で、オバマ大統領の演説力もあり、国民の関心と支持を惹きつけることに成功したようだ。金融安定化での目新しい発言もなく、市場は一時NYダウで▼200まで下落したが、金融監督当局(米財務省、米連邦準備理事会FRB)の資産査定を4月末までに行い、資本不足なら予防注入を行うとの内容で、着実に金融安定化に向けた動きは出てきている。スピード感を求めるマーケットには物足りないかもしれないが、今はブッシュ前政権時のように拙速で場当たり的な対応を行い、事態を悪化させてしまうよりは、着実に一つ一つ問題をクリアしていくことで、事態を好転させて欲しいものだ。

2009年2月24日火曜日

2/24(火) 野村證券3000億円増資

日経平均 7,268.56 ▼107.60
為替(17時) 95.35-38円/米ドル
 野村證券は最大で7億5000万株(約3000億円)の増資を決議した。増資の目的は海外事業の強化と人材獲得だという。株式市場では発行済株式数が約28%増加することによる既存株主の希薄化を起きることを嫌気して、終値420円(▼43、-9.3%)と大きく値を下げ、年初来安値更新し、26年ぶり安値水準となった。増資計画を発表した2/6以降で約26%下落しており、ほぼ希薄化分だけ値を下げた格好となった。
 当社では野村證券の増資をポジティブに評価している。理由は、①野村グループは、2007年には営業収益の約50%を海外で稼いでおり(2008年はサブプライム問題等で海外部門は営業赤字)、国内大手金融グループの中で唯一、海外の顧客に対し海外で収益を上げている。②国内の他社は外資系金融機関に一部出資を行ってはいるが、野村は出資ではなく、積極的に買収(例えばリーマン欧州、アジア部門や、米系資産運用会社)を行っており、過去の海外での実績を踏まえると、今回の海外部門強化のための増資は中長期的には株価にとってもポジティブに働くであろう。

2009年2月23日月曜日

2/23(月) SFCG破たん

日経平均 7,376.16 ▼40.22
為替(17時) 93.32-35円/米ドル
 商工ローン大手SFCG(旧商工ファンド)が、民事再生法の適用を申請した。負債総額は3380億円で、今年に入って最大規模の倒産となった。ほとんどの金融機関から新規の資金調達ができなくなり、2月末の資金手当てが難しい状況となったとのこと。また、強引な取り立てが社会的問題となったことも信用力低下につながった。政府も有効な景気対策が打てていないため、経営状況が厳しい企業の3月末での資金繰りが非常に不安である。SFCG以上の大型倒産が今後起こる可能性もあり、政府の景気対策成立へのスピード感が全く感じられないので、日本経済の実態は悪化を続けている。
 今日の東京株式市場はSFCG破たんのニュースにもあまり反応せず、日経平均も一時▼200以上の局面もあったが、大引けは▼40と小幅安で取引を終了した。7000円台前半の水準は割安な水準だと思われるが、積極的な買い手は見つからない状況だ。やはり、世界景気悪化の震源地である米金融安定化策んp詳細の発表と、国内では麻生政権の終焉が、株価反転に必要な要件であろう。

2009年2月22日日曜日

2/22(日) 催促相場

 先週は、米大手銀行のシティ、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)の国有化観測から大きく売られ、シティは金曜(20日)終値で1ドル台、バンカメも3ドル台と一週間で両社とも40%程度下落した。
 今週は米住宅市場の指標がいくつか発表を控えており、センチメント(投資心理)が冷え込んでいる現状では、悪い数字に対し素直に反応するであろうし、短期的な売り方も勢いづく可能性が高い。売り方は米政府が近々発表するであろう金融安定化策の具体策が明らかになるまでは強気であろうし、買い方もなかなか手を出せない状況だ。また、未曾有の金融危機の状況下での各金融機関が保有する証券化商品の総額とその値決めの仕組み(つまりどれだけあっていくらなのか)が明確にならなければ、金融安定化策の詳細が発表されても、マーケットは失望しマイナスに働くであろう。
 当社では、昨年のベア・スターンズの案件を含め、危機対応での経験と実績のあるガイトナー財務長官を中心としたチームは、今週中になんらかの手を打ってくると見ている。つまり、シティの株価が表わしているように、まったなしの水準まで下落している相場状況で無策であることは考えられない。打ってくる手も、有効な政策を催促している市場関係者を納得させる内容になるのではないだろうか。

2009年2月21日土曜日

2/21(土) 先が読めないので短期売買

NYダウ 7365.67 ▼100.28
為替(NY20日終値) 93.30-40/米ドル
 昨日(2/20)のNY株式市場は大手銀行株(シティ、バンク・オブ・アメリカ)の値動きに振り回される1日であった。ドッド米上院議員(民主党、コネチカット州)が「少なくとも短期間は」一部銀行の国有化が必要な可能性があると述べため、下落基調だったシティの株価は2/19終値で2.51ドルと最安値水準だったが、昨日は1.61ドルまで下落した。午後、ホワイトハウスのギブス報道官が、銀行システムは民営が正しい方向だと確信していると表明したためシティの株価は一時2.33ドルまで回復、つれてNYダウも一時前日比▼200ドル強から△3ドルまで急回復したが、結局大引け▼100(シティは1.95ドル)となり、一日を通して大手銀行の今後をめぐり噂で終日荒れた展開であった。
 CNBCテレビの観測報道によると、金融安定化策の詳細が来週にも発表される見込みという。事実なのか噂なのか不明だが、いずれにせよ世界経済や金融不安の先行きが見えない限り、昨日のNY株式市場のように、噂をめぐる短期売買が取引の中心となるであろう。割り切っての短期勝負する場合はともかく、特に金融株への投資は、先行きが見えてきてからでも遅くないと思われる。

2009年2月20日金曜日

2/20(金) 米大手銀行国有化懸念vs金融安定化策

日経平均 7,416.38  ▼141.27
為替(17時) 94.12円/米ドル
 マーケットは2/10の米国金融安定化策の骨格が発表されて以来、金融株を中心に軟調な展開が続いている。シティは発表前は株価約4ドルだったが、昨日は2.5ドル(約▼37.5%)、バンク・オブ・アメリカは約7ドルから4ドル割れ(約▼42%)と、不良資産と業績不振による国有化懸念から大きく売られている。大幅な株価下落はパニック売りに近い状況にまで進展しており、まさに待ったなしの状況で、今日のNY市場の動向から目を離すことはできない。
 オバマ大統領は就任式で「大胆かつ迅速」に経済対策を講じると述べた。金融システム問題は非常に複雑であるため、拙速で場当たり的な対策は打てないのは当然で、慎重に進めるべきだが、主要銀行株の下げが極端に進んでいるため、かなり早い段階で金融安定化策の詳細を発表しなければ、オバマ政権とFRB(米連邦準備制度理事会)に対する期待と信頼が揺らぐことになってしまう。これはマーケットと政府・FRBとのスピード勝負である。当社では米政府・FRBが有効な金融安定化策を発表し、一旦はマーケットの下落に歯止めをかける展開になると予想している。

2009年2月19日木曜日

2/19(木) 為替市場

日経平均 7,557.65 △23.21
為替(17時) 93.55-58円/米ドル
 10-12月期の国内総生産(GDP)が-12.7%に落ち込んだことや、経済危機に対応すべく日本政府の混迷ぶりに、世界の投資家は日本に対して不信感を高めている。今までは、リスク回避志向が強い場合、円高-株安、リスク回避志向が弱まった場合は、円安-株高だったが、最近のマーケットでは、円安-株安になってきている。為替市場も日本経済の急激な落ち込みと、景気対策を効果的に対応するはずの日本政府の混迷が、投資家の日本離れ(円安)加速させている。
 対ドルだけでなく、ユーロ、英ポンド、豪ドルなどに対しても円安が進んでいるが、今後はどのような展開になるだろうか。大方の見方では、米国は大型景気対策により財政が悪化し米ドル安が進行するのではないか、であったが、最近では、景気悪化が比較的早かった米国よりも、日本経済、ヨーロッパ経済の方が落ち込みが大きく、景気回復には、それなりに時間がかかるだろうとの見方が多く、相対的に米ドル高になってきている。さらにオバマ政権による具体的な景気対策が打ち出され、金融安定化策の詳細が発表されれば、米国への期待感から意外にもドル高が続く可能性がある。

2009年2月18日水曜日

2/18(水) 日米の金融株

日経平均 7,534.44  ▼111.07
為替(17時) 92.57-60円/米ドル
 昨日のNY株式市場は▼297の7552.60と大幅に下落をし、個別銘柄では金融株の下げが大きかった。2/10に米ガイトナー財務長官が発表した金融安定化策が具体的な対策まで踏む込めなかったことから、あらためて不良資産の総額がどの程度の額なのか、それに対する有効な解決策を策定できるのだろうか、など不安心理が高まってきており、特にCITIやバンク・オブ・アメリカ等の銀行株は11月下旬と1月中旬の最安値近辺まで売られている。日本株でも同様に金融関連銘柄は軒並み年初来安値更新しており、現状では反発の兆しは全く感じられない。
 日米ともに金融株、特に銀行株の株価回復には、個別企業ごとの自助努力も重要だが、やはり世界同時不況下では、日米ともに政府による金融支援策が具体的に発動されれば、金融株も上昇局面になるであろう。米金融安定化策の詳細は数週間後に発表される予定で、今後はその安定化策立案までのプロセスの情報に対し、株価は敏感に反応することであろう。

2009年2月17日火曜日

2/17(火) 政局と株式市場

日経平均 7,645.51 ▼104.66
為替(17時) 92.22-25円/米ドル
 野村金融経済研究所による個人投資家向けのアンケートで、日本株式市場の低迷の理由の1位は麻生政権による経済政策の不調だそうだ。G7での中川昭一大臣の醜態も、世界に対して日本の政策担当者の混迷ぶりをさらしてしまうこととなり、誠に残念な事態であった。日本株式の売却をするかどうか検討している外国人投資家も、G7での会見を見てしまうと、売却を決断することであろう。
 今後の政局混迷がどのように展開していくかは読みにくいところだが、総選挙で国民の民意を問うて欲しいという、国民のニーズを最優先してもらいたいものだ。自民党幹部は残念ながら政争の具ばかりを重視し、国民の声を全く無視し続けている。おそらく、株式市場はもし仮に麻生政権の崩壊→総選挙が決まった段階で、政局混迷が打開されるのではないかという期待感からプラスに働くだろう。また、最近の株式市場に対する短期的なセンチメント(投資心理)は米金融安定化策の遅れや、ビックスリー問題などが原因で冷え込んでいるが、今後は日本を含む各国の財政出動や景気対策の発動により、短期的なセンチメントも回復するのではないだろうか。
 

2009年2月16日月曜日

2/16(月) 景気悪化の連鎖とその反動

日経平均 7,750.17  ▼29.23
為替(17時) 91.58-61円/米ドル
 本日発表の2008年10‐12月期の国内総生産(GDP)速報値は前期比-3.3%減、年換算で-12.7%と35年ぶりの減少率となった。予想されていた内容であったので、マーケットへの反応も限定的であったが、あらためて外需、内需ともに急速に悪化していることが統計上でも示された。9月のリーマンショック後、世界経済は連鎖して景気悪化が加速している。
 高い技術力で世界的にも評価されている製造業のある企業でも、10月以降、世界各国からの注文の引き合いは高水準でも、発注は見合わせるケースが多いという。また為替面では、円ドル、ユーロばかりが円高の影響について報道されているが、韓国ウォンなど対アジア通貨での急激な円高進行で、対アジア諸国での円建ての輸出も、発注するアジア諸国が円高を理由に発注を引き合いに出しても、現状、発注は現状見送っていることが多い。しかしながら、米国を中心に世界各国は景気対策・財政出動を打ち出し、先の見えなかった世界経済が少しでも光が見えるようになれば、見合わせている商取引も徐々に回復してくるであろう。そうするとおのずと株式市場もその動きに反応するではないか。

2009年2月15日日曜日

2/15(日) 米金融安定化策とセンチメント

 2/10に世界が注目した米金融安定化策が発表された。不良資産を官民合同で買い取るというプランは今後の不良資産の解決には有効だと思われるが、買い取り規模や価格算定などの具体性がなかったため、マーケットは失望し、発表直後からNY株式市場は大きく値を下げ、NYダウで▼330となった。マーケットは金融安定化策に対し期待が大きかった分、その反動が出た形だった。
 しかしながら、短期的に失望売りが出たのは、短期売買を主とする投資家が、金融安定化策発表に向け期待感から買いを入れていたが、具体性に欠けたため短期的には株価上昇は難しいと判断し売ったのだろう。センチメント(投資心理)が短期的に期待感からの強気から、失望感から弱気になっただけで、今後はさらなる悪材料がない限り、マーケットも落ち着いた展開になるだろう。むしろ弱気になった短期的センチメントも、数週間中にまとまる金融安定化策の詳細が明らかになるまでは、その期待感からセンチメントは少しずつ上向いてくるのではないだろうか。その具体策が不良資産処理に一定の効果があるような内容になるならば、センチメントは一気に上向き、大方の予想に反し、例えばNYダウ、日経平均でそれぞれ4月までに10000レベル程度までの上昇も期待できると考えている。

2009年2月14日土曜日

2/14(土) 世界同時不況下での銘柄選択

NYダウ 7850.41 ▼82.35
為替(NY13日終値) 91.75-85/米ドル
 来週発表のGDP(国内総生産)が10-12月期が年率換算で▼10%以上になるとの見込みで、また日々の経済ニュースも雇用削減、赤字転落、業績下方修正など、悪いニュースばかりである。株式マーケットは6か月から1年程度景気を先取りしていると言われているので、昨年9月のりーマーンショック以降、株価は急落しており、今後はこれ以上に景気が大幅に悪化するならば株式市場も下落するだろうが、世界各国が景気下支えのための財政出動や追加景気対策が打たれる見込みなので、マーケットも昨年後半のような急落の可能性は少ないだろう。
 世界同時不況下での投資のポイントは、不況が続くからこそ業績拡大が期待できる企業、例えば低価格志向のニーズを捉えたニトリ、楽天など、不況下でも確実に業界全体の伸びが期待できる業種、例えば介護など、個別銘柄選択が極めて重要なマーケット環境である。業績が悪化する企業が増加している分、好業績銘柄には相対的にも投資資金が集まりやすいので、投資収益も期待できるのではないだろうか。

2009年2月13日金曜日

2/13(金) 縮小する市場参加者と個別銘柄

日経平均 7,779.40  △74.04
為替(17時) 91.17-20円/米ドル
 昨今の世界同時不況下において、株式市場の低迷、景気回復のきっかけが掴めない、金融機関の業績不透明感などの理由から、株式マーケットへの参加者は明らかに減少している。2007年後半以降の株式市場の一方的な下落が続いているので、なかなか新規に投資を行うことが難しい局面だ。
 市場参加者が減少してくると、特に新興3市場(ジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレス)の好業績の企業の中で、株価が明らかに割安に放置されている銘柄が散見されるが、おそらくアナリスト、ファンドマネージャーなどのプロの投資家でさえ見落としていると思われ、絶好の投資機会であると思う。「100年に一度の危機」かどうかはわからないが、少なくともここ10~20年の中では一番の景気の落ち込みと株価の低迷であるので、極端に割安な東証1部の主力企業への投資機会を窺うのも大切だが、この厳しい環境下でも、独自の技術や経営戦略で他社を差別化し業績を伸ばしている成長企業への投資こそが、今後の投資収益の増大に貢献するのではないだろうか。

2009年2月12日木曜日

2/12(木) 米オバマ大統領「change」の正念場

日経平均 7,705.36  ▼240.58
為替(17時) 90.14-17円/米ドル
 世界同時不況下での世界一の経済大国アメリカ合衆国大統領オバマ氏のリーダーシップへの期待は計り知れないほど大きい。景気対策法案は予定通り2/16までに成立の見通しだが、金融安定化策に関しては、具体性に欠けマーケットは失望し、今年一番も下落(2/10)となった。ガイトナー財務長官は数週間以内に具体策をまとめると翌日に発言したものの、米国発の世界同時不況が加速している最中、政策運営のスピード感に欠けるとの批判も出始めた。現環境下では米政府への要求も平時に比べれば厳しいものがある。
 「Change」のキャッチフレーズに、国民の意識や悪化する経済状況をChangeさせようと政権はスタートしたが、今回の金融安定化策が具体性に欠けたため、早くもオバマ政権への高い期待を揺るがす状況を向かえているようだ。オバマ政権は閣僚や政策担当者にアメリカの叡智を集めたドリームチームと言われるほどのメンバーで構成されていると評されいる。数週間以内、できれば早い段階での具体的で金融不安解決の道筋が見えるような金融安定化策を期待したい。

2009年2月11日水曜日

2/11(祝) マーケットと政府・政策担当者

NYダウ 7888.88 ▼381.99
為替(NY10日終値) 90.40-50/米ドル
 米ガイトナー財務長官が金融安定化策を発表し、発表直後からNY株式市場は下落幅を拡大し、▼381(▼4.6%)と今年一番の下落となった。不良資産購入の仕組みについての具体性が欠けるとの見方から、米金融システムへの先行き不透明感が広がり大幅下落となった。そもそもガイトナー財務長官は金融安定化策を骨格を2/9に発表すると当初から述べていたし、発表内容も事前の予定通りであったが、マーケットは金融不安の全面解決の明確な道筋を期待していたのだろう。
 米政府・政策担当者もおそらく全力で諸外国との協調を含め具体策を詰めていると思われるが、万全な策に仕上げるには多少の時間も必要であろう。拙速で場当たり的な解決策を提示すると、前政権の二の舞になってしまうのは言うまでもない。昨日のNYマーケットは少しせっかち過ぎるのではないだろうか。今週末のG7(7ヵ国財務省・中央銀行総裁会議)やここ数週間中の米政府・政策担当者の万全な具体策の提示を期待したい。

2009年2月10日火曜日

2/10(火) 日米リーダーシップ比較

日経平均 7,945.94  ▼23.09
為替(17時) 91.34-37円/米ドル
 最新の内閣支持率は各社軒並み20%を切り、低下の一途をたどっている。また最近では郵政民営化をめぐる麻生首相の発言が問題視されている。我が国のリーダーとしてこの未曽有の経済危機に対処していくべく、リーダーシップが一番の必要とされる時期なので、是非国民の期待に応えてほしいと切に願うが、残念ながらリーダーシップは全く感じられない。株式市場は麻生政権に対して冷静に受け止めていると思われ、政局が多少混乱しても反応することはないだろう。むしろ、総選挙が行われ仮に政権交代で民主党政権が誕生でもすれば、現政権に対しての期待はないに等しいので、逆に期待感も出てくるであろう。
 一方、米オバマ大統領は昨日午後8時(視聴率が高いプライムタイム)に政権発足後初の公式会見を行った。経済危機に対して景気対策の早期成立を促すなど、国民へ語りかえることで政策への支持を訴えた。景気対策、金融安定化策の内容を吟味しないとその効果は未知数だが、少なくとも1国のリーダーとしてのリーダーシップを強く感じた。おそらく内容も期待にある程度応えるものとなるであろう。

2009年2月9日月曜日

2/9(月) 米金融安定化策で乱高下

日経平均 7,969.03  ▼107.59
為替(17時) 91.16-19円/米ドル
 米金融安定化策への期待から、先週末のNY株式市場は、1月の雇用統計の内容が予想よりも悪かったにもかかわらず上昇しいており、その流れを受けて東京株式市場も寄り付きから上昇し、日経平均で一時先週末比200円近く上昇した。その後、金融安定化策は実効性に乏しい内容になるのではないか、との観測が広がり、引けにかけて売り急ぐ展開となり、結局安値引けとなった。
 今日の株式市場は同じ材料(米金融安定化策)をめぐり、好材料にも悪材料にも受け取られた形となった。それだけ世界同時不況下での、米金融安定化策と景気対策法案に対する期待と不安が大きいのだろう。9日のNY株式市場も東京と同様に期待と不安で一進一退の展開になるであろう。10日以降のマーケットはむしろ、金融安定化策の実効性に疑問を持つ市場関係者が多い分、内容如何で買戻しをきっかけととした上昇相場が期待できよう。ここ数カ月のマーケットは景気悪化や決算下方修正などの悪材料ばかりで、好材料に対して飢えているので、今回は意外にも大きく反応するかもしれない。

2009年2月8日日曜日

2/8(日) 定額給付金は予想外に効果あり?

 世界同時不況が進行する中、その震源地の米国では今週、景気対策法案が可決され、金融安定化策も発表される。株式市場にとっては金融安定化策がどの程度不良資産問題を効果的に解決できるか、その内容如何によっては相場急騰もしくは急落があるかもしれないが、いずれにせよ景気悪化を食い止める内容であることを期待したい。
 日本では、未曾有の景気悪化のスピードにもかかわらず残念ながら麻生政権は効果的な景気対策が打ち出されていない。国民の約60%が反対している定額給付金も財源の約2兆1000億円をもっと他の政策(例えば太陽エネルギー開発への重点投資など)で有効に使うべきだと考えるが、いずれにせよ3月以降に給付されることになるであろう。世論調査では、定額給付金には反対していても、給付されればほとんどの国民が受け取るようだ。定額給付金に関してはマスコミ報道では批判一色で、その経済効果も全くないような論調だが、各地方自治体が地域限定のプレミアム付き商品券を発行計画など景気浮揚に向けての自助努力が感じられるし、リーマンショック後の景気急降下で国民は消費を極端に抑えており、この定額給付金が支給された時くらいは、意外に昨今の買い控えの反動もあり、給付金で消費に回し、一時的には予想外の効果を上げるのではないだろうか。

2009年2月7日土曜日

2/7(土) 米雇用統計悪化でも株高

NYダウ 8280.59 △217.52
為替(NY6日終値) 91.80-90/米ドル
 6日のNY株式市場は、注目の経済指標である1月の雇用統計で、失業率は前月より0.4%高い7.6%、非農業部門の雇用者数は59万8000人の減少と、景気の悪化が確実に進んでいることを示す内容で、事前のエコノミストの予想平均値よりも悪い数字であったが、NYダウは△217.52と上昇してy取引を終えた。
 9日にも米景気対策法案が成立し、合わせて金融安定化策を公表することが株価上昇の材料であった。リーマンショック後の世界的な景気急降下で、企業決算の下方修正や、各種景気指標の悪化にも関わらず、最近の株式市場は下値が堅くなってきており、米国の政策が発表されると株式市場は売り方からの買戻しによる上昇が期待できるではないか。また、企業や家計の急速に冷え込んでいるマインドも上昇することはなくとも、一旦は冷え込みが止まるのではないだろうか。4月に向けて第一4半期の金融機関の決算が改善されるのではないか、ロンドンで開催予定の金融サミットで国際協調策が発表されるのでないか、などの期待感から4月前後までは堅調な株式相場になると予想している。

2009年2月6日金曜日

2/6(金) 様子見相場はいつまで続く?

日経平均 8,076.62 △126.97
為替(17時) 90.95-98円/米ドル
 5(木)のNY株式市場は、メディアが「バットバンク」構想について、厳格な時価会計を用いずに不良債権を買い取る、との報道を好感しNYダウは△106.41と反発した。東京株式市場(日経平均)もNYダウもリーマンショック後の10月以降ともに8000から9000でのもみ合いが4か月ほど続いており、また東証など主要3市場の信用取引残高も約5年半ぶりの低水準となっており、買建て売建てが拮抗している。100年に一度の危機かどうかはわからないが、未曾有の経済危機と言われている現環境下では、株式への投資は先行きが不透明なので見送り、逆にこの水準まで下落しているし、売るに売れないため様子見を決めた投資家が多いのだろう。
 では、このもみ合い局面が変わる(マーケットが上か下か)きっかけは何になるだろうか?やはり危機打開の先行きが多少でも見えてくる可能性のある、米金融安定化策と景気対策であろう。来週9日には金融安定化策の骨格が発表される予定だ。昨今、オバマ政権の議会運営に対し不安な意見を出始めてはいるが、当社ではマーケットが好感するような政策がまとまるのではないかと見ている。

2009年2月5日木曜日

2/5(木) 米国債発行増と国際協調

日経平均 7,949.65  ▼89.29
為替(17時) 89.52-55円/米ドル
 昨日(2/4)のNY株式市場は、1月の米ISM非製造業総合指数が予想を上回り、ダウ平均は高い場面もあったが、来週にも発表される金融安定化策において、大手金融機関の国有化懸念(株主責任を問われる)からバンク・オブ・アメリカなどが大幅に下落するなど、結局▼121で引けた。最近のマーケットは足元の景気指標よりも、政府の景気対策の行方しだいという展開が続いている。
 米財務省は、昨年からの危機対策のため大幅な財政出動が続いており、米国債の発行額も2008年10月からの半年間で約1兆ドル(約90兆円)と過去最高の発行額となる見込みだ。この大量発行される米国債の最大の引き受け手は中国・日本・中東などの産油国である。米国の危機打開のため財政出動したその財源である国債を諸外国に引き受けてもらいつつ、自国の景気対策としてバイアメリカンを推進というのは、あまりに虫のいい話ではないだろうか。確かに米国中心に世界経済は回っていることは否めないが、危機を打開するには各国が景気対策、金融政策などで国際協調することが不可欠であることは言うまでもない。来週の米景気対策法案の可決とその内容に期待したい。

2009年2月4日水曜日

2/4(水) バイアメリカンと国際協調

日経平均 8,038.94 △213.43
為替(17時) 88.90-93円/米ドル
 世界が注目している景気対策法案は米上院の審議に入り、上院案では規模の総額が8870億ドル(約80兆円)と、先に可決した下院案を約1割上回る見込みだ。公共事業などで米国製品の使用を義務付ける「バイアメリカン」条項に関して、世界各国から米国の保護主義には賛同できないと異論が相次いでいる。オバマ大統領は同条項の成立よりも国際協調を重視し、見直す方向を打ち出しており、法案を以前公言した2/16までには成立させたい考えだ。しかし同条項を推進する議員からの強い推進もあり、法案成立にやや暗雲が立ち込めつつあるようだ。
 おそらく、オバマ大統領の就任直後ということで2/16までには議会内を調整し成立させるであろう。また、大統領ハネムーン期間(就任から100日間)内に有効な政策を実行することで国内だけでなく、諸外国との信頼を強固にするために、マスコミ、エコノミスト等の予想を超えるような景気対策として期待の持てる内容になるのではないか。もし仮にそうであるならば、現水準での株式投資はいいタイミングかもしれない。

2009年2月3日火曜日

2/3(火) 個別株投資とインデックス型投資 

日経平均 7,825.51 ▼ 48.47
為替(17時) 89.71-74円/米ドル
 今日の東京株式市場は、最近の市場動向を表した典型的な1日ではないだろうか。寄付前の外国人売買動向(市場筋推計、外資系12社ベース)が売り越しと伝わり、市場は売り先行で始まった。その後方向感なく前場を終了し、昼休み中に 日銀が金融機関が保有する株の買取を再開すると伝わり、後場は日経平均で一時200円の上昇を見せたが、引けにかけて足元の業績不安や米金融安定化法案の行方を確認したいとの見方から売られ、結局前日比マイナスで取引を終了した。日米の景気対策、金融安定化策への期待や不安に相場は振られるという最近の傾向をよく表している。
 政府の政策に対し期待や失望などで今後も相場全体は上下に振られるであろう。また、100年に一度の事態と言われている環境下で、今後のパラダイム変化を想定した場合、個別企業ごとの経営方針によりそれぞれの企業の命運は大きく分かれよう。弊社は今の投資環境下では、インデックス投資を避け、今後のパラダイム変化で業績を伸ばすであろうという企業を個別にピックアップし、確信を持った先にだけ投資を行うことが重要であると考えている。

2009年2月2日月曜日

2/2(月) 業績下方修正ラッシュ

日経平均 7,873.98  ▼120.07
為替(17時) 89.38-41円/米ドル
 2日の東京株式市場は、先週末のNY市場が、金融安定化策の遅れ懸念などで下落した流れを引き継いだのと、日立、パナソニックなどの業績大幅下方修正の発表を受け、電機・ハイテク関連を中心に下落して引けた。日立は年初来安値を大きく割り込み▼50の244円まで下落した。パナソニック、ソニーなどは年初来安値(昨年の10月下旬から12月上旬に安値を付けたケースがほとんど)は更新していないが、主力電機・ハイテク株はその近辺まで下落している。
 14:00に1月の新車販売台数の発表があった。大方の予想を下回り前年比-27.9%(軽自動車除く)と厳しい内容であったが、例えばトヨタぼ株価は▼40の2885円(-1.37%)と日経平均とほぼ同じ下落率であった。先週末の日立に関しては予想を大きく上回る下方修正であったが、自動車株、電機・ハイテク株(日立を除く)は2009年3月期の下方修正分は大方織り込んだのではないだろうか。今週は第3四半期決算発表のピークとなるが、その発表内容と株価の動向は要注目だが、おそらく株価は下方修正分を織り込んだ上で安定的に推移すると見ている。

2009年2月1日日曜日

2/1(日) 最近のマーケット動向

 昨日のNY株式市場は、取引開始直後は第4四半期の米国GDP速報値が、エコノミスト予想は年率換算で-5.4%に対し、実際は-3.8%と予想ほど弱い数字ではなかった。NY株式市場の寄付はその発表を受け小高く始まった。しかしながら、CNBCテレビが国による不良債権買い取り機関(バッドバンク)設立に関して、バッドバンクをどう機能させるかをめぐり米政策当局者の間でコンセンサスは得られておらず、構想そのものが進展しない可能性がるあるとの報道から、シティが9%下落するなど、金融株を中心に引けにかけて売られ、NYダウも▼148ドル下げほぼ安値圏で引けた。
 株価材料としてはGDP速報値のほうが実体経済を表す重要指標であると思われるが、バッドバンク構想に関するメディアの報道はあくまで不確実性のある観測報道であるが、株式市場は後者に大きく反応した形だ。それだけ株式マーケットは政府による金融安定化に向けた政策頼みの相場になっている。オバマ大統領、ガイトナー財務長官は「大胆かつ迅速に」対策を講じると就任式で表明している。もちろん株式市場は一つの材料だけで変動しているわけではないが、観測報道でこれだけマーケットが変動するのなら、バッドバンク構想を含め、金融不安を落ち着かせる可能性のある政策が発表されたときは、強烈な売り方の巻き戻しによる株式市場の上昇もあるかもしれない。

2009年1月31日土曜日

1/31(土) デカップリング論②インド

NYダウ 8000.86 ▼148.15
為替(NY30日終値) 89.85-95/米ドル
 2008年のインド株式市場は、代表的指数のSENSEX30で年間騰落率が‐52%と大幅に調整し、為替も円/ルピーで約34%も円高・ルピー安であった。また、2008年11月26日のムンバイでの同時テロ、今年に入ってインド4位のIT大手サティアム社による粉飾決算と、インド経済の信頼を揺るがす出来事も重なり、世界同時不況下では、インド株式に投資を行うのは勇気がかなり必要である。
 しかしながら、インド経済にはこの環境下でもいくつかの明るさがある。GDPに対する輸出の比率が約15%で、中国(30%強)をはじめ、他のアジア諸国と比較しても低いこと、人口動態が若く(インドの平均年齢は約26歳)今後も安定した内需が期待できること、海外から投資の規制が緩和されたこと。(企業の海外からの借入れ規制の緩和、外国機関投資家による社債投資の上限引き上げ等)ダボス会議でインド商工相のカマル・ナート氏はインド国内需要が安定しているので2009年も7%-7.5%の見通しとの見解を明らかにした。日本国内の世論は、国内外の経済に対し総悲観論一色だが、ポテンシャルのある市場も存在することも留意しておくべきであろう。

2009年1月30日金曜日

1/30(金) デカップリング論①中国

日経平均 7,994.05  ▼257.19
為替(17時) 89.45-48円/米ドル
 2007年8月に仏BNPパリバがサブプライムローンの問題により、同社のファンドの価格算出、募集、解約・返金業務を停止したことにより、金融不安の第一波が襲いかかった。この時期あたりから、米国を中心とした先進国が景気後退期に入ったとしても、BRICsを中心とした新興国経済が世界経済を牽引するという「デカップリング論」が展開されるようになった。
 現時点での結果論で言うならば、デカップリング論は終焉を向かえている。例えば中国は、GDP(国内総生産)の成長率を2003年以降毎年10%を超えていたが、2008年は9.0%と減速し、さらにIMF(国際通貨基金)の2009年の見通しは6.7%である。しかしながら、今回のダボス会議にて温家宝首相は、政府目標の8.0%成長は「困難だが可能だ」と述べている。現に4兆元(約57.5兆円)の内需拡大の経済対策の実施と、その裏付けとなる金融緩和を行い、中国人民銀行(中央銀行)が各銀行に融資拡大を求め、2008年12月の融資伸び率はこの4年間で最高であった。今後の中国経済の変化には注目すべきであるし、大国中国の内需拡大が世界同時不況を食い止めるきっかけになるかもしれない。

2009年1月29日木曜日

1/29(木) 新興3市場

日経平均 8,251.24  △144.95
為替(17時) 90.22-25円/米ドル
 新興3市場(ジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレス)のリーマンショック後の株価指数の値動きはジャスダック、ヘラクレスがほぼ横ばい、マザーズは上昇傾向にあり、特に個別銘柄ごとに見てみると10月28日安値から2倍程度まで上昇している銘柄も複数ある。
 新興3市場は1999年のマザーズ開設以降、ライブドア問題に代表されるように、上場基準やコーポレートガバナンスに対する審査・監査の甘さが指摘されており、例えば当時はほぼノーチェックに近い状況で上場を認めたり、など、現在の世界同時不況の影響もあり、ピーク時の株価が90%以上下落している銘柄も珍しくはない状況だ。しかしながら、新興3市場の中にはこの厳しい環境下でも、独自の技術や経営戦略で他社を差別化し業績を伸ばしている企業もあり、危機をチャンスに変えるところも出てくることは間違えないだろう。たとえばすし成形機(すしロボット)でシェア50%以上を握り、折からの日本食ブームに乗り、海外展開を強化している企業など、非常にユニークで成長性が期待できる企業を、この株式市場の混乱期に仕込んでおくことは、おそらく将来的には良い投資にあるであろう。

2009年1月28日水曜日

1/28(水) 金融不安も小休止?

日経平均 8,106.29  △45.22
為替(17時) 89.16-19円/米ドル
 1/19英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の2008年決算が予想より大幅悪化の発表などの悪材料もあり、NY、東京など主要株式市場は年初よりやや軟調な展開が続いていた。しかしながら、ここ最近は下値を固めつつあるようだ。昨年3月以降の状況に似ているように感じるのだが、当時は米証券大手のベア・スターンズの実質経営破たんにより、世界の株式市場は下落したあと、米国の緊急利下げや流動性供給、戻し減税などにより、金融不安は燻り続けていたが材料視される機会は少なくなり、ベア社処理以降7月まで株式市場は堅調に推移していた。
 今回も金融危機をきっかけとした、世界同時不況はまだ底入れはしていないと思われるが、金融危機に関しては、オバマ政権発足後ガイトナー財務長官を中心に、不良資産対策として「バットバンク構想」など様々な対策を講じ、迅速に対応してくるであろう。また2/16までに成立予定の景気対策法案、4月の金融サミットなども予定されており、今後センチメント(投資家心理)が落ち着きを取り戻してくると、短期的には買戻しからの反発の可能性を考慮しておく必要がある。

2009年1月27日火曜日

1/27(火) 政府系ファンド

日経平均 8,061.07  △378.93
為替(17時) 90.03-06円/米ドル
 激動の2008年の金融マーケットにより、2007年まで好調だった政府系ファンドは、痛手を被っている。米シンクタンクの外交問題評議会はUAE(アラブ首長国連邦)のアブダビ投資庁(ADIA)は1250億ドル(約11兆2500億円)に相当する損失を出したと試算している。 ADIAの資産規模はおおよそ9000億ドル(約81兆円)で総資産に対する損益は約▼14%と厳しい状況である。
 しかしながら、ADIAは設立の1976年以来、投資収益率は未公表ながら、過去年平均で10%を超える投資収益を上げていたと言われている。2008年前半までは欧米金融機関の増資引受の主役だったが、ここ1年近く、政府系ファンドの動向は極めて静かな状況だ。昨年の厳しい結果があったとしても、その資産規模は莫大であり、今後の投資環境に改善の兆しが少しでも見えてくれば、今後のマーケットの牽引役となる可能性は高い。そのきっかけの一つはやはり米国・オバマ大統領による経済対策であろう。まずは2/16までの景気対策法案の成立、4月の金融サミットなど、世界景気改善に向けた動きもでてきているので、政府系ファンドも黙ってはいないのではないか。

2009年1月26日月曜日

1/26(月) 大方の予想通りには動かないマーケット

日経平均 7,682.14  ▼ 63.11
為替(17時) 88.65-68円/米ドル
 最近の経済ニュースは、2009年マイナス成長、企業業績下方修正、製造業の大幅減産、人員削減など、ネガティブなニュースばかりで、今日の日経平均株価もザラ場で一時7000円割れした10/28以来の水準まで下落し取引を終えた。
 日経新聞等の媒体に市場関係者の見通しが掲載されているのを見てみると、2009年の東京株式市場の見通しでは、見通しには幅があるものの、大方は年前半までは6000円割れから8000円前後で推移し、後半は各国の景気刺激策の効果から回復(9000円~12000円)という予想が多い。確かに足元で発表される経済統計、企業業績を見る限りでは年前半は厳しいと判断するのが妥当だろう。
 しかしながら、正確に統計を取ったわけではないが、マーケットは不思議なことに大方の予想どおりには動かないことが多い。最近の気になる兆候として、例えば信用取引の買い残は2003年(2003年の日経平均安値で7607円)以来の低水準であり 、また、買い残と同水準まで売り残は増えてきている状況を考えると、何かのきっかけでマーケットは年前半に予想外に上昇する局面があるかもしれない。

2009年1月25日日曜日

1/25(日) 米・欧10年国債利回り上昇

 日米欧の主要国はリーマンショック以降、世界同時不況を少しでも食いとめようと、政策金利を引き下げている。そのため短期債(期間2年以下)だけでなく、長期債(期間10年以上)の利回りも昨年末までは金利低下(債券価格は上昇)傾向であった。世界的に株価が低迷しており、安全資産である国債に資金が流れていた。(米国債10年物はリーマンショック直前(9/12)の利回りは3.74%→(12/30)2.10%まで低下)しかしながら、特に米国、英国では景気刺激策に伴う国債増発懸念から年明けから金利が上昇傾向である。一時的な変動にすぎないかもしれないが、国債増発されることは各国とも回避できないので、トレンドが変わったと見るべきであろう。
 2008年の信用収縮により、金融マーケットは大混乱の1年で、現在はその流れが落ち着きつつあるようだ。現に米シティやバンカメ(バンク・オブ・アメリカ)の実質国有化で両社の株価は大きく下落したが、NYダウは大きく落ち込んでいない。今後留意しておかなければならないのは、日米欧ともに利下げを行い、日米は実質ゼロ金利、ユーロ市場の下限と言われる2%まで低下しており、収縮したとはいえマネーは低金利下の安全資産に滞留していることだ。オバマ政権発足後、各国が協調して金融不安対策をさらに講じてくれば、予想外の不景気の株高があり得るかもしれない。

2009年1月24日土曜日

1/24(土) 世界同時不況vs各国の景気対策

NYダウ 8077.56 ▼45.24
為替(NY23日終値) 88.70-80/米ドル
 昨日今日報道された世界の主力企業の決算状況だが、日産14年ぶり赤字転落、サムスン初の四半期赤字(10-12月期)、グーグルも上場後初の四半期赤字(10-12月期)と確実に世界同時不況が進行している。リーマンショック後、株価下落、企業業績落ち込み、消費者の買い控え、内需落ち込み、雇用削減、倒産急増、業績が落ち込みという悪循環になっている。世界主要国政府もこの悪循環を断ち切ろうと様々な景気対策を次々と打ち出している。英国やドイツでも減税などの対策がすでに実行されており、日本でも、金融機関に限定されていた公的資金投入を一般企業も対象とする方向で調整に入った。日銀もCP(コマーシャルペーパー)の買取、先月の利下げなど、景気悪化をどの程度食い止めることができるかはわからないが、その効果に期待したい。 
 オバマ大統領の景気対策法案は2/16までに成立させる方向である。良くも悪くもGDP世界1位の米国の政策舵取りが世界経済へ大きく影響を及ぼすので、悪循環が進行する世界経済にとって、特にこの1年のオバマ大統領の国内外でのリーダーシップは、今後の世界経済の浮沈を決めるであろう。

2009年1月23日金曜日

1/23(金) マーケットvs政府・FRBのスピード感

日経平均 7,745.25 ▼306.49
為替(17時) 88.34-37円/米ドル
 年末年始はオバマ大統領の政策期待から世界的に株式市場は堅調で日経平均で9000円台、NYダウで9000ドル台まで上昇した。その後世界的に景気後退が今後も続くとの見方から、下落基調を強めている。オバマ大統領就任日にもNYダウは300ドル以上も下落した。気の早いマーケットはオバマ大統領に対し、金融不安の払拭と景気悪化を食い止める具体的な政策を催促しているのだろう。
 昨年のブッシュ前米大統領とポールソン前財務長官は、未曾有の金融不安に対し、例えば金融安定化法案の成立やリーマン・ショック関連など、残念ながら対応が後手後手になってしまったことは否めない。現在の金融マーケットのみならず実体経済の変化のスピードは、過去と比較しても劇的に早くなってきており、危機対応が後手に回ってしまうとさらにその影響から危機が拡大してしまうリスクがある。オバマ米大統領、ガイトナー財務長官は「大胆かつ迅速に」と就任演説で述べているように、今後の政策運営を効果的に進めるためにもスタートダッシュをどのように切るのか期待して注視していきたい。

2009年1月22日木曜日

1/22(木) 市場関係者の見通し

日経平均 8,051.74  △150.10
為替(17時) 89.28-31円/米ドル
 100年に一度の事態といわれている世界経済は、オバマ米新大統領による具体的な景気対策、金融危機対策に期待が高まっている。昨年のリーマンショック以降、世界経済にとって明るい話題は皆無なだけにその期待感は大きい。
 昨年11月以降、NYダウでは8000ドル前後から9000ドル前後、日経平均では8000円前後から9000円前後でのもみ合いは続いている。 市場関係者による2009年の株式市場の見通しの多くは、2009年前半は景況感の悪化で株式市場は下値模索(例えば日経平均で6000円~7000円前後)、年後半は各国の景気刺激策が効いてきて、市場は上昇するのではないか、との見通しが大多数だ。株式市場は6か月から12か月程度の景気の先行指標と言われており、足元の景気後退や業績悪化は相当部分織り込んでいると思われる。大方の見通しとは裏腹に、最近皆無だった世界経済に対する明るい話題=オバマ新大統領による具体的な政策が発表されると、大方の予想とは逆に、株式市場は意外と堅調になるのではないか。

2009年1月21日水曜日

1/21(水) オバマ新大統領と株式市場

日経平均 7,901.64 ▼164.15
為替(17時) 89.86-89円/米ドル
 米国第44代大統領に就任したバラク・オバマ氏の就任演説で「新たな責任の時代」と経済再生や米国の誇りの回復に向け、国民に結束を求めた。100年に一度の危機と叫ばれる中での就任で、首都ワシントンには200万人もの観衆が集まり、その期待の大きさが窺える就任式であった。
 一方、NY株式市場は、金融、自動車を中心に大きく値を下げ、NYダウは332ドル安で8000ドルを割り込んで引けた。改めて世界同時不況そ深刻化や企業業績への懸念が強まっている。オバマ大統領は就任演説で危機解決に向け「大胆で迅速」な行動が必要であると述べた。今日の株式市場の下落は、新大統領に対して例えば経営難の金融機関への追加支援など、具体的な行動を促しているのだろう。おそらく株式市場は2009年内の景気低迷はある程度織り込んでいると思われ、今後、多少の悪材料に対してもあまり反応しないかもしれない。むしろ景気対策が具体的な行動に移されてくると、その期待感から市場は予想以上に堅調に推移していく可能性は十分にあるだろう。

2009年1月20日火曜日

1/20(火) 政府支援策と財政赤字

日経平均 8,065.79  ▼191.06
為替(17時) 90.44-47円/米ドル
 米国発の金融危機をきっかけに世界的景気後退の中で、特に金融機関や自動車メーカーの経営危機を回避すべく、各国政府は次々と公的資金の投入している。急速な景気悪化を防ぎや金融不安を回避するには必要な処置だと思われるが、今後の懸念材料として、各国の財政赤字の大幅増による国債等の格下げである。
 例えば米国の場合、2009年度の赤字は1兆ドル(約90兆円)を市場初めて突破し、過去最悪が予想され、国内総生産(GDP)に占める割合は前年度の3.2%から一気に8.3%まで悪化する。ヨーロッパ諸国、日本も同様にその率は軒並み上昇している。その影響として今後、各国ごとに状況の違いがあるものの、債務格付けの格下げが行われるだろう。現在は景気悪化によるデフレの状況ではあるが、今後どのタイミングになるかはわからないが、財政悪化による格下げが行われた場合に金利が上昇してしまい、インフレに対する警戒をしなければならない時期がくるかもしれない。

2009年1月19日月曜日

1/19(月) 銀行への公的資金投入

日経平均 8,256.85  △26.70
為替(17時) 90.62-65円/米ドル
 日・米・英など、各国で銀行向けの支援策は次々と打ち出されている。米国では、米大手銀シティ、バンカメ(バンク・オブ・アメリカ)への米政府による公的資金投入と、不良資産の損失肩代わり、英国でも、銀行の不良資産の損失肩代わりに総額500億ポンド(約6兆5000億円)の基金を設け、日本でも札幌北洋に対し、新しい金融機能強化法に基づき初めて公的資金が予防的に投入され、今後他の地銀も追随する見込みだ。公的資金投入の対象となった銀行の株価は今のところさえない値動きだが、金融システムの安定化にはつながるのではないか。
 世界同時不況の様相を見せる昨今、株式市場は11月以降、日経平均で約8000円前後から9000円前後でもみ合いが続いている。おそらく景気悪化による企業業績の低迷、金融機関の損失拡大、といった予想範囲内の材料では、株式市場はかなり織り込んでいるよう感じられる。各国が打ち出す銀行への公的資金投入が、今後どの程度実体経済に好影響を与えるかは未知数だが、金融システムの安定化につながっていってもらいたいものである。

2009年1月18日日曜日

1/18(日) 最近の株式市場の値動き

 リーマンショック後、昨年10/28に日経平均は一時7000円を割り込むまで下落し、市場はパニック状態であったが、11月以降は8000円前後から9000円前後のレンジで推移している。東証1部の出来高はSQ(株式先物取引や株価指数オプション取引の最終決済のための価格=清算指数)を除くと、20億株程度で売買代金は2兆円に届かない日がほとんどだ。おそらく2008年1年間で42%も下落で、2009年3月期の大幅減益を織り込み、また、2010年3月期の業績低迷も織り込みつつあるようで、業績悪化という材料では株価の下落幅は限定的になってきている。しかしながら、景気回復という明るい兆しも感じられないため上値も重いのだろう。先行きが不透明なため、市場参加者が少なくなり、売買代金も低水準が続いている。
 信用取引における信用残は2008年1月には金額ベースで買い残が約3兆円で直近で約1兆円まで減少、一方売り残は2008年1月に約1.2兆円から10/10に約0.78兆円まで減少し、その後じりじり残高が増え、直近で1兆円に迫る水準だ。貸借倍率(買い方と売り方の状況を数値で表したもの)は1倍に迫っており、今後の株式市場は景気・企業業績動向がもちろん重要な材料だが、信用取引での需給関係のあやで、市場の大方の見方とは裏腹に買戻しによる一時的上昇もありえるかもしれない。

2009年1月17日土曜日

1/17(土) 米シティ、バンカメ向け政府支援と株式市場

NYダウ 8,281.22 △68.73
為替(NY16日終値) 90.65-75/米ドル
 米シティ、バンカメ(バンク・オブ・アメリカ)の10-12月期決算が赤字決算となり、米政府はバンカメ向けに200億ドル(約1兆8000億円)の資本再注入され、また、バンカメが保有する1180億ドル(約10兆6000億円)の不良資産から今後生じる損失の大半を政府が肩代わりすることとなった。シティも1998年の米保険最大手トラベラーズとの合併以降、推し進めてきた総合金融路線から撤退し、銀行業務に集中し、非中核部門である証券、資産運用、消費者金融等の事業を今後リストラしていく方向だ。
 株式市場の反応は冷静で、シティ、バンカメは業績悪化による株主責任(株価下落)は免れないものの、株式市場全体への影響は限定的であった。おそらく今後何らかの形で米自動車大手3社(ビックスリー)問題も政府主導で処理されるであろうが、今回のシティ、バンカメと同様に、株式市場全体に与える影響は限定的になるのではないだろうか。企業の業績悪化の材料はかなり市場に織り込まれていているので、リーマンショック直後のような下値不安は少ないものの、世界景気の改善の兆しも見えない状況では、様子見するのがベストな選択だろう。

2009年1月16日金曜日

1/16(金) 主力企業の業績見通し

日経平均 8,230.15  △206.84
為替(17時) 90.32-35円/米ドル
 トヨタ、ソニー、東芝、日立は世界同時不況と円高の影響で2009年3月期営業赤字に転落、三菱UFJは10-12月期に保有株式の減損処理2880億円で4-12月は最終赤字、との発表や見通しが年末から昨日にかけてあった。しかしながら、最近の株価の値動きは発表を機に大きく売られることはなく、むしろ懸念材料が明らかになり、買戻しが入り、値崩れは起こしていない。
 日本の株式マーケットは2009年3月期の赤字転落を含め下方修正を織り込み、2010年3月期を見に行っているのだろう。100年に一度の事態と言われる状況なので、特にリーマンショック以降、PER(株価収益率)PBR(株価純資産倍率)配当利回りなどの投資尺度を無視して下落していたが、最近は落ち着いた展開が続いており、マーケットは冷静になってきている。今後は個別企業ごとの2010年3月期の業績見通し、各種投資尺度、景気対策によるテーマに乗った銘柄(太陽エネルギー関連など)など、個別銘柄ごとの分析による投資先の選定が、今後の投資成果に大きな差を生むことになるだろう。

2009年1月15日木曜日

1/15(木) 配当利回り

日経平均 8,023.31  ▼415.14
為替(17時) 89.08-11円/米ドル
 米国の12月の小売売上高が予想を上回る落ち込みと、銀行大手シティの業績不安から、NY株式市場の(1/14)大幅下落を受け、東京株式市場も大幅安となった。オバマ米次期大統領によるグリーンディール政策などの政策期待から年初は世界の株式市場は堅調であったが、12月の実体経済の落ち込みが明らかなり、株式市場は先週半ばから下落局面が続いている。当面上値は重そうだ。
 ところで、重要な投資尺度の一つとして、配当利回りがある。東証1部全銘柄の予想利回りは2.74%で、10年債利回りの1.26%(1/14)の2倍以上の高利回りであり、魅力的であるはずだ。しかしながら、リーマンショック後、急速の世界経済が冷え込んでいるなか、トヨタ、ソニーなど、2009年3月期決算は営業赤字に転落する見込みで、企業業績も落ち込んでいる。そんな中、社会問題にもなっている大手企業による派遣切りや、内部留保を取り崩して雇用を守るべきだ、との意見など、大手企業の内部留保金に対する監視は厳しい。おそらく業績悪化と雇用問題から、来期以降に大幅な減配企業が増えてくることを留意して投資判断を行うべきであろう。

2009年1月14日水曜日

1/14(水) 個人消費と定額給付金

日経平均 8,438.45  △24.54
為替(17時) 89.76-79円/米ドル
 定額給付金をめぐり、国会では与野党の攻防が続いている。そもそもこの定額給付金の目的は、個人消費を後押しする景気刺激策なのか、昨今の急激な景気悪化に伴う家計の厳しさを支える生活支援なのか、目的がぶれているようだ。先日の麻生首相の「所得の高い人、消費できる余裕のある人は盛大に使ってもらうのがよい」と発言しており、また、実質GDP(実質国内総生産)の0.2%押し上げ効果があると試算しているからには、景気刺激策なのだろう。
 政治は国民の信頼の上に成り立つわけだが、残念ながら国民は年金問題、後期高齢者医療問題、公務員改革など、内閣支持率が端的に表しているが、国民の政治への不信感は高まっている。そんな中、定額給付金を盛大に使ってもらいたい、と首相から期待されて、果たして国民はそのまま盛大に使うのだろうか。株式投資の観点からは、残念ではあるが、景気対策一つ決めるのに、これだけの混迷を招く日本の政治に対する不信感と不安感から、当面、投資は慎重にならざるを得ない。しかしながらこの政治混迷も将来的な政界再編による戦後レジームからの脱却につながればと期待はしている。

2009年1月13日火曜日

1/13(火) 景気対策

日経平均 8,413.91  ▼422.89
為替(17時) 89.20-23円/米ドル
 世界同時不況と囁かれる昨今、各国は様々な景気対策を打ち出している。日本では本日2兆円の定額給付金を柱とする追加経済対策が衆院を通過、米国では金融安定化法案に基づく7000億ドル(約62兆円)の公的資金枠や、オバマ新大統領による2009-10年で総額7700億ドル(約68兆円)規模の景気対策が予定されている。内容な省略するが、英国やドイツなどでも景気刺激策が実行されている。果たしてその効果と、金融市場、特に株式市場への影響をどう見るべきであろうか。
 現在の世界経済は、株価下落、企業業績落ち込み、消費者の買い控え、内需落ち込み、雇用削減、倒産急増、業績が落ち込みという悪循環に残念ながらなっており、各国の景気対策は、景気悪化のスピードを緩衝する程度と見るべきであろう。例えば、米国の7700億ドルの公的資金枠は早くも使い切る見込みで、オバマ新大統領の景気対策により2010年末をめどに400万人の雇用創出との見込みだが、反面、2008年だけでも約260万人減少している。景気悪化のスピードと各国の景気対策を比べても、現時点では株式への投資は様子見をせざるを得ない。

2009年1月12日月曜日

1/12(祝) 分散投資と集中投資②

 そもそも分散投資をする一番の目的は何だろうか?一つの答えとして、資産家が資産を目減りさせないことではないだろうか。例えば金融資産1億円保有している人が、1つの銀行の定期預金に預けていて、もしその銀行が経営破たんした場合、預金保険機構により元本1000万円ととその利息しか保護されない。だから銀行を分散する。もし仮に高いインフレが起こった場合、金融資産を実質的な目減りさせないために、株式等を保有しておく、日本円が将来的に円安になるリスクを回避するために外貨資産を保有しておく、など、資産を分散することで、今後起こりうるリスクに対応することが可能となる。
 投資入門講座などでは、分散投資することが投資の基本と説いている。その通りだと思う。特に投資初心者は、国内外の株、債券に分散したバランス型ファンドを少額から始めるのが良いだろう。しかし、もし仮に平均的な期待収益率以上の高リターンを追及し、資産を大きく増やしたいと考えるならば、特定の株式など、株価上昇に確信を持てる先に、思い切ってリスクを取って集中投資すべきであろう。(例えば資産の50%程度まで、日々の生活に困らない範囲で。リスクの語源はイタリア語でrasicare「勇気を持って試みる」という意味)分散投資では市場平均を上回るリターンを実現するのはなかなか難しいものである。

2009年1月11日日曜日

1/11(日) 分散投資と集中投資①

 貯蓄から投資の時代へ、と謳われはじめ特に日曜日の新聞では、資産運用の記事をよく見かけるようになった。大方の記事は、国内外の株式、債券に分散し、中長期的な観点で目先の価格に一喜一憂せずに投資しましょう、といった感じだ。果たしていわゆる教科書どおりの分散投資で資産を増やすことは可能だろうか?
 ポイントになるのは、資産を増やす目標をどの程度に定めるかだ。国内外の株式、債券にリスク分散した投資の場合、当然ではあるが、リスクが分散投資によって抑えられる分、将来の期待収益も抑えられてしまう。おおまかな表現だがインフレ率+数%あれば御の字であろう。日本の平均年収が400万円強だが、その収入で例えば1億円超の金融資産を蓄えるには分散投資を中長期的に行っても難しい。その場合は、ある特定の株式などの投資対象に集中して投資を行い、高いリターンを目指すことが必要だ。もちろん、全資産を集中投資すべきではないが、確信持てる投資先であるならば例えば資産の50%程度まで(日々の生活に困らない範囲で)投資することで、1億円レベルの資産を形成することが可能になるのではないか。資産保有層は、医者、弁護士等の専門職、地主を除くと、企業オーナー(自社株への集中)、新興成長企業への投資による大幅な値上がりというケースがほとんどである。

2009年1月10日土曜日

1/10(土) モラルハザード

NYダウ 8599.18 ▼143.28
為替(NY9日終値) 90.35-45/米ドル
 米国は、金融安定化法という名のもとに、米自動車大手(ビッグスリー)のGM、クライスラーへつなぎ融資を行い、足元の危機は回避したが、今度は住宅ローンの借り手の返済支援のために公的資金を投入する方向で法を見直すという。詳細は現時点では不明だが、そもそも市場原理型資本主義において高い競争力を誇ってきた米国が公的資金によって、特定に企業だけでなく住宅ローンの借り手まで救済する事態は、まさにその高かった競争力を放棄することを意味する。景気悪化を少しでも食いとめようと、次々と公的資金投入しているが、企業経営や家計の規律はどこへ行ってしまうのだろうか?
 私は決して悲観論者ではないが、今の世界経済は、株価が下がり、企業業績が落ち込み、悲観的なった消費者は消費を抑え、内需が落ち込み、雇用が切られ、倒産が急増し、業績が落ち込むという悪循環に陥っており、それを止めるのは難しい。エコノミストなどの識者の大部分は2009年末から2010年前半に景気反転を予想しているようだが、この悪循環に加えて米国のモラルハザード発生を考えると甚だ疑問である。

2009年1月9日金曜日

1/9(金) 定額給付金問題

日経平均 8,836.80  ▼39.62
為替(17時) 91.14-17円/米ドル
 麻生政権は、景気対策として10月から議論されている定額給付金を、できれば年度内に給付したいとの意向のようだ。最近の世界経済はわずか1か月でも環境は激変するので、定額給付金の景気への効果はさておき、スピード感が足りないとしか言いようがない。100年に一度の事態に対する一国のリーダーとして残念ながら危機感が全く感じられない。
 世論調査によると、定額給付金に対し、労せずお金がもらえるにも関わらず、約60%は反対だという。国民の大部分は1回限りでGDP成長率をゼロ・コンマ何%程度の景気浮揚よりも、世界が激変する可能性のある状況で、中長期的な視点でこの国のあり方、ビジョンといった、国民の将来に対して前向きな「気」にさせてくれることを期待しているのだと思う。投資の世界においても、リーマン・ショック以降、株式市場の各種指標・数字的には歴史的割安水準にもかかわらず、なかなか本格上昇しない。今ほど目先の指標や政策よりも、「気」を前向きにさせてくれる将来的ビジョンこそ国民にニーズであり、遠回りのようだが、最善の景気対策であろう。

2009年1月8日木曜日

1/8(木) 倫理資本主義

日経平均 8,876.42  ▼362.82
為替(17時) 91.78-81円/米ドル
 世界経済は「100年に一度の事態」と言われており、米国を中心とした市場原理型資本主義はその役割を終え、新しいパラダイムを模索している。1/20のオバマ米次期大統領の演説は、もちろん、米国発世界景気後退への景気刺激策として、「グリーン・ディール政策」を中心に大規模な政策を打ち出すであろうが、やや大げさに言うと、「次の100年」の新しいパラダイムをどこまで提示してくるかが楽しみでもある。
 日本における最近の話題の多くは「派遣切り」に代表される、正社員と派遣社員もしくは経営と労働者との格差や不平等の問題、米国では極端な利益至上主義による経営者の富の独占への不満と批判、また最近の景気後退による大規模なレイオフ(解雇)だ。おそらく世界経済は、その反省と反動から、利益・富を独占するのではなく、社会全体で共有するために還元していくことにより、世界全体やその国家が豊かになるという倫理と利益をともに実現する、倫理資本主義的な方向に向かっていくのではないかと期待している。

2009年1月7日水曜日

1/7(水) 100年に一度の事態とは?

日経平均 9,239.24  △158.40
為替(17時) 93.45-48円/米ドル
 米国発金融危機を発端に世界は景気後退局面に突入し、「100年に一度の事態」といわれている。では、「100年に一度の事態」とはどういう事態なのだろうか。膨張した金融(信用)バブルの収縮とその影響で実体経済が悪化したことなのか、世界を牽引した米国経済は金融収縮によりその屋台骨である個人消費が大幅に落ち込み、借りて消費する消費文化の崩壊なのか、など明確ではない。しかしながら、今までののような景気循環的な不況であるならば、「100年に一度」とは言わないだろう。金融危機をきっかけに世界的に消費に対する価値観の変化や、米国中心の市場原理主義から新しいパラダイムを模索し、また地球環境問題や失業者、貧困問題を解決するための時期であるから100年に一度なのだろう。このタイミングでの米国新大統領オバマ氏の就任演説は「Change」への史上空前の期待と人気になっている。しかしながら、投資の観点からは、政策発表前から期待感から株価は上昇しているので、かなり政策期待は織り込んでいるようだ。演説で、よほどのサプライズ(マジック?)がない限りは、景気悪化を止め、回復時期を早めることはできないだろう。投資は冷静に対応するのが賢明だ。

2009年1月6日火曜日

1/6(火) ヘッジファンドの解約請求

日経平均 9,080.84  △37.72
為替(17時) 93.56-59円/米ドル
 日経平均株価は1年半ぶりの6日続伸で、9000円台を維持した。米オバマ次期大統領の政策期待と円安から、ソニーなど輸出関連銘柄や、太陽エネルギー関連が物色されシャープはストップ高となった。ここのところ売買代金は低調ながら、買戻しと投資テーマによる個別物色による上昇続いている。
 ところで、昨年のリーマン・ショック後の株式の大幅下落の要因は、今後実体経済が落ち込むであろうことを市場が織り込みにいったことと、ヘッジファンドの解約売りであろう。特にヘッジファンドは解約請求は3か月に1度で、3、6、9、12月末、もしくは2、5、8、11月末のケースが多く、また解約日の45日前までに解約請求をしなければならない場合が多い。つまり、12月中旬以降はヘッジファンド解約売りが一巡し、ビックスリー問題も先送りされたため、株式市場は落ち着きを取り戻したのではないだろうか。しかしながら、11月、12月のヘッジファンドの解約請求の金額が膨大で、解約請求を制限しているファンドも多いため、解約したくてもできなかった投資家が、1月以降にあらためて解約請求してくる観測もあり、1月中旬以降は株式市場は波乱の可能性を考えておかなければならない。

2009年1月5日月曜日

1/5(月) 2009年新しい投資の視点⑥食・自給率

日経平均 9,043.12  △183.56
為替(17時) 92.01-04円/米ドル
 2007年までのように世界経済が順調に成長しているときは、フェアでグローバルな世界交易が行われ世界各国の協調関係も良好であるものだが、今後、もし世界経済がさらに悪化していった場合、おそらく今までのようなフェアな交易は難しくなっていくであろう。そうなって欲しくはないが各国が保護主義に走ってしまう可能性も十分ある。現に2008年中ごろに商品市況が高騰した際、食糧輸出国の中には輸出量を減らしたり、関税を高くした国があった。
 日本は周知のとおり、食糧自給率が約40%で、今後不確実な世界状況が続いた場合、食糧の調達が難しくなる可能性があり、極めて危険な状況にある。国の舵取り役の政局は現状混迷の度を深めてはいるが、仮に、政権がどう転んでも遅かれ早かれ自給率上昇のため、食糧=農業への政策的後押しが具体的に実行されるであろうと期待をしたい。食糧生産にかかわる業界として例えば、種苗メーカー、農業機械、肥料メーカーなどが中長期的な投資に期待がもてるのではないだろうか。

2009年1月4日日曜日

1/4(日) 2009年新しい投資の視点⑤介護

 最近のマスコミ報道を見ていると、海外のニュースでは、米国発金融危機、世界同時不況、国内では派遣切り問題、政局の混迷、などの報道が多く、残念ながら前向きな話の報道は少ない。100年に一度の事態と言われる状況なのでやむを得ないだろう。報道の回数は減っているものの消えた年金問題、医療格差問題、不正教員採用問題など、まさに今後のわが国のあり方が問われている。
 国民と国家の関係において一番大切なことは国民が国家対し信頼できること、そして信頼の裏付けとなるものはやはり安心の提供であろう。国家が安心を提供するのに必要なことは、最低限の衣食住、教育、医療、治安、年金、介護といったところだ。投資という観点で見た場合、投資対象となる企業がそもそもその業界にあるのか、ある場合はその業界の成長性が期待できるのか、これらが最低限クリアしなければならないポイントだ。弊社では介護業界に注目している。昨今の国民の国家運営に対する不満や不信感の高まりはここ十数年の中でもかなり高くなっており、今後の政局がどう転ぶかはわからないが、不満や不信の解消のために安心感の提供すべく、遅かれ早かれ必ず具体的な政策を実行するだろうと期待している。先ほど挙げたポイントと、今後確実に進んでいく高齢化という環境下での介護業界はやはり注目すべき業界だ。

2009年1月3日土曜日

1/3(土) 2009円新しい投資の視点④国家や企業のメッセージ

NYダウ 9,034.69 △258.30
為替(NY2日終値) 91.75-85/米ドル
 2009年の世界景気は、主要国は軒並みマイナス成長、2008年前半まで世界経済を牽引しBRIC’sを中心とした新興国も成長率は大幅鈍化の予想で、厳しい状況が続く見通しだ。100年に一度の事態、市場原理主義の終焉、世界経済のパラダイム変化、など、様々な見方があるなか、各国政府や各企業が自分たちの強みを最大限生かし、どのような戦略を持ってこの未曾有の危機をチャンスにChangeさせることができるのか、注意深く見ていきたい。
 弊社では、その方法の一つとして、どのようなメッセージを発するのか、またその内容が具体的で実現が可能で、市場(国民・消費者)に受け入れられるものであるのかどうかを重視している。シンプルな判断基準だが、メッセージを発するタイミングやその伝え方を見れば、徹底した調査・分析など的を得た下準備が、スピード感を持ってできているか否かがわかるので、おのずと危機をチャンスにChangeできる企業かどうかがある程度判断できるのではないか。

2009年1月2日金曜日

1/2(金) 2009年新しい投資の視点③教育

 年末に極めて残念なニュースがあった。内閣府が発表した国民1人あたりのGDP(名目国内総生産)がOECD(経済協力開発機構)に加盟する30カ国中19位で、G7(主要7カ国)ではイタリアに抜かれ最下位となった。OECD(経済協力開発機構)が昨年9/9に公表した「教育2008年版」で、日本の2005年の教育予算の対国内総生産(GDP)比が3.4%(前年比0.1ポイント減)と、OECD加盟国中最低であることと深く関係があるであろう。
 英トニー・ブレア前首相の就任時の演説ではないが、今、日本に必要なことは、年金問題などの社会福祉の充実ももちろん重要だが、今後、国民の生産性の向上や他国にはないオンリーワンの技術や発明を作り上げ、競争力を高めるには、1に教育、2に教育、3、4はなくて5に教育ではないだろうか。本来、政治のリーダーシップ主導で教育(特に公教育)の抜本的改革を早急に行うべきだが、現状ではリーダーシップどころではない政局の混迷もあり、改革には時間がかかりそうだ。しかしながら近い将来にはおそらく教育改革が推進されることを期待して、充実した教育の実現には予算だけでなく、教える技術や知識・思考力を高める教材は必須で、そのようなノウハウの蓄積のある企業への投資は中長期的におもしろいのではないだろうか。

2009年1月1日木曜日

1/1(祝) 2009年新しい投資の視点②太陽エネルギー

NYダウ 8,776.39 △108.00
為替(12/31NY終値) 90.60-70/米ドル
 資源を切り口に世界経済を見ていった場合、20世紀は米国オイルメジャーを中心とした石油経済だったが、21世紀は太陽エネルギーによる太陽経済だという見方がある。1/20の米国新大統領オバマ氏による一般教書演説も経済政策の柱として太陽エネルギー政策が打ち出されるであろう。
 太陽経済は、発電だけでなく、エネルギーを蓄える電池、電気を送る超伝導技術、電気で動く電気自動車など、日本の主要企業の蓄積された技術力は諸外国と比較してもその優位性は十分あり、また、昨今の世界同時不況化でも、NECや東芝などは将来を見据え積極的に設備投資等を行っている。シャープも新年早々のTVコマーシャルは太陽光発電ビジネスを全面に打ち出した内容で、明確な企業メッセージだ。2009年も短期的には株式市場の乱高下も想定されるが、2010年以降に投資の成果を期待して太陽経済を主要のビジネスとして展開できる企業への投資は有望である。