2009年5月31日日曜日

5/31(日) 二番底へ②

 3/10前後に日経平均で7000円、NYダウで6500ドルまで下落後、この3か月弱は堅調に推移しているが、リーマンショック後の金融危機をきっかけとした景気急落後の一服感や前月比での改善がみられる指標が散見されるようになり、年内の景気底打ち、回復という楽観的見方が広がっている。しかしながら当社では年内の景気底打ちの可能性はあるかもしれないが、年内の回復は難しいと見ている。回復局面は早くて2010年であろう。
 理由として、燻り続ける金融機関の不良債権問題だが、米国の一部大手行を除く米金融機関と欧州金融機関は高リスクの証券化商品の処理と資本増強には時間がかかるだろうし、米官民合同の不良債権買取プログラムがどの程度機能するかも未知数だ。さらに世界的な雇用悪化の歯止めがかかっておらず、例えば米国では4月の失業率で8.9%で年内にも10%台の可能性も高い。スペインでは20%近い状況で、日本でもITバブル崩壊後の不況以来の5%台突入で、雇用調整助成金制度の対象者(完全失業ではない)が200 万人を超え、世界的にも社会問題化しており、各国の政局運営にも大きな影響を与えるだろう。また、米国の巨額財政出動による財政悪化に伴う基軸通貨米ドルへの信認問題もあり、今回の不況は従来の景気循環的な回復を期待すべきではないだろう。

2009年5月30日土曜日

5/30(土) GM1ドル割れ

NYダウ(29日終値) 8500.33 △96.53
為替(NY29日終値) 95.30-40/米ドル
 29日のニューヨーク株式市場で、米自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)の株価が急落、ニューヨーク証券取引所で売買されるのに通常必要とされる1ドルを割り込み、76年ぶりの安値で引けた。
GMの株価は2000年4月には94.63ドルだったが、この日のGMの終値は前日比37セント(33%)安の75セント。あまりにも巨大な企業の、あまりにも巨大な破綻劇になりそうで、どのように解体され、再建されるのか、われわれは見守るだけであろう。28日の株価の推移として、債権者グループとの暫定合意のニュースに「破綻回避か?」との見方が浮上し株価は一時上昇、しかしながら破たんを前提とした案ということが判明し、株価は再び急落した。6/1にオバマ大統領自らが発表するという異例の破産を、マーケットでは織り込み、この問題を乗り越えるだろうとの楽観的見方が強まっている。しかしながら、アメリカの20世紀の繁栄を象徴するGMが破たんし、次のアメリカの姿(ビジョン)が見えない状況で、アメリカ経済を楽観的に見通すのは妄想的見方ではないだろうか。来週以降の出来事を確認してからでも、新規投資を行うには遅くはない。

2009年5月29日金曜日

5/29(金) 二番底へ①

日経平均 9522.50 △71.11
為替(15時) 96.50-55/米ドル
 経済産業省が29日発表した4月の鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は前月比5.2%上昇の74.3と、1953年3月以来、約56年ぶりの上昇率を記録した。輸出の底入れに加え、在庫調整が進んだことなどが理由だ。基調判断について「持ち直しの動きがみられる」として、前月の「停滞」から変更。上方修正は07年8月以来になる。3月上旬に日経平均で7000円、NYダウで6500ドルまで下落後、この3か月弱は堅調に推移しているが、リーマンショック後の金融危機をきっかけとした景気急落後の一服感や前月比での改善がみられる指標が散見されるようになり、年内の景気底打ち、回復という楽観的見方が広がっている。確かに昨年10月からの景気急落のような局面はもうないだろうが、弊社では今後のマーケットは実体経済の悪化や弱さをあらためて実感することになると見ている。鉱工業生産指数で見ると2008年初は110程度あったが4月が5.2%上昇したと言っても74.3と低水準で、(ちなみに1990年以降85を割り込んだことはない)急落後の一服であると思われること。またGM問題や特に欧州金融機関の不良債権問題、世界的雇用の大幅悪化などの諸問題が続く環境下で景気への強気見通しを持つこと難しい。

2009年5月28日木曜日

5/28(木) 米自動車部品大手2社破たん

日経平均 9451.39 △12.62
為替(15時) 96.50-51/米ドル
 米自動車部品大手ビステオン は28日、米事業について連邦破産法11条の適用を申請したことを明らかにした。2000年にフォード・モーターからスピンオフ(分離・独立)した経緯から、フォードがDIPファイナンス(事業再生融資)を支援する方針を示しているという。また、自動車部品メーカーの旭テックは米子会社メタルダイン(ミシガン州)も米連邦破産法11条の適用を申請したと発表した。主要顧客の米ビッグスリー(自動車大手3社)の危機を背景に収益が一段と悪化し、自力での存続が不可能と判断し、同法の手続きに沿って工場の引き受け先を探すなど経営の再建を進め、は2009年3月期で約320億円の特別損失を計上する。マーケットではGMの破たん処理の方法やスピード感がどうなのかを気にしているようだが、そもそも米国では危機以前は自動車販売が年間約1600万台から現在900万台程度に落ち込んでいる。今後は多少回復するだろうが、世界的に経済活動がパラダイム変化(エコ、新エネルギー、新技術、倹約)に対応が遅れている米自動車産業の問題解決が簡単にできるとは思えない。GM破たん後の実体経済への影響を確認してからでも、新規株式投資は遅くないだろう。

2009年5月27日水曜日

5/27(水) GM問題は織り込み済みの声?

日経平均 9438.77 △127.96
為替(17時) 95.20-23/米ドル
 米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は6/1までに米政府に再建計画を提出することが求められており、債務削減に失敗すれば、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用申請に追い込まれる可能性が高い。破産法適用の申請は既に想定されたシナリオとして「ショック安」はない、との声が大勢を占めつつあるという。果たしてそうだろうか?楽観的過ぎる見方ではないだろうか。
 債権者団とのぎりぎりの交渉が続いているが、無担保債務計270億ドル(約2兆6000億円)の問題や、GMの車作りでの競争力がトヨタ等と比較して劣っていることが6/1までに解決・改善されるならば実体経済への影響は限定的になるだろうが、巨額債務や競争力低下は厳然たる事実である。自動車産業はディーラー、部品メーカーなどすそ野が大きく、連邦破産法11条の適用により、直接的な影響として失業者の急増、企業業績の悪化、間接的には個人消費の低迷などつながるだろう。最近のマーケット環境は投資心理が強気に傾いているので、GM問題は織り込み済みのような見方が大勢を占めているかもしれないが、雰囲気に流されず、冷静に事実を客観的に見るべきだ。

2009年5月26日火曜日

5/26(火) 国内の仕事が減っている

日経平均 9310.81 ▼36.19
為替(15時) 94.75-80/米ドル
 リーマンショック後の世界的な景気急減速は、自動車や電機などの製造業への影響が大きい。各企業とも在庫調整、生産調整、雇用調整、コスト削減などの企業努力を行っている。特に自動車、電機業界は部品メーカーなどの系列会社や下請けなどすそ野は広く、月次ベースの売上が半減している会社も多いようだ。今後もコスト削減のため、例えば東芝は携帯電話での国内生産撤退を決めた。シャープも輸出を大幅に減らし、海外で販売する液晶テレビは海外に生産委託していくという。資源が無く、食糧自給率が40%程度で少子高齢化で人口減の日本が海外で稼がなければ生きていけないのは明白だが、グローバルな競争の中で、人件費が高く、法人税が高い日本国内での経済活動を海外へ移転することはグローバル企業にとって当然の経営判断である。景気悪化に乗じて従来型「バラマキ」政策を復活させている現政権には、グローバルな視点を持ち、100年に一度のパラダイム変化の時代を勝ち残るためのビジョンを示し、具体的な政策を講じることは不可能だろう。「バラマキ」は麻薬みたいなもので一時的に景気が良くなる雰囲気にはなるだろうが、何も改善されず、債務だけが残ってしまうことを認識するべきだ。

2009年5月25日月曜日

5/25(月) 雇用は遅行指数だが・・

日経平均 9,347.00 △121.19
為替(17時) 94.98-95.01円/米ドル
 政府は5月の月例経済報告を発表し、景気の基調判断を2006年2月以来、約3年3カ月ぶりに上方修正し、「厳しい状況にあるものの、このところ悪化のテンポが緩やかになっている」とした。景気判断に使う主な11分野の個別判断項目の内訳では、在庫調整の進展で下げ止まりの動きが出てきた輸出と生産に加え、政府の経済対策の効果で増加している公共投資、倒産件数の計4項目の判断を上方修正したが、失業率の悪化が続く雇用情勢は判断を下方修正した。完全失業率は3月時点で4.8%だが、雇用指数は景気の変化に遅行するが、気になるポイントとして有効求人倍率が低下傾向であること、雇用調整助成金制度の対象者(完全失業ではない)が200 万人を超えており、今後も雇用情勢は悪化するだろう。夏のボーナスも前年比約20%近く減額となれば、否が応でも生活防衛をせざるを得ない。特に先進国での昨今の消費スタイルの変化(質素・倹約)とエコブームという流れは、今までの時代に比べて明らかに需要が減退している。景気悪化、雇用悪化、生活防衛、総需要の減退、企業業績の低迷、雇用悪化という悪循環を断ちきるのはなかなか難しいのではないだろうか。

2009年5月24日日曜日

5/24(日) 衆議院総選挙

 9/10の衆議院の任期満了の伴う総選挙が8月中に行われる公算が高くなっている。小泉政権後の自民党による政権運営は、特に麻生政権では、小泉元首相の任期満了での引退も影響しているが、小泉・竹中路線への批判が強まっているようだ。特に昨今の世界的景気減速による景気低迷を、外需依存の強い日本が特にその影響を受けており、小泉政権時の「構造改革」の陰の部分が出てきていると、特に小泉政権時に抵抗勢力と言われていた議員の方々が息を吹き返しているようだ。(その勢力は自民党のベテランで麻生政権でも要職に就いている方々も多い)
 この世界的景気悪化に乗じて、不況を小泉改革の失敗という風潮にし、危機に乗じて史上最大の景気対策を打ち出し、次期総選挙に向けた官僚任せの公共事業などの「バラマキ」が残念ながら実行されつつある。100年に一度のパラダイム変化が起きようとするこの状況で、今こそ国家ビジョンを示し、強い意志を持って構造改革を行うべきだが、残念ながら麻生政権による「バラマキ」は一時的に景気指標は改善されるが(15兆円も使えば当たり前のことで、麻薬みたいなもの)、ビジョンも改革も無い景気対策では、少子高齢化で人口減の将来の日本に巨額の借金だけが残され、経済成長もできないまま日本経済の低迷が深刻化してしまうだろう。この流れを止める一つの方法として政権交代を実現させ、古い政治家・官僚主導の統治を止める意義があるだろう。マーケットも好感するかもしれない。

2009年5月23日土曜日

5/23(土) 米トリプル安懸念

NYダウ(23日終値) 8277.32 ▼14.81
為替(23日NY終値) 94.70-80/米ドル
 米国債相場は下落し、10年債は週間ベースで2008年6月以来最大の下げ幅となった。2週間ぶりに再開される財務省の入札を前に投資家は国債を買い控えた。10年債利回りは昨年11月以来初めて3.4%を上回った。過去最大規模の国債発行で、米国の「AAA」格付けが損なわれる可能性があるとの懸念が広がっている。特に長期債が下落しており、最近のドル安傾向(対円で4月上旬には101円台から、最近は94円へ円高)や、株価も3/9からの上昇相場も最近は上値が重い展開になってきている。リーマンショック後の景気急減速が昨年10月から続いていたが、3月あたりから一部景気指標に下げ止まり感が出始め、世界景気に楽観的な見方が広がっていたが、雇用の悪化や今も燻る金融不安もあり、株式市場は上値を追うだけの材料に乏しい。むしろ米金融不安や景気対策のための巨額な財政出動(財政赤字)へマーケットの視点が移ってきた。今後は財政出動による景気への明確な効果や、今後の米・財政再建への明確な道筋が見えない限りは、ドル安・債券安・株安というトリプル安への懸念を抱えながら投資判断を行っていく必要がある。

2009年5月22日金曜日

5/22(金) 米・格下げ懸念

日経平均 9225.81 ▼38.34
為替(17時) 94.19-22/米ドル
 米国は今後も財政赤字が拡大するとみられ、米格付け会社による英国債の格付け見通し変更をきっ かけに米国債の格下げの可能性が高まっているとの見方が広がっている。ムーディーズ・インベスターズ・サービスが米国の格付けについて「永久に付与することはできない」との見解を示している。また、「債券王」こと、米パシフィック・ インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース最高投資責任者はロイターに対し電子メールで、米国が最高格付けを失うことへの懸念がドル・米株・米債の売りにつながったとの認識をることは保証できない」との述べている。ここのところのドル安・円高(4月上旬の101円台から現在94円台前半)はおそらく米国の財政赤字拡大と米国債格下げを織り込みに来ているだろう。2009年は米財政赤字は国内総生産(GDP)比で戦後最悪の12.9%まで悪化し、赤字幅は2月に提出した予算の基本方針での予測に比べ、890億ドル拡大している。「強いドルの維持」とガイトナー長官はコメントしているが、財政赤字の拡大、国内産業の低迷を考慮すると、輸出拡大や財政赤字の評価低減のため、本音はドル安の容認ではないだろうか。

2009年5月21日木曜日

5/21(木) GM

日経平均 9264.15 ▼80.49
為替(15時) 94.55-50/米ドル
 経営危機に陥っている米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の幹部3人が、退職金の一部として取得するはずだったGM株計約20万株を前倒しで受け取り、すべて売却していたことが20日分かった。ラッツ副会長ら3人は10%のペナルティーを支払ってGM株を前倒しで受け取り、同日までに売却したとのこと。
 11日にも同副会長ら幹部6人が保有するGM株のすべてを売却していたことが判明。GMは連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)適用を申請するとの見方が強まっており、幹部が経営破綻を前に保有株を売り抜けたとの観測から株価は急落し、13日に70年以上も前の安値水準の1ドルちょうどをつけた。ガイトナー財務長官は20日の会見でGMへの対応に関するコメントでは明言を避けたが、もし仮に連邦破産法11条を定期要した場合、GM本体だけでなく、部品メーカー、系列ディーラーへの厳しい影響は避けられないだろう。今後の失業増での消費冷え込みや労組などによるバイ・アメリカン運動など社会問題へ発展する可能性もあり、株式市場へも少なからず影響が出るだろう。

2009年5月20日水曜日

5/20(水) 邦銀の成長戦略

日経平均 9344.64 △54.35
為替(15時) 95.50-55/米ドル
 6大銀行グループの2009年3月期決算が19日出そろい、連結最終損益の合計額は1兆1793億円の損失となり、5年ぶりに赤字に転落した。世界的な金融危機の余波で保有株式の価格が急落。貸出先企業の業績悪化で、不良債権処理損失が1兆7000億円と4年ぶりの水準に膨らんだ。本業である貸し出しの伸びもこのところ鈍化し、また、「貯蓄から投資へ」の流れも金融不安により大幅に後退、投資信託等の販売も低迷している。
 10年3月期の最終利益見通しは、6グループ合算で8950億円の黒字を想定しているが、世界的な景気急減速が企業業績を圧迫し、雇用への影響が出てておりGDPの約60%を占める個人消費も低迷が始まったばかりだ。夏のボーナスも前年比約15%の減額の見込みで消費低迷の糸口は見つかっていない。世界的な金融不安の中でいかに成長戦略を描き、欧米に比べ劣勢だった金融サービスなど競争力を如何に高めるかを見極め、期待できる先には中長期的視点で投資を行っていきたい。

2009年5月19日火曜日

5/19(火) 景気安定と失業増

日経平均 9290.29 △251.60
為替(15時) 96.35-40/米ドル
 ガイトナー米財務長官は18日、米誌主催の昼食会で「経済成長率がプラスに転じても、多くの米国民にとって心地良い状況にはならない」と述べ、米景気が安定しても失業の増加は長引くとの見通しを示した。またガイトナー氏は金融市場が小康状態になっていることなどを挙げ「米景気の悪化ペースは鈍化している」と指摘したが、「この先も道は平たんではなく、しばらくは脆弱な状況が続く」と語った。
 このコメントにおける景気の安定とはどのようなニュアンスなのだろうか?おそらく、昨年来の世界景気急減速は一服し、四半期ベースでは前期比プラスに転換するのではないかとの見方だろう。特に1-3月期のGDP(国内総生産)のマイナス幅は例えば日本で前期比▼16%程度が予想されており、その低水準(1-3月期)からは若干ながらでも4-6月期はプラスになったとしても、景気が底打ちしたとはまだ言えないだろう。雇用悪化、個人消費の低迷、企業業績の低迷という負の連鎖を断ちきり継続的に景気回復軌道に乗せるまでには、燻り続ける欧米金融不安の解消が必須だが、当社では、2009年中の解消は難しいと見ている。

2009年5月18日月曜日

5/18(月) 新型インフルエンザ

日経平均 9038.69 ▼226.33
為替(15時) 95.00-05/米ドル
 新型インフルエンザの国内感染拡大問題で18日、兵庫県や大阪府で新たに高校生らの感染が確認され国内の感染者は計130人となり、近畿地方での感染が広がっており、神戸市内では5歳の男児や60歳の男性など高校生以外の感染者も出た。三菱東京UFJ銀行の神戸市の三宮支店でも行員の感染が判明、同行が支店の行員約60人を自宅待機とし、JR西日本の関連会社でも社員の感染を確認、キヨスク売店など8店舗を休業した。
 今後の感染拡大の沈静化とウィルスが毒性を強めないことを祈るばかりだが、予防意識の高い日本ですら感染拡大していることを考慮すると、日本だけでなく世界的な感染者拡大と、営業停止、外出・出張自粛、イベントの中止など景気への悪影響が心配される。例えばインフルエンザ陽性となった妊婦や心臓病など持病を持つ人、ガン患者など、一体どこでどのように医療を受けられるかなどの必要な情報提供ができていない政府・厚労省の対応を考えると、現状を改善させるだけの政策やアナウンスは期待できないと思われるので、このままだと少なからず経済活動にも悪影響が出てしまうだろう。
 
 

2009年5月17日日曜日

5/17(日) 一部景気指標好転の中身は?

 昨年のリーマンショック以降の景気急減速後、最近発表の一部景気指標に下げ止まり感や改善の兆候が現れ、それを受けて株式市場も3/10頃以降堅調に推移している。米国財務長官ガイトナー氏やFRB議長バーナンキ氏が年内にも景気回復の可能性を示唆したが、果たしてその可能性は高いのだろうか?
 例えば、大手電機メーカーの業績予想では不振が長期化するおそれが出てきている。大手8社による2010年3月期(今期)は、景気回復や国内外での政策支援など外部環境好転の期待に加え、コスト削減を通じて年度後半に業績回復させるシナリオを示した。各社の赤字幅縮小は、コスト削減と下期以降の事業環境の改善を見込むことが主要因で、例えばNECは前期比で2700億円の固定費削減を実施する計画で、矢野薫社長は会見で「十分に達成可能」と強調。最近の一部景気指標の改善は在庫調整や人件費等のコスト削減が主な要因と考えられ、需要が回復したわけではない。一方、受注や業績回復時期の想定は下期に集中している。100年に一度の危機かどうかはわからないが、内需が落ち込み、雇用が切られ、倒産が増加し、さらに企業業績が悪化するという負のスパイラルを年後半には断ち切れると考えるのは楽観的な見方ではないだろうか。

2009年5月16日土曜日

5/16(土) 実体経済の悪化と回復

NYダウ 8268.64 ▼62.68
為替(15日NY終値) 95.15-25/米ドル
 内閣府が20日発表する2009年1―3月期の実質国内総生産(GDP)が戦後最大の下落率になるとの観測が広がっているようだ。民間調査機関27社による予測平均は前期比年率で16.0%減。予測通りになれば、第1次石油危機時の1974年1―3月期の13.1%減を超え、35年ぶりに「戦後最悪」を更新する。ただ4―6月期は生産の持ち直しなどでプラスに転じるとの見方も出ているようだ。
 戦後最悪の16%減として、昨年のリーマンショック後の景気急減速が数字に現れるわけだが、最近の株式が堅調であるように、景気急減速がさすがに一服感が出て各種景気指標に一部に横ばいもしくは若干のプラスが出始めている。4-6月中は景気指標が当初予想より悪くはないものもあるだろうが、実際に景気回復局面に入るかというと時期尚早だと思われる。内需が落ち込み、雇用が切られ、倒産が増加し、さらに企業業績が悪化するという悪循環はそう簡単には断ち切ることはできないのではないだろうか。一例を挙げると、夏のボーナスも平均支給額で15%減の見込みの状況で、個人消費の回復を期待するのは極めて難しいだろう。
 

2009年5月15日金曜日

5/15(金) 米国実体経済の悪化

日経平均 9265.02 △171.29
為替(15時) 95.89-94/米ドル
 クライスラーは系列ディーラーの25%の削減を公表、ゼネラル・モーターズ(GM)も2010年までに4割を減らす予定で、両社の経営危機や新車市場の縮小に伴いディーラー網の統廃合は避けられなが、日本メーカーの米販売政策にも影響を与えそうだ。
 米AP通信によると、クライスラーは14日にも、全米に3200社あるディーラーのうち800社の経営者に、ディーラー契約の打ち切りなど閉鎖を通告するとのことで。3200社の50%がクライスラー車の9割を販売しており、不採算店を中心に閉鎖する。GMは6200社のディーラーを3600社に減らす計画を立てている。当然、削減されたディーラーの雇用が維持される可能性は低く、今後の失業率の悪化や個人消費などの実体経済の悪化は避けれれない。内需が落ち込み、雇用が切られ、倒産が増加し、さらに企業業績が悪化するという悪循環が断ち切られたわけではないこと認識してすべきだ。最近の株式市場は、2009年中に景気回復すのではとの楽観的すぎる見方まで台頭し、堅調地合いが続いているが、今後は冷静な投資判断が求められよう。

2009年5月14日木曜日

5/14(木) センチメントが転換?

日経平均 9093.73 ▼246.76
為替(15時) 95.50-55/米ドル
 最近の市場参加者の中心は1-2か月程度の短期的な方向性にベットする投資家だと以前より指摘していたが、3/11の日経平均7062円からの上昇相場は、空売りの残高が相当溜まっていた反動もあり、買戻しを中心に約2か月堅調相場が続いていたが、センチメント(投資心理)が転換したのではないかと見ている。理由としては、①空売りの買戻しも大方一巡したと推測されること②リーマンショック後の景気急減速が一服し、一部指標に下げ止まり感がでてきたことをマーケットは織り込んだ③CTA(商品投資顧問業者)やヘッジファンドの投資戦略の一つであるマネージド・フューチャーズ(先物市場でマーケットの方向性のトレンドにベットする)が株式ロング(買い)からショート(売り)に転換した可能性が高い、が挙げられる。株式は一般的に6か月程度景気を先読みしていると言われており、今後日経平均が現状の9000円から10000円の大台を回復するには、2009年末までに景気回復が始まると確認できることが必要であろう。当社では、米金融不安が未だ燻り続けていること、GDP(国内総生産)の55%を占める個人消費の回復が、ボーナスカットや雇用不安から難しいと想定しており、現状では慎重な投資スタンスを推奨している。

2009年5月13日水曜日

5/13(水) 米ドルへの信認

日経平均 9340.49 △41.88
為替(15時) 96.45-50/米ドル
 英BBC放送は12日、民主党「次の内閣」の財務相を務める中川正春衆議院議員が、「民主党が政権を握ったら、ドル建ての米国債は購入しない」と発言したと報じ、為替市場でドルが対円で売られる要因となった。次期総選挙後に政権を担う可能性がある民主党の幹部が、ドルの安全性に懸念を表明したことで、ドルに対する不安が強まったとみられる。オバマ大統領が提出した予算教書では、2009会計年度(08年10月―09年9月)の財政赤字を1兆8410億ドル(約180兆円)と予測、赤字幅は2月に提出した予算の基本方針での予測に比べ、890億ドル拡大した。米財政赤字は国内総生産(GDP)比で戦後最悪の12.9%まで悪化している。今後もGM問題、ストレステスト後の金融不安に対する公的資金の投入の可能性、追加の景気刺激策など、さらなる財政赤字の拡大の可能性が高まる中、中川氏の米ドルへの信認低下への発言は、妥当な意見であろう。市場関係者の中では、米ドルに変わる基軸通貨が見当たらないので多少の信認低下があっても基軸通貨の地位は維持するだろうとの見方が多いようだが、2008年からの不況は100年に一度の危機であるかもしれないことを留意しておくべきだ。

2009年5月12日火曜日

5/12(火) 米財政収支

日経平均 9298.61 ▼153.37
為替(15時) 97.25-30/米ドル
 オバマ米大統領は、政権発足後初の予算教書の詳細を議会に提出し、2009会計年度(08年10月―09年9月)の財政赤字を1兆8410億ドル(約180兆円)と予測。赤字幅は2月に提出した予算の基本方針での予測に比べ、890億ドル拡大した。米財政赤字は国内総生産(GDP)比で戦後最悪の12.9%まで悪化する。2010会計年度(09年10月―10年9月)の財政赤字も1兆2580億ドルと、2月の予測から870億ドル拡大。GDP比では8.5%となる。前提とした経済見通しは2月と変わらずで、09年暦年の実質経済成長率は▼1.2%、10年は△3.2%、11年は△4.0%への回復を見込んでいる。
 国際通貨基金(IMF)が4/22日発表した世界経済見通しで米国の成長率は今年が▼2.8%、来年がゼロの見通しだ。また、経済協力開発機構(OECD)は、2009年を▼4.0%と予想している。米政府の予想はかなり楽観的過ぎるのではないだろうか。また、楽観的に見通しにもかかわらず財政赤字幅が悪化しており、米ドルへの信認低下が今後懸念される。

2009年5月11日月曜日

5/11(月) 夏のボーナス

日経平均 9451.98 △19.15
為替(15時)  98.40-45/米ドル
 日本経済新聞社が10日まとめた2009年夏のボーナス調査の中間集計によると、平均支給額は前年に比べ15.2%減となった。伸び率が比較できる1977年以来、初めて2ケタのマイナス。製造業は全業種で前年割れとなり、自動車や機械など輸出型産業では減額率が軒並み2割を超えた。サラリーマンの所得が大幅に減ることで、国内消費の下押し圧力となる可能性もある。前年と比べたマイナス幅は、アジア通貨危機後の不況が深刻だった99年の5.9%を大幅に上回り過去最大となった。支給額は加重平均で71万7051円(38.1歳)となり、前年を約12万9000円下回る。
 定額給付金の支給が開始され、給付対象者1人につき12,000円(ただし、基準日において65歳以上の者及び18歳以下の者については20,000円)で、仮に18歳以下の子が二人いる4人家族で総額64,000円の支給で、ボーナスの減額分の約半分相当となる。特に日本の主要産業の製造業ではボーナスだけでなく給与も大幅に引き下げられるケースも多く、GDP(国内総生産)の55%を占める個人消費が定額給付金をきっかけに回復することはまずなさそうだ。

2009年5月10日日曜日

5/10(日) ストレステストと銀行融資残高

 米政府と米連邦準備理事会(FRB)は、大手金融機関19社の健全性を審査する資産査定(ストレステスト)の結果を公表した。景気が一段と悪化した場合の潜在的な損失が来年末までで計6000億ドル弱(約60兆円)になると予測している。バンク・オブ・アメリカ(BOA)、シティグループなど10社について計746億ドル(約7兆4000億円)の資本不足の恐れがあると査定し、結果を受けて米金融機関は増資などの健全化策に着手した。バーナンキFRB議長は7日の記者会見で「査定結果は投資家と一般市民にかなりの安心感を与える」と指摘した。ガイトナー財務長官も「金融システムの透明性」が高まることで貸し渋りなどの信用収縮の解消につながるとの見方を強調した。
 金融当局は銀行への信頼を醸成しようと躍起になっているように思えてしかたがない、と先日も書いたが、例えばBOAの場合、公表されている全ローン残高が約1.4兆ドル(約140兆円)で、現在の景気悪化と今後の動向次第で、仮に全融資残高の10%が損失となった場合、1400億ドル(約14兆円)となる。さらに保有している各種証券化商品やデリバティブ等の損失処理を行った場合に、果たしてストレステストの結果のような損失予想や増資計画で足りるのだろうか。最近の株式市場はやや楽観的過ぎる反応のように思える。

2009年5月9日土曜日

5/9(土) 米金融当局の意図

NYダウ(8日終値) 8574.65 △164.80
為替(NY8日終値) 98.40-50/米ドル
 NY株式市場は前日公表された金融機関の財務健全性を審査する資産査定(ストレステスト)の結果が安心感につな金融株が上げた。資産査定では19社のうち10社が資本不足に陥る可能性があると指摘され、不足額の合計は746億ドル。バンク・オブ・アメリカは339億ドルの資本増強が必要とされた。事前に伝わっていた内容と一致する部分も多く、米金融健全化に向け前進したとの見方が聞かれた。
 ところで、米当局が厳しさを誇示する今回の検査だが、公表された増資必要額は、国際通貨基金(IMF)が4月にまとめた国際金融安定性報告で「金融機関の健全性を危機以前の水準に戻すために必要」とした約2750億ドルに遠く及ばない。ストレステストにおける経済シナリオも、今年の成長率を▼3.3%、平均失業率は今年が8.9%、来年が10.3%だが、既に4月の雇用統計で失業率は8.9%になっている。また、貸し倒れに対する損失の割合は9.1%を見込んでいるようだが、果たして住宅ローンや消費者ローン債権が貸し倒れになった場合に9.1%の損失で済むのだろうか?金融当局は銀行への信頼を醸成しようと躍起になっているように思えてしかたがない。

2009年5月8日金曜日

5/8(金) トヨタ

日経平均 9432.83 △47.13
為替(15時) 99.27-32/米ドル
 トヨタ自動車は2010年3月期の連結業績(米国会計基準)は8500億円の営業赤字になる見通しと発表した。販売の落ち込みと円高をコスト削減で補い切れず、初の連結営業赤字となった09年3月期からさらに損失が拡大する。ちなみに会社四季報春号(東洋経済新報社)の予想では7000億円の営業赤字の予想であった。渡辺捷昭社長は「中国やインドなど一部地域では回復がみられるが、欧米を中心に景気回復にはしばらく時間がかかる。足元の市場環境が当面続くと覚悟しなくてはならない」と述べた。
 最近のマーケットは2009年後半に世界景気は回復を始めるとの見方が強まり世界の株式市場は堅調に推移しており、日経平均でも年初来高値更新中だ。トヨタの2010年3月期の予想が慎重なのは、自動車業界全般の不振と、世界経済の不振と両方の要因であろうが、2010年度決算で底打ち・回復と見るのは早計で、最近のマーケットはやや景気回復をに対し楽観的過ぎるように感じられる。雇用悪化、企業倒産増加、個人消費の低迷の悪循環が短期間で断ち切るのは難しいと考えるのが自然だと思われる。

2009年5月7日木曜日

5/7(木) 米ストレステスト

日経平均 9385.70 △408.33
為替(15時) 98.55-60/米ドル
 米財務省や米連邦準備制度理事会(FRB)など米金融当局は6日、米大手金融機関19社の資産査定(ストレステスト9の検査結果を7日に公表すると発表した。景気がより悪化した場合、各金融機関が必要とする資本増強の規模などについて明らかにする。米メディアによると、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が約350億ドル(約3兆4650億円)の自己資本不足を指摘されたほか、10社程度が資本増強の必要性があるという。シティグループが50億ドル程度、ウェルズ・ファーゴが150億ドル程度、米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の金融関連会社GMACは、115億ドルの資本増強が求められたもようだ。このうちバンカメは、米政府が持つ優先株を普通株に転換して自己資本を増強し、不良資産の処理を進める方向で、マーケットでは最悪のケースでも優先株を普通株への転換で資本増強が可能で、資本不足に陥る心配が無くなったとの見方から、バンカメ、シティなど金融株が大幅上昇している。しかしながら、ストレステストの詳細を吟味した上で、現在までの景気悪化や今後の景気低迷時に金融機関の体力が本当に耐えうるものなのか慎重に判断を下しても投資判断は遅くないのではないだろうか。
 

2009年5月6日水曜日

5/6(祝) バンカメ

NYダウ(5日終値) 8410.65 ▼16.09
為替(5日NY終値) 98.75-85/米ドル
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙が5日明らかにしたところによると、米バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は政府のストレステスト(健全性審査)で340億ドルの資本増強が必要と判定されたもようで、これまでに報道された額を大きく上回っており、ストレステストの結果で主要各行が民間からの資本調達で賄うことで対応できるのではないかとの期待感から最近は株価が堅調であったが、バンカメのニュースを受けて米株価指数先物は下げ幅を拡大、円が幅広く上昇している。
 マーケットでは、リーマンショック以降の景気急減速を織り込み、金融不安もサブプライムローン関連の証券化商品での損失への引当ても、相当部分が解決への道筋が見えてきているだろうが、今後は実体経済悪化による消費者ローンや商業不動産ローンの焦げ付きが懸念される。当面は3月上旬までの下落局面で貯まった空売りの買戻しはまだ続く可能性が高いと思うが、マーケットが実体経済の悪化による不良資産の増加が懸念し始める局面が5月下旬あたりから始まるのではないかと見ている。

2009年5月5日火曜日

5/5(祝) UBS

NYダウ(4日終値) 8426.74 △214.33
為替(NY4日終値) 98.70-80/米ドル
 スイスの銀行大手UBSは、第1・四半期の純損失が20億スイスフラン(17.6億ドル)になったと確認した。顧客の資金流出が継続するなか、評価損の計上が重しとなった。また、目先の業績に対して慎重な見方を維持していることを明らかにした。UBSによると、第1・四半期は中核事業である富裕層の資産運用事業とスイス国内の銀行事業で、ネットで234億スイスフランが流出。世界の資産運用事業においてもネットで77億スイスフランが新たに流出した。また、UBSは投資銀行部門によるリスクの高い米国の金融商品への投資により、500億ドル超の評価損の計上した。
 先日も、EU(欧州連合)では、ユーロ圏(16ヵ国)などの経済見通しを発表し、金融危機、貿易の縮小、住宅市場の冷え込みを理由に、ユーロ圏の2009年の実質域内総生産(GDP)成長率予測を1月の前年比▼1.9%から2.1%引き下げ、▼4%としたばかりだ。米金融機関のストレステストの結果や、景気指標は世界経済の回復に重要であることは言うまでもないが、欧州の金融機関の不良資産の処理は米国に比べ遅れていると思われるので、今後はより一層欧州経済を注視しておく必要があるだろう。

2009年5月4日月曜日

5/4(祝) 偽りの夜明け

 日銀の白川総裁は4/23に「日本経済は1990年代の低成長においても、何度か一時的な回復局面を経験したが、このことは経済がついに牽引力を取り戻したと人々に早合点させる働きをしたように思う」と指摘。その上で「これは『偽りの夜明け』とも言うべきものだったが、人間の常として、物事がいくぶん改善すると楽観的な見方になりがちだ」と述べ、一時的な回復を本当の回復と見誤ることに警鐘を鳴らした。麻生総理も総理就任当初、今回の不況は全治3年という話をされていたが、確かに3年で、1929年の米国も、1989年の日本も、 2000年のITバブルも、株価の底入れに3年近く掛っていた。今回の米国株のピークは2007年10月ですから、3年先だと2010年後半以降となる。ちなみに、EU(欧州連合)では4日、ユーロ圏(16ヵ国)などの経済見通しを発表し、金融危機、貿易の縮小、住宅市場の冷え込みを理由に、ユーロ圏の2009年の実質域内総生産(GDP)成長率予測を1月の前年比▼1.9%から2.1%引き下げ、▼4%とした。最近の株式市場での投資心理が好転していることは好ましいことだが、やや楽観的になり過ぎているように感じられる。GW明けは冷静に利食い売りや戻り売りを実践することが賢明ではないだろうか。

2009年5月3日日曜日

5/3(祝) 豚インフルエンザ

 世界保健機関(WHO)の当局者は2日、新型インフルエンザの警戒水準を「6」に引き上げる可能性があることを明らかにした。 WHOのマイケル・ライアン氏は2日のジュネーブでの記者会見で、「現段階でわれわれはフェーズ6に達することを予想する必要がある。そうならないよう期待しなければならない」と語った。また、与謝野財務・金融・経済財政担当相は3日、新型インフルエンザが新たな世界的な脅威になる恐れがあるとの認識を明らかにした。
 マスコミ報道でも連日、豚インフルエンザ問題がトップニュースとなり、各国で確実にウィルスが拡大している。メキシコでの経済活動への影響として、首都メキシコシティではレストラン、映画館など人が集まる場所は事実上閉鎖となっており、同市の経済活動のおよそ4分の1が完全に停止していると言われている。今後もメキシコにある組立工場などが操業休止の影響が出てくる見通しで、一部エコノミスト予想で、現在の状況が2-4週間続いた場合で、GDP(国内総生産)で0.5%-1.0%程度マイナス要因と分析されている。いち早くインフルエンザが終息に向かって欲しいと願っているが、株式投資の観点では、今後の世界的な経済活動への影響の広がりも想定し、冷静な対応が必要であろう。

2009年5月2日土曜日

5/2(土) 米新車販売、急速な減少にも一服感

NYダウ(1日終値) 82412.41 △44.29
為替(NY1日終値) 99.05-15/米ドル
 1日まとまった4月の米新車販売台数は前年同月比34.4%減の81万9540台だった。前年実績割れは18カ月連続で、4月30日に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した米クライスラーはほぼ半減した。季節調整後の販売動向を示す年率換算の販売台数は932万台と3月に比べ減少したが、急ピッチだった減少率はやや縮小しているが、底ばい状態が続いている。
 株式市場は実体経済をおよそ6ヶ月程度先取りしていると言われているが、昨年のリーマンショックから今年3月上旬までの急激な下げ局面は、実体経済が昨年第4四半期から今年の第2四半期くらいまでは厳しい環境が続くと見ていたのだろう。その間、各国が財政製出動を伴う景気対策と、さすがに消費節約疲れの反動で消費も少し底打ち感が出ているのだろう。株式相場もこの一服感が出ている間は下押しはないかもしれない。今後の焦点は年内に景気回復が始まるかどうかであろう。エコノミスト等の市場関係者の中には年内景気回復論が最近活発化しているが、雇用悪化の影響から再度個人消費が落ち込む可能性が高いと思われ、当社では年内景気回復は難しいと予想している。

2009年5月1日金曜日

5/1(金) 雇用悪化

日経平均 8977.37 △149.11
為替(15時) 98.84-89/米ドル
 総務省が1日発表した3月の完全失業率(季節調整済み)は前月から0.4ポイント上昇して4.8%と、2004年8月以来の高水準となった。また、厚生労働省が発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は0.52倍と前月を0.07ポイント下回り、02年4月と並ぶ低水準となり、主要エコノミスト予想の中央値よりも悪い数字となった。業績不振企業が非正規社員だけでなく、正規社員の雇用調整にまで踏み込むようになり、雇用の悪化スピードが加速している。
 一部の景気指標に下げ止まり感や底打ち感が出始め、株価はそれを先取りし最近は堅調相場が続いている。本日発表の雇用の数字は景気の遅行指標と言われているが、雇用の冷え込みが当面続く公算が高く、日本のGDP(国内総生産)の約6割を占める個人消費がさらに冷え込む可能性が高いとみるべきだろう。内需が落ち込み、雇用が切られ、倒産が増加し、さらに企業業績が悪化するという悪循環が断ち切られたわけではないこと認識して株式相場を注視していくべきであろう。