2009年3月31日火曜日

3/31(火) パラダイム変化

日経平均 8109.53 ▼126.55
為替(15時) 97.95-98.00/米ドル
 今日の31日付の日本経済新聞朝刊で、日清紡績(3105)が家庭の電源や自動車に使われる燃料電池の触媒として、従来の白金と比べてコストが約6分の1となる炭素材料を初めて実用化し、2010年春から量産する。生産量は20年には数十トンに引き上げ、500億―1000億円の売り上げを見込んでいるとの報道があり、株価は急騰した。2009年3月期の同社の売上高(予想)が2870億円なので、その期待の大きさが、株価上昇への期待となっている。
 2008年は金融・経済にとどまらず、社会的、文化的に大転換期として歴史に残るのではないかと思う。石油を中心としたエネルギー政策が太陽光エネルギーを使った燃料電池に変わったり、金銭的な利益や物質的な満足感から精神的な利益や満足が大切にされる時代に変わるかもしれない。投資の世界も、エコへの関心、クリエイティブな価値観、心の通うサービスなど目に見えない価値を分析していかなければならないだろう。

2009年3月30日月曜日

3/30(月) 市場参加者は短期志向

日経平均 8,236.08  ▼390.89
為替(17時) 96.16-18円/米ドル
 最近のマーケット参加者の中心は、証券会社の自己売買や短期的な値幅を狙う個人投資家など、目先の値幅を狙う投資家である。中長期的視点で企業業績の成長に期待し純投資を行う投資家層は世界同時不況がいつ底打つのか様子見しているように思われ、市場への本格復帰はまだのようだ。今日の後場で日経平均で8500円を割り込むとそのままジェットコースターのように8236円まで下落した。先週は堅調な一週間で8.57%上昇したが、今日は米自動車大手の救済に関し不透明感が取り沙汰されまた円高も大幅に進んだことが要因で▼4.53%となった。
 今週も米自動車大手救済問題、3月の日銀短観、金融サミット、3月米雇用統計などの経済指標やイベントが目白押しで、内容如何では乱高下の可能性もある。先週まではセンチメント(投資心理)も好転しており、今後のマーケットに対し楽観視する見方もあったが、世界景気の改善や、米を中心といた不良資産問題も解決したわけではないので、今後新規に投資を行うには、引き続きセンチメントが弱気になり、マーケットが下落した局面での打診買いにとどめておくべきではないだろうか。

2009年3月29日日曜日

3/29(日) 社債発行が急回復

 リーマンショック後、金融市場でのファイナンス(資金調達)は麻痺状態が続いているが、社債市場において格付けの高い企業が資金調達に動き始め、社債投資家も投資を復活し始めているようだ。英米調査会社ディールロジックによると、年初から3/19までの社債発行額は(金融除く)4345億ドル(約42兆5200億円)と昨年10-12月期から倍増、4半期で過去最高だった昨年4-6月期(3452億ドル)をすでに上回るという。(本日日経1面参照)金融機関が融資に慎重なため、多少金利が高くても資金調達がしやすい高格付け企業が長期的な資金手当てを行っている。
 資金調達の目的は景気悪化の状況下で、大手優良企業が企業買収の好機と見て買収資金を調達に動いているようだ。例えばスイスの製薬大手ロシュ・ホールディングは、米バイオ医薬品大手ジェネンテックの敵対的買収に必要な資金の一部を調達するため、米国の社債市場を利用し、160億ドルを調達した。世界的な景気低迷は2009年中も続くとの見方が大勢だが、2010年以降の世界経済の回復局面に向け、企業活動は着々と進んでおり、優勝劣敗が明確になってくるであろう。その芽を着実に発見し調査・分析の上、投資行えるかどうかで投資における優勝劣敗が決まってくるだろう。

2009年3月28日土曜日

3/28(土) 米GM、クライスラー問題

NYダウ 7776.18 ▼148.38
為替(NY27日終値) 97.80-90 円/米ドル
 ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの救済策を巡り、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は27日、米政府が当面は数週間単位の短期融資しか認めないとの見通しを報じた。期限を区切ることで、債権者や労働組合とのリストラに関する協議を早期に妥結させるよう強く促すとともに、際限のない公的支援の色彩を薄める狙いもあるようだ。 GMなどは、経営再建計画を米政府に提出した2/17までに合意に至らなかった全米自動車労組(UAW)や債権者との債務圧縮策などを、今月末までに決着させる必要があるが、現時点で交渉は難航している。期限内にリストラが完了した場合に支援資金を追加供与していくとみられる。
 多額の金融支援を受け、高額なボーナスを支払い問題となったAIGの件もあり、労組側がすんなり期限内に厳しい内容と想定されるリストラ策に応じるだろうか?労組の立場ならば少しでも有利な条件を引き出すためにあらゆる手段を講じるのが当然ではないだろうか。もし仮に月末までの交渉決裂の場合に政府はどう対応するだろうか。経営破たんという強行手段はないと思われるが、対応次第では混乱を招き、マーケットにも影響を与えてしまう可能性は十分にありうる。

2009年3月27日金曜日

3/27(金) 週末だから手仕舞い

日経平均 8,626.97  ▼ 9.36
為替(17時) 97.88-91円/米ドル
 昨日の米国市場が大幅続伸となり、為替も円安に振れていたことに加え、寄り付き前の外国人売買動向も久方振りに買い越しと伝わったことなどから、日本市場も買い先行となり、10時過ぎには日経平均で8843.18円まで上昇し、最近の堅調な相場動向の流れは続いていた。
 最近のマーケット参加者の中心は、証券会社の自己売買や短期的な値幅を狙う個人投資家など、目先の値幅を狙う投資家である。中長期的視点で企業業績の成長に期待し純投資を行う投資家層は、最近、米国で不良資産問題解決のための官民合同プログラムの発表や、各国の財政出動による景気対策が打ち出されたが、まだ景気の底打ちや改善は確認できておらず打診買い程度しか参加してないように思われる。市場参加者の大部分が短期志向であるならば、どうしても週末を買いポジションや売りポジションを維持したまま向えることができないので、今日は引けにかけて急速に売り圧力が強まった。市場のセンチメント(投資心理)が弱気に傾きはじめると、短期志向の投資家はすぐに売りポジションをとることになるだろう。

2009年3月26日木曜日

3/26(木) 堅調だが・・

日経平均 8,636.33  △156.34
為替(17時) 98.07-10円/米ドル
 前日の日本市場が米国株安のなか底堅い値動きとなったことや、配当落ちの影響などもあって朝方こそ軟調だったが、米国の金融不安が後退していることに加え、2月の米国住宅販売や耐久財受注などの一部の経済指標が下げ止まりの兆候が見られることから、売り一巡後は戻りを試す展開となった。日経平均は終値ベースで8,600円を回復し、日米共に底入れ感が強まっている。その一方で小型株の値動きは冴えず、日経ジャスダック平均や東証2部株指数、東証マザーズ指数は軟調となっている。
 3月末の株価水準を意識した買いや、3/10の安値以降、極端に弱気だったセンチメント(投資心理)の改善、ヘッジファンドの戦略の一つであるマネージド・フューチャーズ(3/15のマーケット雑感をご参照ください)のトレンド・フォロワーの買い、証券会社等の自己売買の短期の買いが上昇の要因だろう。いずれの買い主体も、実体経済が底打ち、改善への期待からの実需の買いではなく、短期的(1-2か月程度)な買いだと当社は見ている。

2009年3月25日水曜日

3/25(水) 買戻し相場も7、8合目

日経平均 8479.99 ▼8.31
為替(17時) 97.72-74円/米ドル
 東京株式市場は、3/10に日経平均株価で7021.28に付けた後、買戻しを中心とした買い優勢の展開が続き、昨日までの約2週間で約△1400円、20%もの反発を見せている。23日発表された米官民投資プログラムや世界協調の財政出動による景気対策といった材料もあり堅調に推移している。今日のマーケットもNY、東京ともに前日の大幅上昇の反動から下落するのではないかとの懸念もあったが、下げ幅は限定的であった。4/2にはロンドンで金融サミットもあり、来週にかけて引き続き堅調な相場展開が期待できるのではないだろうか。
 しかしながら、当社ではこの1、2週間の中で利食い売り、戻り売りを推奨している。理由は主に2つある。①政策期待で日経平均、NYダウともに最近の安値から20%上昇したが、さらなる上昇には景気底打ちの確認が必要だが、未だ底打ちは確認できていない②大型経営破たんの可能性や、1-3月期の実体経済の悪さがあらためて意識されることである。

2009年3月24日火曜日

3/24(火) 官民投資プログラム

日経平均 8,488.30  △272.77
為替(17時) 98.26-28円/米ドル
 ガイトナー米財務長官は、政府と民間投資家が共同で金融機関の不良債権を買い取る枠組みを発表した。(官民投資プログラム)民間投資家の出資額に応じて最大1000億ドル(約9兆8000億円)の公的資金を拠出。5000億ドルから1兆ドルの不良資産を金融システムから分離することが目的で、ローン債権の場合、買い取り価格を投資家の入札で決めるのが特徴だ。例えば簿価100ドルの債権を84ドルで買い取る場合、そのうち12ドルは官民が折半出資し(民で6ドル、債権全体の1/14)、72ドルは借入れで賄ってFDIC(米連邦預金保険公社)が保証をつける。つまり、民間投資家は6ドルの出資で簿価100ドル分の不良資産を購入できるうえ、リスクは6ドルまでと限定される。市場ではひとまず金融安定化策が具体化されたことで買い戻しが入り大幅上昇し安心感が広がった。しかしながら、2つの疑問点を指摘したい。①金融機関の不良債権が同プログラムにより処理が進むかもしれないが、金融機関側は不良資産の大幅損失が顕在化するのではとの懸念がある。②FDICの保証によりFRB(米連邦準備理事会)の財務健全性は保てるのだろうか。楽観論ばかりでないことも留意すべきである。

2009年3月23日月曜日

3/23(月) 戦略的投資は着々と

日経平均 8,215.53 △269.57
為替(17時) 95.95-96円/米ドル
 ドイツの自動車大手ダイムラーは、巨額のオイルマネーを運営するアラブ首長国連邦(UAE)の政府系ファンド、アブダビ投資庁から19億5000万ユーロ(約2500億円)の出資を受け入れると発表した。同投資庁の出資比率は9.1%で、ダイムラーの筆頭株主となる。同社は株価下落に伴い敵対的買収の標的になる恐れも指摘されており、これまで筆頭株主だったクウェート(出資比率6.9%)と併せ、安定株主としてアラブ産油国に協力を求め、戦略的な運用先を探すアブダビ投資庁との思惑が一致したようだ。
 米IBMがサン・マイクロシステムズと買収計画や、ゴールドマン・サックス系ファンドによるUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)へのTOB(株式公開買付)など、戦略的投資は世界同時不況期でも着々と実行されている。2009年は世界経済がマイナス成長に陥り、日本も▼6%前後と大幅に景気悪化する見通しだが、2010年のどの時期かはわからないが景気回復期を迎えたときに、2009年の戦略的投資、買収、事業再編などが各企業の今後少なくとも10年程度のポジショニングを決めていくことになるであろう。

2009年3月22日日曜日

3/22(日) AIG賞与問題とガイトナー財務長官

 ガイトナー財務長官は、経営再建に向けて1730億ドル(約17兆円)の公的資金を注入された保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が一部幹部に高額賞与を支給したことを受け、批判にさらされている。ガイトナー財務長官はこの問題への自身の対応は間違っていないと主張したが、問題の大きさについてもっと早期に把握しておくべきだったとコメントしている。 オバマ米大統領が20日、CBS「60ミニッツ」22日放送分の単独インタビューで、仮にガイトナー財務長官が辞意を表明した場合も残留を求める意向を示しているという。オバマ大統領の支持率も就任2か月で早くも低下し始めており(ラスムセン社調査では1月の政権発足直後の65%から19日現在56%まで下落、不支持率は13ポイント増の43%に達した。)、200万人もの国民が集まった就任式時の熱狂は、厳しい経済状況もあり少しずつ冷めているのかもしれない。また、ガイトナー長官もAIG賞与問題も、支給前から認識していたとの見方もあるようだ。この問題がさらにスキャンダル化しないことを祈りたいが、もし仮に賞与支給を事前に認識していたことが事実であったならば、世論はガイトナー長官への辞任要求へと傾く可能性があり、オバマ政権にも大打撃になりうる。今後の米国民や世界全体への信頼関係を維持するためにも、この問題への対処の仕方は極めて重要になるだろう。

2009年3月21日土曜日

3/21(土) 米、積極的財政出動

NYダウ 7278.38 ▼122.42
為替(NY20日終値) 95.90-00/米ドル
 米議会予算局(CBO)は10月から始まる2010会計年度の予算編成に向けた経済・財政見通しを発表し、09年の実質経済成長率はマイナス3.0%と予測。09会計年度の財政赤字は国内総生産(GDP)比で13.1%に膨らむとした。オバマ政権が2月に示した見通しよりも厳しく見ている。CBO見通しによると、09年度の赤字は1兆8450億ドル(約177兆円)。例えばユーロ圏では平時はGDP比3%以内を目処にしていることを考慮すると、非常時とは言え、米国の積極的な財政支出が数字でも証明された。
 米国の積極的財政出動に関して、野党共和党は「孫の世代に大きなツケを残す」など、批判的姿勢を強めている。経済が非常時なだけに、米政府の舵取りが正しいか否かは後の歴史が証明することになるが、当社は世界経済の需給ギャップという難題解決には財政出動が有効な政策だと考える。マーケットでも赤字国債の増加で金利上昇(債券価格下落)ドル安懸念が根強く残るだろう。財政赤字や証券化商品の不良資産の解決のために、積極的に財政出動し、インフレ政策(負債の負担感が低減できる)を志向しているかはわからないが、今後の投資は中長期的なインフレ対策を考慮せねばならない。

2009年3月20日金曜日

3/20(祝) やっと景気対策が実感できた

NYダウ 7400.80 ▼85.78
為替(NY19日終値) 94.45-55/米ドル
 3連休初日の20日、高速道路料金の値下げが東京湾アクアラインと本州四国連絡高速道路で一足早く始まり、値下げ料金が適用される土日祝日は、上限1000円で通行できるとあって、アクアラインの通行台数は先週末に比べ35%増え、海ほたるパーキングエリア(千葉県木更津市)は多くの家族連れや観光客で混雑し、本四連絡道を使った車も昨年の約2倍とゴールデンウイーク並みだったようだ。
 昨年9月のリーマンショック後、急速に景気が冷え込み、昨年10-12月の国内総生産(GDP)が▼12.1%となったが、政府の対応は後手後手で、国民のマインドを少しでも好転させるような政策は今まで皆無であった。今回の高速道路料金値下げや今後支給される定額給付金が景気対策として効果的かは疑問だが、やっと景気対策が実感できた日であった。しかしながらIMF(国際通貨基金)が2009年の日本のGDP伸び率は▼5.8%と予想しているように、日本経済を少しでも浮揚させるには国民と政府との信頼関係に基づいた上で、将来の日本のあるべき姿を見据えた経済対策でなければ、国民のマインドをchange出来ないし、経済成長も難しいであろう。

2009年3月19日木曜日

3/19(木) ヘリコプター・ベン

日経平均 7,945.96 ▼26.21
為替(17時) 95.53-56円/米ドル
 米連邦準備理事会(FRB)は18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、長期国債を今後半年で最大3000億ドル(約29兆円)購入することを全会一致で決めた。資産担保証券の購入増額などとあわせ、追加の資金供給は合計で1兆ドル超になる。民間借り入れ全般の金利低下を通じ景気の一段の悪化を防ぐ狙うようだ。
 ベン・バーナンキ議長は今年1月に金融政策の軸足を金利から資金量に移す「信用緩和」政策を取っている。米国債を発行し、FRBが引き受け資金を市中へ大量に供給することで公共事業、減税などが可能になる。バーナンキ議長は極端な喩えで、「デフレを克服するには、ヘリコプターから現金をばら撒けば良い」と発言し、ヘリコプター・ベンと揶揄されている。まずはNY市場では、長期金利の急低下(債券価格は上昇)、株高と好感された。投資環境は短期的にはは景気底打ち期待も膨らみ市場は堅調に推移する可能性が高いが、中長期的にはインフレへの対応が重要になりそうだ。

2009年3月18日水曜日

3/18(水) 戻り売り、空売り

日経平均 7,972.17  △23.04
為替(17時) 98.54-57円/米ドル
 17日の米株式相場はダウ工業株30種平均で前日比△178.73の7395.70と2/19以来、約1カ月ぶりの高値で終えた。住宅着工件数が8カ月ぶりに前月比で増加し、58万3000戸と市場予想(46万戸)を大幅に上回ったことが上昇の要因だった。
 昨日の米国市場が大幅高となったことから、日本市場も買い先行の始まりとなり、日経平均は8,000円の大台を上回り8054円まで上昇したが、その後は戻り売りや新規の空売りなどもあり、結局8000円は維持できずに取引を終えた。3/10に直近安値の7062円まで下落後、今日までの6営業日でちょうど1000円の上昇(約△14%)で、戻り売りとともに新規の空売りも増加したのではないだろうか。この水準からは景況感の改善が現状見られないとの見方から株価は伸び悩むとの見方も根強いが、当社では今週中に米官民共同のバットバンク構想や、4月上旬の金融サミットに向けた各国協調の財政出動による景気対策への期待から、この水準での空売り筋の買戻しを中心とした上昇局面が少なくとも月内は期待できるのではないかと考えている。

2009年3月17日火曜日

3/17(火) 買戻し相場も5合目

日経平均 7,949.13  △244.98
為替(17時) 98.65-68円/米ドル
 17日の東京株式市場は不動産のほか銀行などの金融株を中心に買い戻しと思われる買い注文が膨らみ、日経平均株価は大幅に3日続伸し終値は前日比△244.98(3.18%)高の7949.13で、2/9以来、約1カ月ぶりの高値水準となった。
 昨年のリーマンショック以降、昨年10/28にザラ場で7000円割れまで売られ、その後11/4にオバマ大統領選出に合わせ9000円台回復、11月下旬に7500円近辺まで調整後、1月上旬にオバマ大統領就任での期待もあり、9000円台を再度回復した。その後、根強い金融不安と景気の底が見えない状況からじりじりと値を下げ、3/10に7021円まで下げた後、反発局面を迎えている。先日もこの欄で書いたが、米官民バットバンク構想、世界協調の財政出動による景気対策、4月上旬の金融サミットと株式市場にとってプラス要因になりうるイベントも控えており、当面は堅調な相場が期待できるであろう。しかしながら、実体経済の底入れは未だ確認できておらず、景気回復を織り込んでいくような上昇相場ではなく、今回も買戻し相場で、上値もせいぜい9000円程度ではないだろうか。

2009年3月16日月曜日

3/16(月) 金融株買戻し

日経平均 7,704.15  △134.87
為替(17時) 98.25-28円/米ドル
 米国金融安定化策の具体策として、官民合同の不良資産買い取り機構(バットバンク)に関して早ければ今週中に発表されるのでは、との見通しが強まり、米国株式市場は金融株が軒並み買戻しで上昇している。先週初には株価1ドル割れのシティは先週末1.78ドル(80%近く上昇)、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)も先々週安値で3ドル近辺だったが、先週末一時6ドルを回復(約100%の上昇)と買戻しが活発だ。1月上旬のオバマ大統領就任時の期待感から株価が堅調だった頃の株価は、NYダウで9000ドル、シティで7ドル台、バンカメで14ドル近辺という水準を考えると、今週中に金融安定化策(バットバンク構想)が発表され、金融不安が後退し、4月上旬の金融サミットでの金融不安の解消と、世界協調の財政政策への期待感から、金融株への買戻しを当面続く可能性が高い。特に売られた(大幅に下落した)銘柄ほどリバウンドが期待でいるのではないか。主力の金融株は日本でも1月の高値から直近安値で35%-50%近くげており、4月上旬にかけてさらなる買戻しによる上昇相場が期待できるのではないだろうか。

2009年3月15日日曜日

3/15(日) 1、2ヶ月単位のセンチメント②

 リーマンショック後のマーケットは軟調な展開が続いているが、上昇局面としては、11月上旬の米オバマ大統領選出、1月のオバマ大統領の就任、そして今回の世界協調景気対策期待と、下値は切り下げているいるが、1、2ヶ月単位で上昇局面が来ている。その要因としてヘッジファンドの戦略の中で、マネージドフューチャーズ戦略が1、2ヶ月単位のセンチメント(投資心理)を作り出していると考えている。
 マネージドフューチャーズ戦略とは世界の先物・オプション市場に上場されている商品に投資し収益を狙う。「商品ファンド」に似ているが、同戦略の場合、「商品先物」だけでなく、株式、債券、通貨などを対象とした先物・オプションなど幅広く扱うことが特徴で、レバレッジを効かした大量売買と機動的な運用のために、流動性に優れた上場先物・オプションを使い、ハイリスク・ハイリターンを目指すのが一般的だ。特にコンピュータ・モデルを駆使し、各マーケットのトレンドが変化した場合に、そのトレンドにベット(トレンド・フォローワー)して収益を狙うことが多い。そのトレンドも、1、2日の超短期から、1、2か月、6か月、1年以上など様々だが、私は特に1、2か月単位のトレンド・フォロワーの戦略を取るヘッジファンドが多いように思う。おそらく4月上旬の世界協調景気対策、金融サミット、米金融安定化策の詳細発表などの目先の材料もあり、少なくとも4月上旬までは上昇局面が続くのでないだろうか。

2009年3月14日土曜日

3/14(土) 1、2ヶ月単位でのセンチメント①

NYダウ 7223.98 △53.98
為替(NY13日終値) 97.96-98.06/米ドル
 サマーズ米国家経済会議(NEC)委員長は13日、「世界経済の非常にかなりの部分において、一時的な財政拡大余地がある」と述べ、当面は各国の財政出動による景気対策への期待感が、持続性があるかは疑問だがマーケットを好転させている。NYダウも4日間で約10%上昇している。当社ではこの上昇局面が少なくとも4月上旬までは続くのではないかと考えている。リーマンショック後のマーケットは世界経済の先行き不透明感から軟調な展開が続いているが、上昇局面としては、11月上旬の米オバマ大統領選出、1月のオバマ大統領の就任、そして今回の世界協調景気対策期待と、下値は切り下げているいるが、1、2ヶ月単位で上昇局面が来ている。中長期的に純投資を行う投資家は様子見をしている投資家が大半だと思われるが、最近の市場参加者の中心はヘッジファンド等の短期的な売買を行う投資家と想定される。そのヘッジファンドの戦略の中で、マネージドフューチャーズ戦略が1、2ヶ月単位のセンチメント(投資心理)の変化を作り出している要因の一つだと考えている。

2009年3月13日金曜日

3/13(金) 中国追加景気対策を準備

日経平均 7,569.28  △371.03
為替(17時) 97.96-99円/米ドル
 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は本日閉幕し、記者会見で温家宝首相は、世界的な金融危機が長期化する可能性に備え、新たな追加景気対策を準備していると発表した。既に表明している4兆元(約57兆円)の景気対策に加え、さらに困難な状況に対応する計画を既に準備しており、いつでも景気刺激策を打ち出せると表明。昨日の米ガイトナー財務長官がG20の各国に対し、追加の景気対策を協調して実施するために財政出動するよう提言、早速中国が呼応した形だ。日本でも麻生首相が追加経済対策を指示し、16日からは各界からの著名有識者(オール・ジャパン)からのアイデアを聞く懇談会を開催するとのことだ。
 株式市場は米大手銀行が1、2月が黒字転換したことをきっかけに買戻しを中心に日米欧とも上昇している。1月中旬以降弱気相場が続いていたが、各国の景気対策への期待や、米金融安定化策の詳細が近々発表されること、4月上旬にはG20金融サミットが開催されるなど、センチメント(投資心理)は4月上旬くらいまでは好転して上向いてくるのではないだろうか。

2009年3月12日木曜日

3/12(木) 財政出動

日経平均 7,198.25  ▼177.87
為替(17時)  96.35-38円/米ドル
 ガイトナー米財務長官は11日、主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を前に記者会見し、世界経済回復へ各国が国内総生産(GDP)比で2%程度ぼ財政出動で協調するよう呼びかける考えを示した。景気対策も需要喚起を狙う分野を明確にすると効果的であるので(例えばドイツの自動車買い替え促進策など)、各国が協調して効果的な財政出動を行うとするならば、少なくともGDP成長率を下げ止まらせることになるだろう。世界の株式市場にとってプラスとなる材料がほとんど無かっただけに、13、14日のG20で各国の協調による財政出動が正式に決まれば、株式市場にとってプラスに働くであろう。
 4月上旬に開催予定のG20金融サミット(首脳会合)を挟み、米国ビックスリー問題、金融安定化策の詳細の発表、各国による協調財政出動が実行に移されるまでは株式市場は、買戻しを中心に久しぶりに堅調な展開が期待できるのではないか。

2009年3月11日水曜日

3/11(水) 2月の中国輸出25.7%減

日経平均 7,376.12 △321.14
為替(17時) 98.55-58円/米ドル
 中国税関総署が11日発表した2月の貿易統計によると、輸出は前年同月に比べ25.7%減の648億9500万ドルだった。4カ月連続のマイナスで、減少率は1月の17.5%より大幅に拡大。1980年代以降では最大の減少幅となった。世界同時不況の影響で外需の落ち込みが一段と鮮明になっており、中国政府は内需の拡大に全力を挙げるようだ。
 米国を中心とした先進国経済が軒並み減速するなか、中国やインドの内需拡大が世界同時不況を脱する牽引役だと考えていたが、2月の輸出の落ち込みは市場予想を大きく上回っており、外需の落ち込みに歯止めはかかっていない。中国政府は北京で開催中の全国人民代表大会で2009年の国内総生産(GDP)の成長率8%を達成すべく、約4兆元(約57兆円)の景気刺激策で内需拡大を計画しているが、予想外の外需の落ち込みが8%成長という目標達成を難しくしている。今日の上海株式市場も、前日のNY大幅高にもかかわらず下落している。マーケットは中国でも追加の景気対策を催促し始めるであろう。

2009年3月10日火曜日

3/10(火) ホンダ・インサイト

日経平均 7,054.98  ▼31.05
為替(17時) 98.62-65円/米ドル
 ホンダの新型ハイブリッド車「インサイト」の受注台数が2/6の発売から今月9日までの約1カ月間で1万8000台に上ったと発表した。当初計画していた5000台の3倍を超える好調な滑り出し。ホンダによると、注文の半数はこれまでホンダ車に乗っていなかった新規の顧客からだという。確かに世界同時不況で消費が冷え込んでいるとはいえ、9月のリーマンショック以降の世界経済はここ数十年で経験のない急降下であったため、世界中が消費を抑え、景気の行方を様子見し、自己防衛を行っている。
 しかしながら、ドイツでは製造から9年以上経過している自動車を最新の排ガス規制対応車に買い替えた場合、2500ユーロ(約30万円)の補助金を支給し、低迷する新車需要の掘り起こしを狙った策が功を奏し販売台数は前年同月比22%の伸びた。ホンダのインサイト同様、消費を抑えている消費者も環境・省エネ対策の商品や政府の支援があれば、買い控えの反動で予想以上に消費が伸びているので、日本政府も早く、日本の技術を最大限に生かす政策として、地球環境と省エネに関する生産者である企業と、消費者である個人への政策的支援をいち早く期待したい。

2009年3月9日月曜日

3/9(月) 企業倒産

日経平均 7,086.03  ▼ 87.07
為替(17時) 98.58-61円/米ドル
 民間調査会社の帝国データバンクが9日発表した2月の全国企業倒産状況によると、負債総額は前年同月比約2.4倍の1兆1978億円で、6カ月連続で前年同月を上回った。件数は前年同月比21.0%増の1131件。景気悪化を受け、販売不振などの不況型倒産が全体の約82%を占め、昨年10月末に政府は中小企業向け融資に対する緊急保障制度を開始したが、倒産の歯止めはかかっていない状況だ。
 信用保証協会が今回の緊急保障制度で100%の保証をしており、金融機関にとってはノーリスクで、実際に融資残高は同制度導入後の11月から伸びが続いている。つまり、緊急保障制度を活用しているにもかかわらず、企業倒産は大幅に増加しており、もし仮に同制度がなかった場合は、さらに負債総額や倒産件数が増加していたことになるだろう。いずれにせよ雇用悪化、消費不振、企業業績悪化という負のスパイラルはいまだ続いている。有効な政策は現麻生政権では残念ながら期待薄なので、3月決算期での資金繰り悪化による倒産が少しでも減少することをただただ祈るしかない。

2009年3月8日日曜日

3/8(日) 政局混迷

 景気悪化の歯止めがかかる兆しがなかなか見えてこない。米国発のサブプライムローン問題から金融不安が深刻化し、世界経済は今その悪影響をまともに受けている。内需が冷え込み、雇用が悪化し、株式・不動産市場が冷え込み、倒産が急増し、さらに企業業績が悪化するという悪循環をいち早く断ち切らなければならない。このような時代だからこそ政治によるリーダーシップが重要な局面なのだが、残念ながら与野党、与党内の各グループの利害が優先され空転が続き、国民の利益は二の次になっている。メディアからの政治に関する情報も、民主党小沢代表の公設秘書逮捕をめぐる政治献金問題での自民・民主の中傷合戦、麻生総理の定額給付金受け取りまでの経緯、中川前金融財務大臣のG8での記者会見問題など、ワイドショーがおもしろおかしく取り上げるようなことばかりで、景気悪化への対応や日本経済のビジョンなどは全く見えてこない。仮に100年に一度の危機ならば、今こそ日本社会の将来像や国民皆が希望を持てる国造りについて議論し、語られなければならない時であるのに、政局はただただ時間ばかりがむなしく過ぎている。むしろ国政・官僚はあてにならないので、地方自治体、企業、NPOなどの組織、個人レベルで各々がそれぞれのビジョンを持ち行動し始めている。投資活動も、企業の将来へのビジョンとその企業活動を個別に吟味していきたい。

2009年3月7日土曜日

3/7(土) 景気底入れの兆しすら・・・

NYダウ 6626.94 △32.50
為替(NY6日終値) 98.25-35/米ドル
 6日のNY株式市場は、6日発表された2月の雇用統計の内容が労働市場の悪化が裏付けられた内容であったが、事前の予想された範囲内であったため、前日までの下落の反動もあり買戻しを中心に反発して取引が始まり、NYダウで一時△160ドルまで上昇した。しかしながら根強い金融不安や景気悪化の長期化懸念の見方が再び台頭しNYダウは6500割れまで下落し、その後買い戻しから引けにかけて再び上昇し、結局△32となった。最近のマーケットは短期的な値幅を狙った投機が多いのか、1日の取り引き時間中での上下動が多いが、センチメント(投資心理)は明らかに弱くなっている。
 オバマ大統領就任に向けて株式市場は世界的な景気悪化を食い止めるきっかけを期待していたが、その期待感が最近は薄れており、景気悪化の歯止めがかからない状況だ。景気底入れの兆しすら見えないから買いづらい状況が続き、売り方が勢いづいている。4月以降に景気対策法案が実施とその効果が現れ、不良資産の査定(ストレステスト)後、有効な金融安定化策が講じられれば、景気底入れの兆しも見えてくるかもしれない。その時は買戻しを中心に上昇相場に転換するであろう。

2009年3月6日金曜日

3/6(金) 景気刺激策の効果

日経平均 7,173.10  ▼260.39
為替(17時) 97.37-40円/米ドル
 世界同時不況をいち早く食い止めようと、各国が様々な景気刺激策を講じている。ドイツでは製造から9年以上経過している自動車を最新の排ガス規制対応車に買い替えた場合、2500ユーロ(約30万円)の補助金を支給し、低迷する新車需要の掘り起こしを狙った策だ。実際に効果は現われ、2月の国内新車販売台数は前年同月比で22%増となり、前年同月実績を上回るのは2008年7月以来とのこと。中国でも通行料引き下げや小型車販売に対する減税効果もあり、2月乗用車販売は前年同月比約33%増となった。三菱自動車との関係の深い岡山県総社市でも三菱車を買う場合に10万円の補助金支給することで需要喚起に一定の効果が上がった。
 景気刺激策を効果的にするには、具体的に自動車販売など、どの需要を喚起するか明確にすべきである。日本の住宅ローン減税は目的が明確で需要喚起の効果は上がると思われるが、政府の目玉景気対策の定額給付金に関しては、景気悪化局面では自己防衛意識が高まり、生活資金に充てられる可能性が高く、政府の目標とする消費を喚起しGDPを押し上げるのは難しいのではないだろうか。

2009年3月5日木曜日

3/5(木) 米官民バットバンク構想、ビックスリー問題

日経平均 7,433.49  △142.53
為替(17時) 99.58-61円/米ドル
 米連邦準備理事会(FRB)は4日に地区連銀経済報告(ベージュブック)を発表し、「米景気は1月から2月にかけて一段と悪化した」と指摘した。リーマンショック後10-12月期の急速な景気減速後、1月あたりから製造業の景況感など一部に改善の動きが出始めるという見方もあったが、米国は景気回復の兆しも全く見えない状況のようだ。政府よる政策面での景気刺激策として、約70兆円規模の景気対策法案が2月半ばに議会で可決され、4月頃から公共投資や減税などの景気対策効果が出てくると見られている。今後はマーケットからの今後の期待2つあり、①官民合同の不良資産買い取りプログラム(バットバンク構想)を核とした金融安定化策、②米自動車大手(ビックスリー)への支援策の早期実行であろう。金融安定化策は2、3週間中に詳細が発表される予定で、ビックスリー支援問題もGM、クライスラーの両社が2/17に提出した再建計画を3月末までに政府の対応策が決定される見込みだ。景気対策、金融安定化、ビックスリー問題、この3本柱への対応が出そろう3月末以降は、買戻しをきっかけに、株式市場に久しぶりの反騰が期待できるのではないだろうか。

2009年3月4日水曜日

3/4(水) バーナンキ議長の発言

日経平均 7,290.96  △61.24
為替(17時) 98.81-84円/米ドル
 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は3日、上院予算委員会で、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)について「破綻すれば破壊的な事態になった」と追加支援に理解を求めた。金融危機を脱出するための追加支援が本当に効果があるのかという市場での疑念、また、膨大な税金投入に対する国民の不支持に対しバーナンキ議長は懸命に正当性を力説しているようだ。政府やFRBの政策を正当化するためかどうかはわからないが、1990年代の日本を引き合いに出されるケースが多く、今回も議長は、「日本の失敗は迅速かつ積極的に行動しなかったこと」と述べ、「われわれはそうではない」と主張した。
 バーナンキ議長の右腕だったミシュキン元FRB理事も日本の90年代の財政・金融政策を「大バカ野郎」と批判した。自分たちの正当性を主張するために過去の他者(他国)の事例を持ち出し批判するやり方はいかがなものだろうか。必死な対応であるのは理解できるし、金融危機を上手く乗り切って欲しいと思うが、現時点では金融危機が回復する兆しも見えていないと言わざるを得ない。

2009年3月3日火曜日

3/3(火) トヨタ自動車

日経平均 7,229.72 ▼50.43
為替(17時) 97.85-88円/米ドル
 今日の日経新聞夕刊の3面に、「派遣1000人を直接雇用」(トヨタ九州)という記事があった。トヨタ自動車九州(福岡県若宮市)で、生産部門にいる約1000人の派遣従業員全員を。正社員や期間従業員として直接雇用するという。4月以降に減産を緩和する見通しで、生産台数の増加に備えるためだ。
 トヨタは世界同時不況の影響で自動車販売が急速に落ち込むなか、いち早く生産調整を行い在庫を圧縮し、4月以降に生産水準を引き上げていく予定だ。また、派遣社員問題で、いわゆる派遣切りとなった派遣社員数が増加傾向が続いているが、トヨタは逆に1000人を直接雇用することを決定したことは、トヨタは大手企業として雇用を重視する経営として高く評価されるであろう。米自動車ビックスリーが今後かなりのリストラ、工場閉鎖など前向きな経営が全くできていないことと比較してみれば、日本の自動車業界は不況下での危機対応も万全であることは一目瞭然である。トヨタの株価も昨年12/8の2585円をボトムに着実に値を切り上げてきている。(本日の終値3060円)

2009年3月2日月曜日

3/2(月) AIG、米国の企業史上過去最大の赤字

日経平均 7,280.15  ▼288.27
為替(17時) 97.27-30円/米ドル
 米政府による救済策を受けている保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG) は2日、第4・四半期の純損失が617億ドル(約6兆円)に達したと発表した。これは米国の企業史上過去最大の赤字だ。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という企業の破たんリスクを金融派生商品として作られたものの損失拡大が主な要因で、AIGが最大の引き受け手でもあった。もし仮にAIGが経営破たんしてしまうと、CDSを保有している金融機関などにも破たんの連鎖を起こしかねないため、米政府は救済をしたのだが、617億ドルという膨大な損失額を開示されると、今後どの程度まで損失が膨らむのか不安心理が高まるばかりだ。米政府は約300億ドルの追加増資で支援を行うとのことで、昨年秋以来3度目の支援となり、ちなみにシティへの追加支援も3度行っており、米政府による支援も底なし沼にハマっているかのような状況になってきた。米国10年債利回りも2/17に2.6%台だったのが、2/27には3.01%まで利回りが上昇(債券価格は下落)しており、米国の財政出動に対して市場の不安感が台頭してきているようだ。

2009年3月1日日曜日

3/1(日) 3月決算

 100年に一度かどうかは疑問だが、10-12月のGDP(国内総生産)が日本で-12.7%、米国で-6.2%に落ち込んだように、少なくともこの十数年の中では一番の景気悪化だと思われるが、そのような環境下で日本の大部分の企業が年度決算を今月迎える。先月商工ローン大手のSFCGが2月末の資金繰りに目処が立たず経営破たんしたように、今月末までに同様のケースが出ないことを祈るばかりだが、もし仮に大手企業などで経営破たんのニュースが飛び込んでしまったら、株式市場には少なからず影響はあるだろう。リーマンショック以降の実体経済の急減速はこの十数年中でも初めてであると思われるので、予想外に大手企業が破たんに追い込まれるようなことがあれば、景気回復の芽を摘んでしまうことになるだろう。
 緊急事態のさ中、本来対応すべく対策が打たれていれば、企業の経営破たんなど最悪の事態を回避できたことを、政治の混迷やリーダーシップの欠如により危機対応ができずに、最悪の事態を回避できない可能性がある。日本株式はバブル崩壊後最安値水準で、投資したくなる株価の銘柄はたくさんあるのだが、想定外の出来事が起こってしまう可能性のあるこの時期はじっくり様子見をするのが賢明であるのではないか。