2009年1月31日土曜日

1/31(土) デカップリング論②インド

NYダウ 8000.86 ▼148.15
為替(NY30日終値) 89.85-95/米ドル
 2008年のインド株式市場は、代表的指数のSENSEX30で年間騰落率が‐52%と大幅に調整し、為替も円/ルピーで約34%も円高・ルピー安であった。また、2008年11月26日のムンバイでの同時テロ、今年に入ってインド4位のIT大手サティアム社による粉飾決算と、インド経済の信頼を揺るがす出来事も重なり、世界同時不況下では、インド株式に投資を行うのは勇気がかなり必要である。
 しかしながら、インド経済にはこの環境下でもいくつかの明るさがある。GDPに対する輸出の比率が約15%で、中国(30%強)をはじめ、他のアジア諸国と比較しても低いこと、人口動態が若く(インドの平均年齢は約26歳)今後も安定した内需が期待できること、海外から投資の規制が緩和されたこと。(企業の海外からの借入れ規制の緩和、外国機関投資家による社債投資の上限引き上げ等)ダボス会議でインド商工相のカマル・ナート氏はインド国内需要が安定しているので2009年も7%-7.5%の見通しとの見解を明らかにした。日本国内の世論は、国内外の経済に対し総悲観論一色だが、ポテンシャルのある市場も存在することも留意しておくべきであろう。

2009年1月30日金曜日

1/30(金) デカップリング論①中国

日経平均 7,994.05  ▼257.19
為替(17時) 89.45-48円/米ドル
 2007年8月に仏BNPパリバがサブプライムローンの問題により、同社のファンドの価格算出、募集、解約・返金業務を停止したことにより、金融不安の第一波が襲いかかった。この時期あたりから、米国を中心とした先進国が景気後退期に入ったとしても、BRICsを中心とした新興国経済が世界経済を牽引するという「デカップリング論」が展開されるようになった。
 現時点での結果論で言うならば、デカップリング論は終焉を向かえている。例えば中国は、GDP(国内総生産)の成長率を2003年以降毎年10%を超えていたが、2008年は9.0%と減速し、さらにIMF(国際通貨基金)の2009年の見通しは6.7%である。しかしながら、今回のダボス会議にて温家宝首相は、政府目標の8.0%成長は「困難だが可能だ」と述べている。現に4兆元(約57.5兆円)の内需拡大の経済対策の実施と、その裏付けとなる金融緩和を行い、中国人民銀行(中央銀行)が各銀行に融資拡大を求め、2008年12月の融資伸び率はこの4年間で最高であった。今後の中国経済の変化には注目すべきであるし、大国中国の内需拡大が世界同時不況を食い止めるきっかけになるかもしれない。

2009年1月29日木曜日

1/29(木) 新興3市場

日経平均 8,251.24  △144.95
為替(17時) 90.22-25円/米ドル
 新興3市場(ジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレス)のリーマンショック後の株価指数の値動きはジャスダック、ヘラクレスがほぼ横ばい、マザーズは上昇傾向にあり、特に個別銘柄ごとに見てみると10月28日安値から2倍程度まで上昇している銘柄も複数ある。
 新興3市場は1999年のマザーズ開設以降、ライブドア問題に代表されるように、上場基準やコーポレートガバナンスに対する審査・監査の甘さが指摘されており、例えば当時はほぼノーチェックに近い状況で上場を認めたり、など、現在の世界同時不況の影響もあり、ピーク時の株価が90%以上下落している銘柄も珍しくはない状況だ。しかしながら、新興3市場の中にはこの厳しい環境下でも、独自の技術や経営戦略で他社を差別化し業績を伸ばしている企業もあり、危機をチャンスに変えるところも出てくることは間違えないだろう。たとえばすし成形機(すしロボット)でシェア50%以上を握り、折からの日本食ブームに乗り、海外展開を強化している企業など、非常にユニークで成長性が期待できる企業を、この株式市場の混乱期に仕込んでおくことは、おそらく将来的には良い投資にあるであろう。

2009年1月28日水曜日

1/28(水) 金融不安も小休止?

日経平均 8,106.29  △45.22
為替(17時) 89.16-19円/米ドル
 1/19英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の2008年決算が予想より大幅悪化の発表などの悪材料もあり、NY、東京など主要株式市場は年初よりやや軟調な展開が続いていた。しかしながら、ここ最近は下値を固めつつあるようだ。昨年3月以降の状況に似ているように感じるのだが、当時は米証券大手のベア・スターンズの実質経営破たんにより、世界の株式市場は下落したあと、米国の緊急利下げや流動性供給、戻し減税などにより、金融不安は燻り続けていたが材料視される機会は少なくなり、ベア社処理以降7月まで株式市場は堅調に推移していた。
 今回も金融危機をきっかけとした、世界同時不況はまだ底入れはしていないと思われるが、金融危機に関しては、オバマ政権発足後ガイトナー財務長官を中心に、不良資産対策として「バットバンク構想」など様々な対策を講じ、迅速に対応してくるであろう。また2/16までに成立予定の景気対策法案、4月の金融サミットなども予定されており、今後センチメント(投資家心理)が落ち着きを取り戻してくると、短期的には買戻しからの反発の可能性を考慮しておく必要がある。

2009年1月27日火曜日

1/27(火) 政府系ファンド

日経平均 8,061.07  △378.93
為替(17時) 90.03-06円/米ドル
 激動の2008年の金融マーケットにより、2007年まで好調だった政府系ファンドは、痛手を被っている。米シンクタンクの外交問題評議会はUAE(アラブ首長国連邦)のアブダビ投資庁(ADIA)は1250億ドル(約11兆2500億円)に相当する損失を出したと試算している。 ADIAの資産規模はおおよそ9000億ドル(約81兆円)で総資産に対する損益は約▼14%と厳しい状況である。
 しかしながら、ADIAは設立の1976年以来、投資収益率は未公表ながら、過去年平均で10%を超える投資収益を上げていたと言われている。2008年前半までは欧米金融機関の増資引受の主役だったが、ここ1年近く、政府系ファンドの動向は極めて静かな状況だ。昨年の厳しい結果があったとしても、その資産規模は莫大であり、今後の投資環境に改善の兆しが少しでも見えてくれば、今後のマーケットの牽引役となる可能性は高い。そのきっかけの一つはやはり米国・オバマ大統領による経済対策であろう。まずは2/16までの景気対策法案の成立、4月の金融サミットなど、世界景気改善に向けた動きもでてきているので、政府系ファンドも黙ってはいないのではないか。

2009年1月26日月曜日

1/26(月) 大方の予想通りには動かないマーケット

日経平均 7,682.14  ▼ 63.11
為替(17時) 88.65-68円/米ドル
 最近の経済ニュースは、2009年マイナス成長、企業業績下方修正、製造業の大幅減産、人員削減など、ネガティブなニュースばかりで、今日の日経平均株価もザラ場で一時7000円割れした10/28以来の水準まで下落し取引を終えた。
 日経新聞等の媒体に市場関係者の見通しが掲載されているのを見てみると、2009年の東京株式市場の見通しでは、見通しには幅があるものの、大方は年前半までは6000円割れから8000円前後で推移し、後半は各国の景気刺激策の効果から回復(9000円~12000円)という予想が多い。確かに足元で発表される経済統計、企業業績を見る限りでは年前半は厳しいと判断するのが妥当だろう。
 しかしながら、正確に統計を取ったわけではないが、マーケットは不思議なことに大方の予想どおりには動かないことが多い。最近の気になる兆候として、例えば信用取引の買い残は2003年(2003年の日経平均安値で7607円)以来の低水準であり 、また、買い残と同水準まで売り残は増えてきている状況を考えると、何かのきっかけでマーケットは年前半に予想外に上昇する局面があるかもしれない。

2009年1月25日日曜日

1/25(日) 米・欧10年国債利回り上昇

 日米欧の主要国はリーマンショック以降、世界同時不況を少しでも食いとめようと、政策金利を引き下げている。そのため短期債(期間2年以下)だけでなく、長期債(期間10年以上)の利回りも昨年末までは金利低下(債券価格は上昇)傾向であった。世界的に株価が低迷しており、安全資産である国債に資金が流れていた。(米国債10年物はリーマンショック直前(9/12)の利回りは3.74%→(12/30)2.10%まで低下)しかしながら、特に米国、英国では景気刺激策に伴う国債増発懸念から年明けから金利が上昇傾向である。一時的な変動にすぎないかもしれないが、国債増発されることは各国とも回避できないので、トレンドが変わったと見るべきであろう。
 2008年の信用収縮により、金融マーケットは大混乱の1年で、現在はその流れが落ち着きつつあるようだ。現に米シティやバンカメ(バンク・オブ・アメリカ)の実質国有化で両社の株価は大きく下落したが、NYダウは大きく落ち込んでいない。今後留意しておかなければならないのは、日米欧ともに利下げを行い、日米は実質ゼロ金利、ユーロ市場の下限と言われる2%まで低下しており、収縮したとはいえマネーは低金利下の安全資産に滞留していることだ。オバマ政権発足後、各国が協調して金融不安対策をさらに講じてくれば、予想外の不景気の株高があり得るかもしれない。

2009年1月24日土曜日

1/24(土) 世界同時不況vs各国の景気対策

NYダウ 8077.56 ▼45.24
為替(NY23日終値) 88.70-80/米ドル
 昨日今日報道された世界の主力企業の決算状況だが、日産14年ぶり赤字転落、サムスン初の四半期赤字(10-12月期)、グーグルも上場後初の四半期赤字(10-12月期)と確実に世界同時不況が進行している。リーマンショック後、株価下落、企業業績落ち込み、消費者の買い控え、内需落ち込み、雇用削減、倒産急増、業績が落ち込みという悪循環になっている。世界主要国政府もこの悪循環を断ち切ろうと様々な景気対策を次々と打ち出している。英国やドイツでも減税などの対策がすでに実行されており、日本でも、金融機関に限定されていた公的資金投入を一般企業も対象とする方向で調整に入った。日銀もCP(コマーシャルペーパー)の買取、先月の利下げなど、景気悪化をどの程度食い止めることができるかはわからないが、その効果に期待したい。 
 オバマ大統領の景気対策法案は2/16までに成立させる方向である。良くも悪くもGDP世界1位の米国の政策舵取りが世界経済へ大きく影響を及ぼすので、悪循環が進行する世界経済にとって、特にこの1年のオバマ大統領の国内外でのリーダーシップは、今後の世界経済の浮沈を決めるであろう。

2009年1月23日金曜日

1/23(金) マーケットvs政府・FRBのスピード感

日経平均 7,745.25 ▼306.49
為替(17時) 88.34-37円/米ドル
 年末年始はオバマ大統領の政策期待から世界的に株式市場は堅調で日経平均で9000円台、NYダウで9000ドル台まで上昇した。その後世界的に景気後退が今後も続くとの見方から、下落基調を強めている。オバマ大統領就任日にもNYダウは300ドル以上も下落した。気の早いマーケットはオバマ大統領に対し、金融不安の払拭と景気悪化を食い止める具体的な政策を催促しているのだろう。
 昨年のブッシュ前米大統領とポールソン前財務長官は、未曾有の金融不安に対し、例えば金融安定化法案の成立やリーマン・ショック関連など、残念ながら対応が後手後手になってしまったことは否めない。現在の金融マーケットのみならず実体経済の変化のスピードは、過去と比較しても劇的に早くなってきており、危機対応が後手に回ってしまうとさらにその影響から危機が拡大してしまうリスクがある。オバマ米大統領、ガイトナー財務長官は「大胆かつ迅速に」と就任演説で述べているように、今後の政策運営を効果的に進めるためにもスタートダッシュをどのように切るのか期待して注視していきたい。

2009年1月22日木曜日

1/22(木) 市場関係者の見通し

日経平均 8,051.74  △150.10
為替(17時) 89.28-31円/米ドル
 100年に一度の事態といわれている世界経済は、オバマ米新大統領による具体的な景気対策、金融危機対策に期待が高まっている。昨年のリーマンショック以降、世界経済にとって明るい話題は皆無なだけにその期待感は大きい。
 昨年11月以降、NYダウでは8000ドル前後から9000ドル前後、日経平均では8000円前後から9000円前後でのもみ合いは続いている。 市場関係者による2009年の株式市場の見通しの多くは、2009年前半は景況感の悪化で株式市場は下値模索(例えば日経平均で6000円~7000円前後)、年後半は各国の景気刺激策が効いてきて、市場は上昇するのではないか、との見通しが大多数だ。株式市場は6か月から12か月程度の景気の先行指標と言われており、足元の景気後退や業績悪化は相当部分織り込んでいると思われる。大方の見通しとは裏腹に、最近皆無だった世界経済に対する明るい話題=オバマ新大統領による具体的な政策が発表されると、大方の予想とは逆に、株式市場は意外と堅調になるのではないか。

2009年1月21日水曜日

1/21(水) オバマ新大統領と株式市場

日経平均 7,901.64 ▼164.15
為替(17時) 89.86-89円/米ドル
 米国第44代大統領に就任したバラク・オバマ氏の就任演説で「新たな責任の時代」と経済再生や米国の誇りの回復に向け、国民に結束を求めた。100年に一度の危機と叫ばれる中での就任で、首都ワシントンには200万人もの観衆が集まり、その期待の大きさが窺える就任式であった。
 一方、NY株式市場は、金融、自動車を中心に大きく値を下げ、NYダウは332ドル安で8000ドルを割り込んで引けた。改めて世界同時不況そ深刻化や企業業績への懸念が強まっている。オバマ大統領は就任演説で危機解決に向け「大胆で迅速」な行動が必要であると述べた。今日の株式市場の下落は、新大統領に対して例えば経営難の金融機関への追加支援など、具体的な行動を促しているのだろう。おそらく株式市場は2009年内の景気低迷はある程度織り込んでいると思われ、今後、多少の悪材料に対してもあまり反応しないかもしれない。むしろ景気対策が具体的な行動に移されてくると、その期待感から市場は予想以上に堅調に推移していく可能性は十分にあるだろう。

2009年1月20日火曜日

1/20(火) 政府支援策と財政赤字

日経平均 8,065.79  ▼191.06
為替(17時) 90.44-47円/米ドル
 米国発の金融危機をきっかけに世界的景気後退の中で、特に金融機関や自動車メーカーの経営危機を回避すべく、各国政府は次々と公的資金の投入している。急速な景気悪化を防ぎや金融不安を回避するには必要な処置だと思われるが、今後の懸念材料として、各国の財政赤字の大幅増による国債等の格下げである。
 例えば米国の場合、2009年度の赤字は1兆ドル(約90兆円)を市場初めて突破し、過去最悪が予想され、国内総生産(GDP)に占める割合は前年度の3.2%から一気に8.3%まで悪化する。ヨーロッパ諸国、日本も同様にその率は軒並み上昇している。その影響として今後、各国ごとに状況の違いがあるものの、債務格付けの格下げが行われるだろう。現在は景気悪化によるデフレの状況ではあるが、今後どのタイミングになるかはわからないが、財政悪化による格下げが行われた場合に金利が上昇してしまい、インフレに対する警戒をしなければならない時期がくるかもしれない。

2009年1月19日月曜日

1/19(月) 銀行への公的資金投入

日経平均 8,256.85  △26.70
為替(17時) 90.62-65円/米ドル
 日・米・英など、各国で銀行向けの支援策は次々と打ち出されている。米国では、米大手銀シティ、バンカメ(バンク・オブ・アメリカ)への米政府による公的資金投入と、不良資産の損失肩代わり、英国でも、銀行の不良資産の損失肩代わりに総額500億ポンド(約6兆5000億円)の基金を設け、日本でも札幌北洋に対し、新しい金融機能強化法に基づき初めて公的資金が予防的に投入され、今後他の地銀も追随する見込みだ。公的資金投入の対象となった銀行の株価は今のところさえない値動きだが、金融システムの安定化にはつながるのではないか。
 世界同時不況の様相を見せる昨今、株式市場は11月以降、日経平均で約8000円前後から9000円前後でもみ合いが続いている。おそらく景気悪化による企業業績の低迷、金融機関の損失拡大、といった予想範囲内の材料では、株式市場はかなり織り込んでいるよう感じられる。各国が打ち出す銀行への公的資金投入が、今後どの程度実体経済に好影響を与えるかは未知数だが、金融システムの安定化につながっていってもらいたいものである。

2009年1月18日日曜日

1/18(日) 最近の株式市場の値動き

 リーマンショック後、昨年10/28に日経平均は一時7000円を割り込むまで下落し、市場はパニック状態であったが、11月以降は8000円前後から9000円前後のレンジで推移している。東証1部の出来高はSQ(株式先物取引や株価指数オプション取引の最終決済のための価格=清算指数)を除くと、20億株程度で売買代金は2兆円に届かない日がほとんどだ。おそらく2008年1年間で42%も下落で、2009年3月期の大幅減益を織り込み、また、2010年3月期の業績低迷も織り込みつつあるようで、業績悪化という材料では株価の下落幅は限定的になってきている。しかしながら、景気回復という明るい兆しも感じられないため上値も重いのだろう。先行きが不透明なため、市場参加者が少なくなり、売買代金も低水準が続いている。
 信用取引における信用残は2008年1月には金額ベースで買い残が約3兆円で直近で約1兆円まで減少、一方売り残は2008年1月に約1.2兆円から10/10に約0.78兆円まで減少し、その後じりじり残高が増え、直近で1兆円に迫る水準だ。貸借倍率(買い方と売り方の状況を数値で表したもの)は1倍に迫っており、今後の株式市場は景気・企業業績動向がもちろん重要な材料だが、信用取引での需給関係のあやで、市場の大方の見方とは裏腹に買戻しによる一時的上昇もありえるかもしれない。

2009年1月17日土曜日

1/17(土) 米シティ、バンカメ向け政府支援と株式市場

NYダウ 8,281.22 △68.73
為替(NY16日終値) 90.65-75/米ドル
 米シティ、バンカメ(バンク・オブ・アメリカ)の10-12月期決算が赤字決算となり、米政府はバンカメ向けに200億ドル(約1兆8000億円)の資本再注入され、また、バンカメが保有する1180億ドル(約10兆6000億円)の不良資産から今後生じる損失の大半を政府が肩代わりすることとなった。シティも1998年の米保険最大手トラベラーズとの合併以降、推し進めてきた総合金融路線から撤退し、銀行業務に集中し、非中核部門である証券、資産運用、消費者金融等の事業を今後リストラしていく方向だ。
 株式市場の反応は冷静で、シティ、バンカメは業績悪化による株主責任(株価下落)は免れないものの、株式市場全体への影響は限定的であった。おそらく今後何らかの形で米自動車大手3社(ビックスリー)問題も政府主導で処理されるであろうが、今回のシティ、バンカメと同様に、株式市場全体に与える影響は限定的になるのではないだろうか。企業の業績悪化の材料はかなり市場に織り込まれていているので、リーマンショック直後のような下値不安は少ないものの、世界景気の改善の兆しも見えない状況では、様子見するのがベストな選択だろう。

2009年1月16日金曜日

1/16(金) 主力企業の業績見通し

日経平均 8,230.15  △206.84
為替(17時) 90.32-35円/米ドル
 トヨタ、ソニー、東芝、日立は世界同時不況と円高の影響で2009年3月期営業赤字に転落、三菱UFJは10-12月期に保有株式の減損処理2880億円で4-12月は最終赤字、との発表や見通しが年末から昨日にかけてあった。しかしながら、最近の株価の値動きは発表を機に大きく売られることはなく、むしろ懸念材料が明らかになり、買戻しが入り、値崩れは起こしていない。
 日本の株式マーケットは2009年3月期の赤字転落を含め下方修正を織り込み、2010年3月期を見に行っているのだろう。100年に一度の事態と言われる状況なので、特にリーマンショック以降、PER(株価収益率)PBR(株価純資産倍率)配当利回りなどの投資尺度を無視して下落していたが、最近は落ち着いた展開が続いており、マーケットは冷静になってきている。今後は個別企業ごとの2010年3月期の業績見通し、各種投資尺度、景気対策によるテーマに乗った銘柄(太陽エネルギー関連など)など、個別銘柄ごとの分析による投資先の選定が、今後の投資成果に大きな差を生むことになるだろう。

2009年1月15日木曜日

1/15(木) 配当利回り

日経平均 8,023.31  ▼415.14
為替(17時) 89.08-11円/米ドル
 米国の12月の小売売上高が予想を上回る落ち込みと、銀行大手シティの業績不安から、NY株式市場の(1/14)大幅下落を受け、東京株式市場も大幅安となった。オバマ米次期大統領によるグリーンディール政策などの政策期待から年初は世界の株式市場は堅調であったが、12月の実体経済の落ち込みが明らかなり、株式市場は先週半ばから下落局面が続いている。当面上値は重そうだ。
 ところで、重要な投資尺度の一つとして、配当利回りがある。東証1部全銘柄の予想利回りは2.74%で、10年債利回りの1.26%(1/14)の2倍以上の高利回りであり、魅力的であるはずだ。しかしながら、リーマンショック後、急速の世界経済が冷え込んでいるなか、トヨタ、ソニーなど、2009年3月期決算は営業赤字に転落する見込みで、企業業績も落ち込んでいる。そんな中、社会問題にもなっている大手企業による派遣切りや、内部留保を取り崩して雇用を守るべきだ、との意見など、大手企業の内部留保金に対する監視は厳しい。おそらく業績悪化と雇用問題から、来期以降に大幅な減配企業が増えてくることを留意して投資判断を行うべきであろう。

2009年1月14日水曜日

1/14(水) 個人消費と定額給付金

日経平均 8,438.45  △24.54
為替(17時) 89.76-79円/米ドル
 定額給付金をめぐり、国会では与野党の攻防が続いている。そもそもこの定額給付金の目的は、個人消費を後押しする景気刺激策なのか、昨今の急激な景気悪化に伴う家計の厳しさを支える生活支援なのか、目的がぶれているようだ。先日の麻生首相の「所得の高い人、消費できる余裕のある人は盛大に使ってもらうのがよい」と発言しており、また、実質GDP(実質国内総生産)の0.2%押し上げ効果があると試算しているからには、景気刺激策なのだろう。
 政治は国民の信頼の上に成り立つわけだが、残念ながら国民は年金問題、後期高齢者医療問題、公務員改革など、内閣支持率が端的に表しているが、国民の政治への不信感は高まっている。そんな中、定額給付金を盛大に使ってもらいたい、と首相から期待されて、果たして国民はそのまま盛大に使うのだろうか。株式投資の観点からは、残念ではあるが、景気対策一つ決めるのに、これだけの混迷を招く日本の政治に対する不信感と不安感から、当面、投資は慎重にならざるを得ない。しかしながらこの政治混迷も将来的な政界再編による戦後レジームからの脱却につながればと期待はしている。

2009年1月13日火曜日

1/13(火) 景気対策

日経平均 8,413.91  ▼422.89
為替(17時) 89.20-23円/米ドル
 世界同時不況と囁かれる昨今、各国は様々な景気対策を打ち出している。日本では本日2兆円の定額給付金を柱とする追加経済対策が衆院を通過、米国では金融安定化法案に基づく7000億ドル(約62兆円)の公的資金枠や、オバマ新大統領による2009-10年で総額7700億ドル(約68兆円)規模の景気対策が予定されている。内容な省略するが、英国やドイツなどでも景気刺激策が実行されている。果たしてその効果と、金融市場、特に株式市場への影響をどう見るべきであろうか。
 現在の世界経済は、株価下落、企業業績落ち込み、消費者の買い控え、内需落ち込み、雇用削減、倒産急増、業績が落ち込みという悪循環に残念ながらなっており、各国の景気対策は、景気悪化のスピードを緩衝する程度と見るべきであろう。例えば、米国の7700億ドルの公的資金枠は早くも使い切る見込みで、オバマ新大統領の景気対策により2010年末をめどに400万人の雇用創出との見込みだが、反面、2008年だけでも約260万人減少している。景気悪化のスピードと各国の景気対策を比べても、現時点では株式への投資は様子見をせざるを得ない。

2009年1月12日月曜日

1/12(祝) 分散投資と集中投資②

 そもそも分散投資をする一番の目的は何だろうか?一つの答えとして、資産家が資産を目減りさせないことではないだろうか。例えば金融資産1億円保有している人が、1つの銀行の定期預金に預けていて、もしその銀行が経営破たんした場合、預金保険機構により元本1000万円ととその利息しか保護されない。だから銀行を分散する。もし仮に高いインフレが起こった場合、金融資産を実質的な目減りさせないために、株式等を保有しておく、日本円が将来的に円安になるリスクを回避するために外貨資産を保有しておく、など、資産を分散することで、今後起こりうるリスクに対応することが可能となる。
 投資入門講座などでは、分散投資することが投資の基本と説いている。その通りだと思う。特に投資初心者は、国内外の株、債券に分散したバランス型ファンドを少額から始めるのが良いだろう。しかし、もし仮に平均的な期待収益率以上の高リターンを追及し、資産を大きく増やしたいと考えるならば、特定の株式など、株価上昇に確信を持てる先に、思い切ってリスクを取って集中投資すべきであろう。(例えば資産の50%程度まで、日々の生活に困らない範囲で。リスクの語源はイタリア語でrasicare「勇気を持って試みる」という意味)分散投資では市場平均を上回るリターンを実現するのはなかなか難しいものである。

2009年1月11日日曜日

1/11(日) 分散投資と集中投資①

 貯蓄から投資の時代へ、と謳われはじめ特に日曜日の新聞では、資産運用の記事をよく見かけるようになった。大方の記事は、国内外の株式、債券に分散し、中長期的な観点で目先の価格に一喜一憂せずに投資しましょう、といった感じだ。果たしていわゆる教科書どおりの分散投資で資産を増やすことは可能だろうか?
 ポイントになるのは、資産を増やす目標をどの程度に定めるかだ。国内外の株式、債券にリスク分散した投資の場合、当然ではあるが、リスクが分散投資によって抑えられる分、将来の期待収益も抑えられてしまう。おおまかな表現だがインフレ率+数%あれば御の字であろう。日本の平均年収が400万円強だが、その収入で例えば1億円超の金融資産を蓄えるには分散投資を中長期的に行っても難しい。その場合は、ある特定の株式などの投資対象に集中して投資を行い、高いリターンを目指すことが必要だ。もちろん、全資産を集中投資すべきではないが、確信持てる投資先であるならば例えば資産の50%程度まで(日々の生活に困らない範囲で)投資することで、1億円レベルの資産を形成することが可能になるのではないか。資産保有層は、医者、弁護士等の専門職、地主を除くと、企業オーナー(自社株への集中)、新興成長企業への投資による大幅な値上がりというケースがほとんどである。

2009年1月10日土曜日

1/10(土) モラルハザード

NYダウ 8599.18 ▼143.28
為替(NY9日終値) 90.35-45/米ドル
 米国は、金融安定化法という名のもとに、米自動車大手(ビッグスリー)のGM、クライスラーへつなぎ融資を行い、足元の危機は回避したが、今度は住宅ローンの借り手の返済支援のために公的資金を投入する方向で法を見直すという。詳細は現時点では不明だが、そもそも市場原理型資本主義において高い競争力を誇ってきた米国が公的資金によって、特定に企業だけでなく住宅ローンの借り手まで救済する事態は、まさにその高かった競争力を放棄することを意味する。景気悪化を少しでも食いとめようと、次々と公的資金投入しているが、企業経営や家計の規律はどこへ行ってしまうのだろうか?
 私は決して悲観論者ではないが、今の世界経済は、株価が下がり、企業業績が落ち込み、悲観的なった消費者は消費を抑え、内需が落ち込み、雇用が切られ、倒産が急増し、業績が落ち込むという悪循環に陥っており、それを止めるのは難しい。エコノミストなどの識者の大部分は2009年末から2010年前半に景気反転を予想しているようだが、この悪循環に加えて米国のモラルハザード発生を考えると甚だ疑問である。

2009年1月9日金曜日

1/9(金) 定額給付金問題

日経平均 8,836.80  ▼39.62
為替(17時) 91.14-17円/米ドル
 麻生政権は、景気対策として10月から議論されている定額給付金を、できれば年度内に給付したいとの意向のようだ。最近の世界経済はわずか1か月でも環境は激変するので、定額給付金の景気への効果はさておき、スピード感が足りないとしか言いようがない。100年に一度の事態に対する一国のリーダーとして残念ながら危機感が全く感じられない。
 世論調査によると、定額給付金に対し、労せずお金がもらえるにも関わらず、約60%は反対だという。国民の大部分は1回限りでGDP成長率をゼロ・コンマ何%程度の景気浮揚よりも、世界が激変する可能性のある状況で、中長期的な視点でこの国のあり方、ビジョンといった、国民の将来に対して前向きな「気」にさせてくれることを期待しているのだと思う。投資の世界においても、リーマン・ショック以降、株式市場の各種指標・数字的には歴史的割安水準にもかかわらず、なかなか本格上昇しない。今ほど目先の指標や政策よりも、「気」を前向きにさせてくれる将来的ビジョンこそ国民にニーズであり、遠回りのようだが、最善の景気対策であろう。

2009年1月8日木曜日

1/8(木) 倫理資本主義

日経平均 8,876.42  ▼362.82
為替(17時) 91.78-81円/米ドル
 世界経済は「100年に一度の事態」と言われており、米国を中心とした市場原理型資本主義はその役割を終え、新しいパラダイムを模索している。1/20のオバマ米次期大統領の演説は、もちろん、米国発世界景気後退への景気刺激策として、「グリーン・ディール政策」を中心に大規模な政策を打ち出すであろうが、やや大げさに言うと、「次の100年」の新しいパラダイムをどこまで提示してくるかが楽しみでもある。
 日本における最近の話題の多くは「派遣切り」に代表される、正社員と派遣社員もしくは経営と労働者との格差や不平等の問題、米国では極端な利益至上主義による経営者の富の独占への不満と批判、また最近の景気後退による大規模なレイオフ(解雇)だ。おそらく世界経済は、その反省と反動から、利益・富を独占するのではなく、社会全体で共有するために還元していくことにより、世界全体やその国家が豊かになるという倫理と利益をともに実現する、倫理資本主義的な方向に向かっていくのではないかと期待している。

2009年1月7日水曜日

1/7(水) 100年に一度の事態とは?

日経平均 9,239.24  △158.40
為替(17時) 93.45-48円/米ドル
 米国発金融危機を発端に世界は景気後退局面に突入し、「100年に一度の事態」といわれている。では、「100年に一度の事態」とはどういう事態なのだろうか。膨張した金融(信用)バブルの収縮とその影響で実体経済が悪化したことなのか、世界を牽引した米国経済は金融収縮によりその屋台骨である個人消費が大幅に落ち込み、借りて消費する消費文化の崩壊なのか、など明確ではない。しかしながら、今までののような景気循環的な不況であるならば、「100年に一度」とは言わないだろう。金融危機をきっかけに世界的に消費に対する価値観の変化や、米国中心の市場原理主義から新しいパラダイムを模索し、また地球環境問題や失業者、貧困問題を解決するための時期であるから100年に一度なのだろう。このタイミングでの米国新大統領オバマ氏の就任演説は「Change」への史上空前の期待と人気になっている。しかしながら、投資の観点からは、政策発表前から期待感から株価は上昇しているので、かなり政策期待は織り込んでいるようだ。演説で、よほどのサプライズ(マジック?)がない限りは、景気悪化を止め、回復時期を早めることはできないだろう。投資は冷静に対応するのが賢明だ。

2009年1月6日火曜日

1/6(火) ヘッジファンドの解約請求

日経平均 9,080.84  △37.72
為替(17時) 93.56-59円/米ドル
 日経平均株価は1年半ぶりの6日続伸で、9000円台を維持した。米オバマ次期大統領の政策期待と円安から、ソニーなど輸出関連銘柄や、太陽エネルギー関連が物色されシャープはストップ高となった。ここのところ売買代金は低調ながら、買戻しと投資テーマによる個別物色による上昇続いている。
 ところで、昨年のリーマン・ショック後の株式の大幅下落の要因は、今後実体経済が落ち込むであろうことを市場が織り込みにいったことと、ヘッジファンドの解約売りであろう。特にヘッジファンドは解約請求は3か月に1度で、3、6、9、12月末、もしくは2、5、8、11月末のケースが多く、また解約日の45日前までに解約請求をしなければならない場合が多い。つまり、12月中旬以降はヘッジファンド解約売りが一巡し、ビックスリー問題も先送りされたため、株式市場は落ち着きを取り戻したのではないだろうか。しかしながら、11月、12月のヘッジファンドの解約請求の金額が膨大で、解約請求を制限しているファンドも多いため、解約したくてもできなかった投資家が、1月以降にあらためて解約請求してくる観測もあり、1月中旬以降は株式市場は波乱の可能性を考えておかなければならない。

2009年1月5日月曜日

1/5(月) 2009年新しい投資の視点⑥食・自給率

日経平均 9,043.12  △183.56
為替(17時) 92.01-04円/米ドル
 2007年までのように世界経済が順調に成長しているときは、フェアでグローバルな世界交易が行われ世界各国の協調関係も良好であるものだが、今後、もし世界経済がさらに悪化していった場合、おそらく今までのようなフェアな交易は難しくなっていくであろう。そうなって欲しくはないが各国が保護主義に走ってしまう可能性も十分ある。現に2008年中ごろに商品市況が高騰した際、食糧輸出国の中には輸出量を減らしたり、関税を高くした国があった。
 日本は周知のとおり、食糧自給率が約40%で、今後不確実な世界状況が続いた場合、食糧の調達が難しくなる可能性があり、極めて危険な状況にある。国の舵取り役の政局は現状混迷の度を深めてはいるが、仮に、政権がどう転んでも遅かれ早かれ自給率上昇のため、食糧=農業への政策的後押しが具体的に実行されるであろうと期待をしたい。食糧生産にかかわる業界として例えば、種苗メーカー、農業機械、肥料メーカーなどが中長期的な投資に期待がもてるのではないだろうか。

2009年1月4日日曜日

1/4(日) 2009年新しい投資の視点⑤介護

 最近のマスコミ報道を見ていると、海外のニュースでは、米国発金融危機、世界同時不況、国内では派遣切り問題、政局の混迷、などの報道が多く、残念ながら前向きな話の報道は少ない。100年に一度の事態と言われる状況なのでやむを得ないだろう。報道の回数は減っているものの消えた年金問題、医療格差問題、不正教員採用問題など、まさに今後のわが国のあり方が問われている。
 国民と国家の関係において一番大切なことは国民が国家対し信頼できること、そして信頼の裏付けとなるものはやはり安心の提供であろう。国家が安心を提供するのに必要なことは、最低限の衣食住、教育、医療、治安、年金、介護といったところだ。投資という観点で見た場合、投資対象となる企業がそもそもその業界にあるのか、ある場合はその業界の成長性が期待できるのか、これらが最低限クリアしなければならないポイントだ。弊社では介護業界に注目している。昨今の国民の国家運営に対する不満や不信感の高まりはここ十数年の中でもかなり高くなっており、今後の政局がどう転ぶかはわからないが、不満や不信の解消のために安心感の提供すべく、遅かれ早かれ必ず具体的な政策を実行するだろうと期待している。先ほど挙げたポイントと、今後確実に進んでいく高齢化という環境下での介護業界はやはり注目すべき業界だ。

2009年1月3日土曜日

1/3(土) 2009円新しい投資の視点④国家や企業のメッセージ

NYダウ 9,034.69 △258.30
為替(NY2日終値) 91.75-85/米ドル
 2009年の世界景気は、主要国は軒並みマイナス成長、2008年前半まで世界経済を牽引しBRIC’sを中心とした新興国も成長率は大幅鈍化の予想で、厳しい状況が続く見通しだ。100年に一度の事態、市場原理主義の終焉、世界経済のパラダイム変化、など、様々な見方があるなか、各国政府や各企業が自分たちの強みを最大限生かし、どのような戦略を持ってこの未曾有の危機をチャンスにChangeさせることができるのか、注意深く見ていきたい。
 弊社では、その方法の一つとして、どのようなメッセージを発するのか、またその内容が具体的で実現が可能で、市場(国民・消費者)に受け入れられるものであるのかどうかを重視している。シンプルな判断基準だが、メッセージを発するタイミングやその伝え方を見れば、徹底した調査・分析など的を得た下準備が、スピード感を持ってできているか否かがわかるので、おのずと危機をチャンスにChangeできる企業かどうかがある程度判断できるのではないか。

2009年1月2日金曜日

1/2(金) 2009年新しい投資の視点③教育

 年末に極めて残念なニュースがあった。内閣府が発表した国民1人あたりのGDP(名目国内総生産)がOECD(経済協力開発機構)に加盟する30カ国中19位で、G7(主要7カ国)ではイタリアに抜かれ最下位となった。OECD(経済協力開発機構)が昨年9/9に公表した「教育2008年版」で、日本の2005年の教育予算の対国内総生産(GDP)比が3.4%(前年比0.1ポイント減)と、OECD加盟国中最低であることと深く関係があるであろう。
 英トニー・ブレア前首相の就任時の演説ではないが、今、日本に必要なことは、年金問題などの社会福祉の充実ももちろん重要だが、今後、国民の生産性の向上や他国にはないオンリーワンの技術や発明を作り上げ、競争力を高めるには、1に教育、2に教育、3、4はなくて5に教育ではないだろうか。本来、政治のリーダーシップ主導で教育(特に公教育)の抜本的改革を早急に行うべきだが、現状ではリーダーシップどころではない政局の混迷もあり、改革には時間がかかりそうだ。しかしながら近い将来にはおそらく教育改革が推進されることを期待して、充実した教育の実現には予算だけでなく、教える技術や知識・思考力を高める教材は必須で、そのようなノウハウの蓄積のある企業への投資は中長期的におもしろいのではないだろうか。

2009年1月1日木曜日

1/1(祝) 2009年新しい投資の視点②太陽エネルギー

NYダウ 8,776.39 △108.00
為替(12/31NY終値) 90.60-70/米ドル
 資源を切り口に世界経済を見ていった場合、20世紀は米国オイルメジャーを中心とした石油経済だったが、21世紀は太陽エネルギーによる太陽経済だという見方がある。1/20の米国新大統領オバマ氏による一般教書演説も経済政策の柱として太陽エネルギー政策が打ち出されるであろう。
 太陽経済は、発電だけでなく、エネルギーを蓄える電池、電気を送る超伝導技術、電気で動く電気自動車など、日本の主要企業の蓄積された技術力は諸外国と比較してもその優位性は十分あり、また、昨今の世界同時不況化でも、NECや東芝などは将来を見据え積極的に設備投資等を行っている。シャープも新年早々のTVコマーシャルは太陽光発電ビジネスを全面に打ち出した内容で、明確な企業メッセージだ。2009年も短期的には株式市場の乱高下も想定されるが、2010年以降に投資の成果を期待して太陽経済を主要のビジネスとして展開できる企業への投資は有望である。