2009年6月27日土曜日

6/22-26 偽りの夜明け

日経平均(6/26終値) 9877.39 (先週末) 9786.26
為替(6/26 17時) 95.94-97 (先週末) 96.80-86
 今週公表されたOECD(経済協力開発機構)は2010年世界経済見通しを2年ぶりに上方修正した。米国を中心に各国の首脳や経済閣僚からの景気底打ちから2010年には回復基調へ、という内容のコメントが相次いできる。しかしながら必ず但し書きがあり、景気下振れリスクとして各国の財政赤字の拡大や、雇用状況を悪化が続いた場合の消費低迷を挙げている。
 冷静に判断しなければならないこととして、各国首脳や閣僚は自分たちの政策を肯定するために景気見通しを基本的に強気見通しを示すことである。最近のマーケットはリーマンショック後の景気急減速が一服し、景気指標も下げ止まりから一部改善し始めているので、買戻しや打診買い、短期志向のマネーが株価を押し上げているが、あくまでリーマンショック以前のと比較するとほとんどの景気指標がおおよそ30%程度以上の低水準であること、雇用の悪化による世界的な個人消費の低迷でデフレが進行し始めていることを考慮すると、2010年以降に景気が順調に回復すると考えるのは早計ではないだろうか。今は、一旦の利食いや戻り売りをし、マーケットを静観しておくが得策だと思う。

2009年6月19日金曜日

6/15-19 短期的には要注意

日経平均(6/19終値) 9786.26 (先週末)10135.82 
為替(6/19 17時) 96.80-83 (先週末)98.00-03 
 最近の株式市場参加者は特にリーマンショック以降、短期志向の投資家の比率がかなり高まっているように感じられる。主体別売買動向は東証から発表されているが、投資スタイルや期間はデータの取りようがないので推測でしかないが、個人投資家はデイトレーダー、証券会社の自己売買部門、ヘッジファンドではマネージドフューチャーズという投資戦略(主に先物市場を中心に株式、債券、為替、商品市況等のマーケットのトレンドに対し、順張りで収益機会を狙う)のうち、1‐3か月程度のトレンドへベットする手法の運用方法が市場参加者の中心だろう。これらの投資家はマーケットトレンドが変わったと考えると、今まで買方だったのが一瞬にして売方と変化する。3/10あたりからの上昇トレンドも約3カ月も経過し、年初来安値から40%程度も上昇しているので、短期的には要注意だ。例えば新エネルギー関連銘柄のGSユアサの場合、3月安値から株価は約3倍まで上昇したのち、今日一日で約14%も下落している。おそらく短期志向の投資家たちが利食いと新規のカラ売りを行っているのだろう。弱気のトレンドが出始めると、少なくともこの1‐2カ月内の買いは様子を見て慎重に行うべきであろう。「休むも相場」との格言にもあるように。

2009年6月12日金曜日

6/8-12 元気になってきた

日経平均(6/12終値) 10135.82 (先週末 9786.01)
為替(6/12 17時) 98.00-03 (先週末96.71-74)
 東証株式市場は今週、日経平均で10000円の大台まで回復してきた。昨今のマーケット関係者のコメント、アナリストの投資判断、メディアの報道など株式相場に対する楽観的な見方が増えてきた。2月、3月頃は全くと言っていいほど連絡もなく元気がなかった証券会社も、最近では勧誘などの連絡も元気で積極的になってきた。
 市場関係者の大方の見方も年内景気底打ち・回復局面となってきている。果たして今の株式市場の上昇が景気底打ち・回復を織り込んでいるのだろうか。昨年のリーマンショック後の景気急減速、株価急落がジェットコースターのようでパニックの状況だったが、さすがにその恐怖感にも慣れてきたといった感じではないだろうか。一部回復している景気指標もほとんどが前月比の指標で、前年比で比較した場合、その水準はおおよそ-30%減程度の数字が多く、依然低水準である。また、欧米金融機関の不良債権問題や、東欧を中心とた国家レベルでの破たん懸念、各国の巨額財政出動のため長期金利が上昇など、懸念材料はまだまだいくつもあり、今後この水準での投資に関しては、より慎重なスタンスが重要だと考えている。

2009年6月6日土曜日

6/6(土) 米雇用統計

NYダウ(5日終値) 8763.13 △12.89
為替(NY5日終値)  98.60-70/米ドル
 米労働省が発表した5月の雇用統計によると、失業率は9.4%と、前月比0.5ポイントの大幅悪化で、25年9カ月ぶりの高い水準となった。一方、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比345,000人減にとどまり、減少幅が大幅に縮小し、雇用情勢に改善の兆しが出てきた。
 失業率の悪化は続いているが、足元の雇用情勢は改善に向かっている。5月の就業者数の内訳を見ると、製造業は自動車大手の人員削減など大幅減となったが、建設業は減少幅が縮小し、非製造業では、教育・医療分野で44,000人の就業者増となった模様。バイデン米副大統領は5/13にコメントしているように、2月に成立した7878億ドル規模の大型景気対策法の実施状況をまとめた初の報告書を発表、これまで3000件の公共事業に予算配分され、15万人の雇用を確保したとして、着実に成果が上がり始めたことを強調しているが、5月の建設業等の雇用減少幅縮小は景気対策によるもので、最近の各種景気指標は改善しているのも景気対策のよるところが大きい。しかしながら景気対策以外の実体経済の改善の兆候は見られておらず、各国の景気対策一巡後に回復が持続しない可能性も視野に入れ今後の投資を行うべきであろう。

2009年6月5日金曜日

6/5(金) 1-3月期に底打ち?②

日経平均 9,786.01  △99.05
為替(17時) 96.71-74/米ドル
 与謝野馨財務・金融・経済財政相は2日に、日本経済の需要不足が過去最悪の約45兆円に上った1-3月期に関し、「たぶんあの時期が底打ちの時期だと思う」と語り、実質的な底打ち宣言となった。最近発表の景気指標ではリーマンショック後の指標の急落が一服し、前月比で改善し始めたものが多くなってきた。株価も3月上旬以降堅調に推移しており、市場関係者の大方の見方も年内景気底打ち・回復局面となってきている。
 しかし、少し楽観的過ぎるのではないだろうか。一部回復している景気指標もほとんどが前月比の指標で、景気悪化が急速だったのであくまでその反動で、前年比で比較した場合、その水準はおおよそ-30%減程度の数字が多く、依然低水準である。また、欧米金融機関の不良債権問題や、東欧を中心とた国家レベルでの破たん懸念、各国の巨額財政出動のため、長期金利が上昇し景気回復への重しとなっている、などの懸念材料もいくつかあり、6月以降の投資に関しては、より慎重なスタンスが重要だと考えている。

2009年6月4日木曜日

6/4(木) 地合いはまだ良いが、

日経平均 9668.96 ▼72.71
為替(17時) 96.23-26/米ドル
 4日の東京株式市場で日経平均株価は7営業日ぶりに反落した。前日の米株式相場が5営業日ぶりに反落したことを受けて、主力株の一角に利益確定の売りや戻り売りが出た。前日の海外市場で原油先物相場が下落するなど商品相場が軟調だったことから、商社など資源関連株もさえなかった。短期的な上昇ピッチの速さに対する警戒感が根強いが、3月上旬以降、堅調に推移するマーケットに乗り遅れている投資家が押し目があれば買うという展開が続いている。昨年のリーマンショック後リスクマネーは一時完全に凍結していたが、最近はヘッジファンド、個人投資家などが息を吹き返し、リスク許容度が高まってきている。また、この流れに乗り切れずに下値で買おうと考えている投資家も3月以降なかなか下落局面が少ないので、少しでも下落すると買いが入るという好需給相場が続いている。マーケットは年内に世界景気が底打ちし、2009年後半から「レ」の字型の景気回復をするの可能性まで織り込み始めている。昨年9月下旬から今年3月まで急落局面の反動もあり、6月中くらいまでは堅調に推移するかもしれないが、世界的な雇用悪化、燻る金融不安、先進国各国の急激な財政悪化など、波乱はまだありそうだ。

2009年6月3日水曜日

6/3(水) 人口減少とプライマリーバランス黒字化先送り

日経平均 9,741.67 △37.36
為替(17時) 96.24-27/米ドル
 2008年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計値)は1.37で、07年を0.03ポイント上回ったことが3日、厚生労働省の人口動態統計で分かった。ただ人口の減少傾向は加速しており、減少幅は過去最大となった。出生率の上昇は3年連続で、出産適齢期の女性の数自体が減ったのが数値の主な押し上げ要因。一方、死亡数は同3万4133人増の114万2467人で戦後最多となった。出生数から死亡数を差し引いた「人口の自然増減数」は5万1317人のマイナス。前年の減少幅の3倍近くで、人口の減少ペースが加速した。今後確実に人口が減っていき、高齢化の進行で現役世代の比率が人口減のペースを上回り減少する見込みだが、政府は、今月中にまとめる「骨太の方針2009」で、財政健全化の目標を、従来の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化から、国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率抑制に変更する方向で調整に入った。麻生政権は100年に一度の危機?に乗じて景気対策と称して、世界経済はパラダイム変化が起きようとしている状況で、国家ビジョンも戦略もない、従来型バラマキを行い、借金だけは人口減で少なくなる現役世代に残されてしまう現実を直視しなければならない。

2009年6月2日火曜日

6/2(火) 1-3月に「底打ち」?①

日経平均 9,704.31  △26.56
為替(15時) 96.25-30/米ドル
 与謝野馨財務・金融・経済財政相は2日午前、日本経済の需要不足が過去最悪の約45兆円に上った1-3月期に関し、「たぶんあの時期が底打ちの時期だと思う」と語り、景気は既に上昇局面に転じたとの認識を示した。与謝野氏は、5月末に発表された鉱工業生産指数(1995=100)の大幅改善などを取り上げ、「4-6月以降は(生産の)カーブはずっと上向きだ」と強調。その上で、景気は年末から来年春にかけて回復軌道に復帰するとの見通しを示した。
 景気循環的な見方(例えば、在庫投資による変動でキチンの波といわれ、循環は3~4年)であれば、一時的に在庫を圧縮し、生産調整を行うことで鉱工業生産指数は改善する。ちなみに同指数はリーマンショック前は110前後あったが、3月には約70まで(36%強)下落して4月に5.2%の上昇となっている。当社では現在の世界経済は、従来までの景気循環的な見方は通用せず、世界的な経済活動にパラダイム変化が起きていると考えており、昨年9月以降の景気急減速が一時的に一服感は出たとしても、パラダイム変化後の世界が未だ明確になっておらず、今後の世界経済は乗り越えなければならない課題が山積している。

2009年6月1日月曜日

6/1(月) 一先ずの安心感

日経平均 9677.75 △155.25
為替(15時) 95.26-30/米ドル
 政府が米ゼネラル・モーターズ(GM)について、連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用を6月1日に申請すると発表したが、同報道後の米株価先物の堅調さが好感されている。商品市況高などを受けた朝方からの景気底入れ期待もあり株価を押し上げている。
 株式市場は不透明感を嫌うので、GMがどう立ち直るかはまだ分からないが、米政府が中心となり約3.8兆円の追加支援を行い、国有化することとなった。懸案だったGM問題が一先ず当面の方針が示され、好材料と受け止められているようだが、資本主義経済の雄であった米国を代表する自動車メーカーが国有化されることはまさに世界経済の大転換点だ。今後は中長期的に新生GMが成長性戦略を描けるのか、米今回も3.8兆円の追加融資を行ったように、立て続けの財政出動による財政悪化懸念による米国債の下落懸念、基軸通貨米ドルの信認が保てるのかがマーケットにとっての注目材料となるだろう。米国長期国債が金利上昇を始めているのは懸念の兆候が出始めているようだ。