2009年5月10日日曜日

5/10(日) ストレステストと銀行融資残高

 米政府と米連邦準備理事会(FRB)は、大手金融機関19社の健全性を審査する資産査定(ストレステスト)の結果を公表した。景気が一段と悪化した場合の潜在的な損失が来年末までで計6000億ドル弱(約60兆円)になると予測している。バンク・オブ・アメリカ(BOA)、シティグループなど10社について計746億ドル(約7兆4000億円)の資本不足の恐れがあると査定し、結果を受けて米金融機関は増資などの健全化策に着手した。バーナンキFRB議長は7日の記者会見で「査定結果は投資家と一般市民にかなりの安心感を与える」と指摘した。ガイトナー財務長官も「金融システムの透明性」が高まることで貸し渋りなどの信用収縮の解消につながるとの見方を強調した。
 金融当局は銀行への信頼を醸成しようと躍起になっているように思えてしかたがない、と先日も書いたが、例えばBOAの場合、公表されている全ローン残高が約1.4兆ドル(約140兆円)で、現在の景気悪化と今後の動向次第で、仮に全融資残高の10%が損失となった場合、1400億ドル(約14兆円)となる。さらに保有している各種証券化商品やデリバティブ等の損失処理を行った場合に、果たしてストレステストの結果のような損失予想や増資計画で足りるのだろうか。最近の株式市場はやや楽観的過ぎる反応のように思える。

0 件のコメント: